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電通過労死「労働行政も十分な反省を」川人弁護士、対策の不備指摘…厚労省協議会

2016年10月25日 15:52  弁護士ドットコム

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労使の代表者や有識者らを集めた、厚生労働省の「過労死等防止対策推進協議会」(第7回)が10月25日にあり、大手広告代理店・電通の過労死問題も話題にあがった。出席者からは「労働行政も反省する必要がある」「過労死があった企業名を公表すべき」などの声が上がった。


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過労死をめぐっては、防止策の研究や啓発の推進などを目指して「過労死等防止対策推進法」が2014年に施行された。しかし、この日の会合で、協議会委員の川人博弁護士は、施行から2年たっても「職場の現状はまったく変わっていないところもある」と指摘した。



川人弁護士は、昨年過労自殺した電通入社1年目の高橋まつりさん(当時24歳)遺族の代理人でもある。「(高橋さんは)法律ができた後に亡くなった。(過労死の典型的な原因である)長時間労働や深夜勤務、パワハラのすべてが重なっていた」として、職場には過労死対策が浸透していないと話した。



また、高橋さんが勤めていた電通本社では、2013年に当時30歳の男性社員が過労死し、2015年8月には労働基準監督署から是正勧告が出ている。にもかかわらず、高橋さんが同年12月に亡くなっていることから、川人弁護士は「労働行政が職場の問題を察知できていない。労働行政についても十分な反省と教訓を踏まえて取り組む必要がある」と述べた。



一方、過労死遺族らでつくる「全国過労死を考える家族の会」の寺西笑子代表は、過労死があっても企業名がなかなか公表されないと指摘。「社会全体で監視できる体制が必要」として、過労死があった場合は、行政が企業名を公表するよう求めた。


(弁護士ドットコムニュース)