メキシコGPの木曜ドライバー会見にはメキシコ人ドライバー2人が召喚されたものの、主役となったのはやはり今週末にタイトル獲得の可能性を有しているニコ・ロズベルグでした。先頭で会場に入ってきたセルジオ・ペレスとエステバン・グティエレスの2人は地元メディアからの注目度はかなりのものでしたが、先に前列の左右に着席していたところ、後から前列中央のロズベルグがやってきてグティエレスは席を立って通り道をあけることに。地元GPではあっても、決して主役ではなかったのです。
司会者からは「タイトル獲得の可能性があることを意識しなかったら人間じゃないですよね?」と突っ込まれて「もちろん分かってるけど、僕にとって最大限にパフォーマンスを引き出す方法は目の前のレースの勝利に集中することだし、今はそれが上手くいっている」とサラリとかわします。
「ここでチャンピオンが決まるかどうかは僕がコントロールできることじゃない。だから僕はこのレースで勝つことを考えるだけさ」
そして記者席からの相次ぐ質問にいつもの通りソツなく答えていくロズベルグでしたが、英国人記者からはキツい質問も飛びます。
まず、ルイス(・ハミルトン)のトラブルのおかげでタイトルが獲れたと言われるのはフェアではないと思いますか?という質問。
そして、バーニー・エクレストンが「ロズベルグがタイトルを獲るとF1のためにならない」と話したが、彼はひどいと思いますか?という質問
「あなたは他人の意見ばかり口にしているよね。僕はここにいる全員に喜んでもらうために勝つんじゃない。意見は人それぞれだしそれで良いと思う。F1というのはそういうものだ。僕は自分を応援してくれる人のためだけに集中するよ」
バーニーの発言については「彼と個人的に話したけど、あれは本当に彼の意図したところではなかったらしい。僕にとっては重要なことじゃないし、僕は自分のことに集中する」とかわしました。
ロズベルグはずっと以前から「選手権のことは考えず目の前のレースで勝つことだけに集中する」と言い続けてきました。このスタンスについて、やはり英国人記者から「そのスタンスはそれが上手くいくという結論に辿り着いたからなのか、心理マネージメントの専門家にアドバイスされてのものなのか?」と厳しい指摘が。
しかしロズベルグはこれにも「僕にとってシンプルに目の前の瞬間に集中して戦うのが上手くいっているから、単純にそれが正しいと思っただけだよ」とソツなく答えます。
ロズベルグがこういう性格だからこそ、イギリス人記者たちはロズベルグがチャンピオンになったらつまらないとどこかでバーニーに共感しているのかもしれません。
そんなこんなでちょっと白けたムードもあった会見は、“問題児”が1人もいなかったこともあって僅か26分で終了。しかし会見を終えて会見場を後にしたロズベルグは、歩きながらBOSEのノイズキャンセル機能付きヘッドフォンを装着し、まだテレビ向けの囲み取材が残っていたことに気付きすぐにヘッドフォンを外す場面も。ソツなくこなしたように見えて、実は内心ドキドキだったのかもと匂わせてくれたのでした。