メルセデス・モータースポーツのボスであるトト・ウォルフは、マレーシアGPと日本GPの週末に難局に直面したルイス・ハミルトンが、アメリカGPまでのインターバルに気持ちをしっかり立て直すことができ、その結果、見事な勝利を飾ることができたと感じている。
ハミルトンはアメリカGPで堂々たるパフォーマンスを発揮した。サーキット・オブ・ジ・アメリカズが2012年にF1の開催地に加わって以来5回のグランプリが行われたが、彼はここで4回目となる優勝を飾った。またこれは彼のF1キャリアにおける50勝目にあたる。
アメリカGP前の2戦、ハミルトンは思うような結果を出せずに終わった。マレーシアGP決勝では首位走行中にエンジントラブルでリタイア、翌週の日本GPではニコ・ロズベルグ優勝に対して3位に終わり、チームメイトとのタイトル争いにおいて大差をつけられる結果に終わった。鈴鹿では木曜日の記者会見における自身の振る舞いについての報道が気に入らないとして、予選後にチームが主催した記者会見を途中退出するという出来事もあった。
「鈴鹿は(アメリカとは)全く状況が違った」とウォルフは言った。
「我々はマレーシアから来たばかりだった。しかもそこでハミルトンは勝てるレースに負けて25ポイントを取れなかった。彼はチャンピオンシップ争いにおいてギャップを縮められるはずだった」
「記者会見でのいざこざで悪循環に陥ってしまった」
「だが(日本GP後)10日間のインターバルで、彼は強くなって戻って来た。彼はストレスを解消することができたんだ」
ウォルフは、残り3戦メキシコ、ブラジル、アブダビで何が起ころうとも、チームとハミルトンがマレーシアで起きたことから立ち直るのにはもう少し時間がかかるだろうと認めた。
ハミルトンはアメリカで勝利を目前にして走っている最中も、マレーシアでのパワーユニット故障を思い起こさせる異音が聞こえてくるのではないかという思いに取り憑かれてしまったと語っている。
ウォルフは、アメリカGPではマシンに信頼性についての不安は特になかったにも関わらず、メルセデスはハミルトン同様に心配していたと述べた。
「エンジンはできる限りいい状態にしてあった」
「マレーシア(での故障)は青天の霹靂だった。我々はみなマレーシアでの出来事に呪縛されているんだ」
「このささいなトラウマはまだしばらく残ると思う」
ハミルトンは現在、あと3レースを残し26ポイント差でチームメイトのロズベルグを追っているが(注:第18戦終了時点でロズベルグは331ポイント、ハミルトンは305ポイント)、鈴鹿とオースティンの間で取った休暇についてはさほど重要だったとは思っていないようだ。
「もしマレーシアで勝つことができていたら、至福の状態で次のレースに行っていただろうね」とハミルトン。
「実際には至福の状態ではなかったけれど、でも日本にいるのが好きだし素晴らしい気分だった」
「予選ではたったの0.13秒差だったのに、決勝は(スタートに失敗して)大惨事になった」
「でも僕はキャリア全体を通じて良い時も悪い時も戦い抜いてきた。僕にとっては目新しいことじゃない」
「僕は幸運のおかげで、これまでタイトルを獲得し、50勝を挙げてきたわけじゃない」
「それはたくさんのハードワークと献身の賜物だ。他の多くの人たちだけでなく、僕自身が冷静に自分の仕事をこなすことで成り立っているんだ」