アウディスポーツは10月26日、今後のモータースポーツに関する計画についてのプレスリリースを発行し、2016年限りでル・マン24時間耐久レースを含むWEC世界耐久選手権から撤退し、フォーミュラEへの関与を強めると発表した。
1999年にアウディR8R/R8Cでル・マン24時間に参戦を開始して以来、ル・マンで歴代2位となる合計13勝。アウディ製のプロトタイプカーが世界中で106勝もの成績を収めてきた近代耐久レース最強の巨人が、その挑戦の歴史にいったん幕を下ろすことになった。26日、アウディは2016年限りでのル・マン24時間を含むWEC世界耐久選手権からの撤退を正式に発表したのだ。
これは、26日に発表されたアウディのモータースポーツ活動計画に向けたリリースのなかで触れられたもの。このなかで、アウディは2016年をもってWEC/ル・マンから撤退し、代わってフォーミュラEへの関与を強めるとした。
この決定は26日の朝に、アウディの管理執行役員のルパート・シュテードラーから、モータースポーツディビジョンの従業員300人に告げられた。シュテードラーは、今回の決定について『今後の未来に向けて、アウディがより競争力を保つことが重要』だと語った。
「我々は将来、電力でレースを戦うことになる。我々の市販車はより電気で動くようになっており、モータースポーツを戦うマシンもそうでなければならない」とシュテードラー。
アウディはすでにフォーミュラEの開幕時から関与を強めており、2017年に向けてチームアプト・シェフラー・アウディスポーツとしてワークス格の参戦を開始する予定となっている。また、今回のリリースではその他の活動についても触れられており、DTMドイツツーリングカー選手権の活動継続、最終決定はされていないものの、FIAワールドラリークロスへの関与も記されている。
今回の決定について、スポーツカープロジェクトを率いてきたアウディスポーツ代表のヴォルフガング・ウルリッヒは、「18年間に渡って、例外的なほどの成功を収めてきたプロトタイプカーレースから去る決断はとても厳しいものだ」と語った。
「アウディスポーツ・チーム・ヨーストはWECにおいて、他のチームにはない形を作ってきた。私の感謝をチーム、そしてラインホルト・ヨーストと、大いなる成功に協力してくれたドライバー、パートナー、スポンサーに捧げたい。素晴らしい時間だった!」
WEC世界耐久選手権のLMP1クラスはここ数年、アウディ、ポルシェ、そしてトヨタによる三つ巴の戦いが展開されてきた。巨人アウディなき2017年以降のWECはどんな選手権となっていくのだろうか。