トロロッソのカルロス・サインツJr.は、彼にとってアイドルであるフェルナンド・アロンソのドライビングを10年以上に渡って研究したことが、アメリカGP決勝でのバトルに役立ったと語った。
オースティンで行われたレースの最終スティントでアロンソはミディアムタイヤに交換してサインツJr.とウイリアムズのフェリペ・マッサに追いつき、熾烈な5位争いを繰り広げた。
アロンソよりも1周早くピットインしソフトタイヤに交換していたサインツJr.は、タイヤのマネジメントに集中していた。しかしバーチャルセーフティカーによりマッサの前に出たことで、後ろからのプレッシャーに対処しなければならなくなった。
残り数周となったところで半ば強引にマッサをオーバーテイクしたアロンソは、前方を走るサインツJr.との差を詰めるべくプッシュした。最後から2周目の12コーナーで彼を捉えたアロンソは、DRSとバッテリーパワーを活用して同郷の後輩を追い越した。
「彼から学ばなくてはいけない全てのことは、過去12年間、彼のバトルを見て学んだ」と6位でレースを終えたサインツは語った。
「彼は僕のヒーローでありアイドルだった。だから僕は(彼の)切り返し方やトラクションのかけ方を知っているんだ」
「1コーナーに飛び込む時、彼がこう仕掛けてくるだろうと思って、インサイドにだいぶ切り込んだよ」
「(彼のことを)ものすごく研究し、学習してきた。彼がDRSとバッテリーを使って『チャオ、チャオ』と言うように抜き去って行ったけれど、僕は満足だ。『OK、いいさ、また今度会おう』と思った」
アロンソがひとたびオーバーテイクを実行すれば、ポジションを守り切るのは難しいことは分かっていたとサインツJr.は言う。
「『OK、簡単に捕まえられちゃったけど、ブレーキングをする時には君のミラーにちらちら映るからね。君がロックアップするかどうか見てるぞ』と思った。そしたら彼はロックアップしたんだ」
「でもそのヘアピンの後、彼を追い越すだけのトラクションがなかったんだ。とにかく、僕は抜かれないために全力を尽くした」
「ストレートで一番遅いうえにオーバーテイクするのに最悪のタイヤを履いていた(アロンソの)マシンを見つけたマッサができる限りを尽くしたようにね」
「彼(アロンソ)がレース後に僕を見つけて言ってきた最初のセリフは『君にはパラシュートが付いているのかと思った。ストレートで遅すぎるからとても簡単に後ろにつけることができたよ!』だったね」
「あのバトルが10位争いじゃなくて5位争いでよかったね。それにクリーンなバトルができてうれしいんだ」
サインツは7月に行われたハンガリーGP以来のポイントを獲得し、自身のF1ベストリザルトに並ぶ結果を出した。
「予選がうまくいった上にタイヤ管理もうまくいったバルセロナのことを少し思い出した」
「でもあの時と違って5位を争えるマシンでもトップスピードでポジションを守れるマシンでもなかったから、今回の方がほんの少しだけよかったね」