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接客グランプリ受賞バイトが時給1040円でネット騒然 「胃がキリキリしてきた」「やりがい餌に低コスト化か」

2016年10月27日 17:01  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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飲食業界ではコストを削減するために、人件費を削減しながら店を回しているところが少なくない。そんな中、人員育成に力を入れて売り上げを伸ばした飲食店運営会社の昇給システムがネットで物議を醸している。

「キラキラスペシャリストおもてなし手当」などで時給プラス40円

10月23日に放送された「売り上げを倍にした黄金の知恵 日本企業10社 全部見せます」(テレビ朝日)という番組で、物語コーポレーションという企業が登場した。

番組では同社が経営する焼き肉店が紹介された。広報担当者は、「ホールに通常の約2倍の人員を配置して隙間のない接客をする方針」と語る。画面には多くの店員が働く様子が映っているが、人が多いため働く方としてはゆとりある環境という印象だ。

同社では、「アルバイトが主役」として、頑張った人がもらえる手当がある。「キラキラスペシャリストおもてなし手当」「トレーニングスペシャリスト手当」「ピカピカスペシャリスト手当」の3つで、すべての手当がついた場合、時給は40円上がる。同社広報担当者は細かく目標を設定することで、人材育成コストを有効に使う」と説明する。

さらに、従業員のモチベーションを高めるために全国のアルバイト約2万人の頂点を決める接客コンテストを定期的に開催。働きぶりを審査員が見て、メニューの説明がしっかりできているか、といった項目だけでなく、「自分の個性を出せているか」「ユーモアがあるか」といった点も評価対象になる。

番組ではホールの部でグランプリを取ったアルバイト歴9年目の女性が登場した。女性は福島県の店舗に勤務。客に注文がないときでも絶えず客に気配りをしており、極めて丁寧な接客だ。そうした点が支持されたのか週に3回も来店する常連客もいるという。

「高級ホテルのコンシェルジュとかに転職したらいいのに」

しかし、女性は3つの手当すべてがつき、主任を務めているにも関わらず、時給はわずか1040円だ。内訳は一般時給900円に主任手当が100円、そして前出の3つの手当てが40円となっている。都心だと最近は新人に時給1100円以上を出す飲食店も珍しくなく、それを考えると確かに安い。

3つの手当てにしろ、接客コンテストにしろ、企業側からすれば確かに効率的なやり方ではあるが、やはり視聴者は違和感を持ったようだ。ツイッターでは、「チェーン焼肉店で働く最優秀アルバイトさんの時給1040円! で胃がキリキリしてきた…」といったコメントが相次いだ。

「人件費にお金をつぎ込み急成長っていいながら、アルバイト歴9年で時給1040円って矛盾してるだろ」
「主任手当付いて時給1040円とか…ないよ」
「居酒屋甲子園もそうだけど、飲食業界はこうやってやりがいを餌に低コスト化を徹底しているわけね」

優れた接客スキルな持ちながら低い価格で働く女性に対し、転職を勧める声もあった。

「こんなに出来て時給1040円か。8年いるのに。 もっと他に転職してれば、もっと稼げるよ」
「こういう人をヘッドハンティングして、高級ホテルのコンシェルジュとかチェーンの旗艦店のリーダーに高給で転職させるエージェントとかやったら儲かりそうな」
「競合他社はこのコンテストを見に行くべき。2000円払ってバイトリーダーやってもらおう」

女性は未だにアルバイトだが、時給を上げるよりも正社員にして雇用の安定を図るべき、という意見も出ていた。

ただ、前提条件として、このチェーンが通常の2倍の人員を配置して店を回していることを指摘する声も。「これは賃金面ではなく待遇面で格段の差を生みます」というのだ。確かに、働きやすさは大分違うかもしれないが、それでも、実力ナンバー1のバイトが時給1040円というのは、色々考えさせられる案件ではある。

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