2016年10月27日 10:31 弁護士ドットコム
明るい光が差し込むオフィスの一角で、複数の女性従業員と一人の男性上司がキスをする様子を撮影した動画が話題になった。今年8月上旬にYouTubeに転載され、現在50万回以上再生されている。
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動画では、白い上着に黒ズボンを履いた若い女性従業員たちがオフィスの一室で並び、男性上司と一人ずつキスしている。まるで親鳥(上司)が雛(従業員)にエサをやっているようにもみえる。
動画の説明文によると、中国の企業が毎朝、チームの結束を強めるためにおこなっているということだ。しかし、コメント欄には「気持ち悪い」「(男性上司)は男性社員にも同じことをするのか?」といった書き込みがされている。
これが日本で、上司から無理やりやらされているとしたら、即刻、「セクハラ問題」ということになりそうだ。もし仮に、女性従業員たちがすすんでおこなっている場合や、見たくもないキスシーンを見せられた場合はどうだろうか。小沢一仁弁護士に聞いた。
「一般的に、セクシャルハラスメント(セクハラ)とは、『相手方の意に反する性的言動』を指します。女性従業員が無理やり(意に反して)キスさせられているのであれば、セクハラにあたると思います。
一方、無理矢理ではなく、自らすすんで(意に反せず)、キスしているのであれば、セクハラにはあたらないでしょう」
本人たちはセクハラと思わなくても、こうした様子を見せられていることを不快に感じる人もいるかもしれない。
「たしかに、本人同士は良いとしても、職場の男性上司と女性従業員がキスをしているところを見ることに不快感や嫌悪感を覚える従業員もいるでしょう。
私見としては、見たくもないキス現場を見せるという意味において、見せられた従業員に対するセクハラにあたると思います」
チームの結束のために導入してるようだが、日本企業で取り入れることはできるか。
「女性従業員が外形上同意していても、内心では嫌がっている可能性があります。また、見ている側にも不快感や嫌悪感を与える可能性もあります。
おそらくトラブルの元になると思います。また、実際にトラブルになった場合、セクハラの相手方になった従業員は当然のことながら、会社にとっても大きな迷惑をかけることになります。
場合によっては外部に公表されるなど、風評被害にも発展する可能性があります。そのため、真似するのはやめたほうがよいと思います」
(弁護士ドットコムニュース)