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アイドル「りりぽむ」さんにファンがSNSで「犯罪予告」…どんな罪にあたるのか?

2016年10月27日 10:31  弁護士ドットコム

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アイドルの「魔法少女☆りりぽむ」さんが、一部ファンから「犯罪予告」を受けたとして、10月22日から芸能活動を休止すると公式サイトで発表した。運営側はすでに警察に相談しており、立件に向けた捜査も始まっているという。


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公式サイトに掲載された経緯によると、一部のファンがりりぽむさんを傷つける言動を繰り返していたそうだ。運営スタッフが数回の注意を伝えても、長期間にわたって続いたという。そのファンの発言(SNS・ブログなど)がエスカレートして、りりぽむさん本人が「身の危険を感じる」状況になっていたという。



ファンのものとみられるツイッターのアカウントは「年内にりり○むを強姦して刑務所に入ろうと思う。悔いはない」といった投稿もある。運営側によると、警察署から指導があって、すべての芸能活動を休止することを決定した。



今回のように、ファンがSNSなどでエスカレートしていくケースは少なくない。今年5月には、シンガーソングライターの女性がファンの男性に刃物で刺されるという事件も起きた。SNS上でつきまとうような発言をしたり、犯罪予告することはどんな罪に問われるのだろうか。田沢剛弁護士に聞いた。



●SNSは「つきまとい」行為に含まれない


「『つきまとい』を直接的に規制している法律は、『ストーカー行為等の規制等に関する法律』(ストーカー規制法)です。



この法律では、『つきまとい等』とは、次のように定義されています。



『特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨念の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、特定の行為をすること』



そして、この『つきまとい等』の行為を、同一の人物に対して、反覆して行うことを『ストーカー行為』と定義づけています」



田沢弁護士はこのように述べる。SNS上での「つきまとい」も含まれるのか。



「特定の行為として定められたものの中には、『電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールを送信すること』が含まれていますが、SNSへの書込みは含まれていません。



刑法には、明確な法律がない限り処罰されないという『罪刑法定主義』という基本原則があります。そのため、SNS上のつきまといというだけでストーカー規制法により処罰することはできません。



ただし、相手の行動を監視していると思われるような事項を書き込むなど、書き込んだ内容によっては、『つきまとい等』として定められた他の行為に該当する可能性があり、この法律の規制の対象となることはあり得ます」



犯罪を予告するような投稿については、どう考えればいいのか。



「SNS上で犯罪予告をすることも、その目的や頻度によっては、ストーカー規制法の対象となります。



しかしながら、この場合、行為の目的や頻度といったハードルをクリアしてストーカー規制法での処罰を目指すよりも、端的に脅迫罪(刑法222条)での処罰を目指した方が早いですし、より重く処罰することが可能です」



現在、SNS上での執拗なメッセージ送信をストーカー規制法の対象とすることなどを盛り込んだ改正法案を自公がまとめており、臨時国会で成立する可能性がある。今回のようなケースがストーカー規制法の対象となる日も、そう遠くないのかもしれない。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
田沢 剛(たざわ・たけし)弁護士
1967年、大阪府四条畷市生まれ。94年に裁判官任官(名古屋地方裁判所)。以降、広島地方・家庭裁判所福山支部、横浜地方裁判所勤務を経て、02年に弁護士登録。相模原で開業後、新横浜へ事務所を移転。得意案件は倒産処理、交通事故(被害者側)などの一般民事。趣味は、テニス、バレーボール。
事務所名:新横浜アーバン・クリエイト法律事務所
事務所URL:http://www.uc-law.jp
事務所名:新横浜アーバン・クリエイト法律事務所
事務所URL:http://www.uc-law.jp