2016年10月24日
トヨタ自動車株式会社
モータースポーツマーケティング部
NASCARスプリント・カップ・シリーズ第32戦タラデガ
デニー・ハムリンが3位フィニッシュ
トヨタ勢は4人が“ラウンド・オブ・8”へ進出
シリーズ最長、超高速オーバルのタラデガで、スプリント・カップ・シリーズとキャンピング・ワールド・トラック・シリーズが開催。
“チェイス”第2ラウンド最終戦となったカップ・シリーズでは、マーティン・トゥルーエクス・Jr.が惜しくもトラブルで脱落したものの、デニー・ハムリンが3位に入り、トヨタ勢は4人が次ラウンド“ラウンド・オブ・8”へ進出。
トラック・シリーズでもトヨタ勢はトップ10に6台が入る活躍を見せ、次ラウンド“ラウンド・オブ・6”へ4人全員が進出を決めた。
NASCAR SPRINT CUP SERIES
第32戦 Hellmann's 500
開催日:10月23日
デニー・ハムリンが3位フィニッシュ
トヨタ勢は4人が“ラウンド・オブ・8”へ進出
10月23日(日)、米国南部アラバマ州タラデガのタラデガ・スーパースピードウェイでNASCARスプリント・カップ・シリーズ第32戦「Hellmann's 500」が開催された。
年間36戦のシーズンのうち、終盤の10戦で選抜されたドライバーがタイトルを争うプレーオフ“チェイス”は5戦を終え、後半戦に入った。
6戦目となる今大会は、3戦ずつの第2ラウンド最終戦。今大会を終えた時点で、“チェイス”ドライバーは12名から8名へと更に絞り込まれる。
今季トヨタ勢は“チェイス”に5名が進出。5名全員が第1ラウンドを突破し、第2ラウンドへ進出しており、次ラウンド“ラウンド・オブ・8”へ進出を賭けて臨んだ。
また、今大会は2004年にトヨタが日本メーカーとしては初めてNASCARトップ3カテゴリーに参戦を開始して以来、3カテゴリーの合計通算出場数で、記念すべき1000レース目となった。
23日(日)午後1時22分に188周(500.08マイル:約800km)して競われる決勝レースのスタートが切られた。
NASCARが行われるオーバルコースで最長の1周2.66マイル(約4.3km)のタラデガは、安全のため最高出力を制限するリストリクター・プレートと呼ばれる吸入空気量制限部品が取り付けられる。
それでも最高速度は300km/hを優に超えるが、通常のレース以上に空気抵抗が厳しくなり、複数台が連なって空気抵抗を低減する“ドラフティング”と呼ばれるテクニックが多用される。
このため、常に多くの台数が連なった複数の隊列でバトルが繰り広げられ、僅かなミスから大きなダメージとなる多重クラッシュ“ビッグ・ワン”が起こりやすい。
マット・ケンゼス、カール・エドワーズ、カイル・ブッシュの3名は、前戦までに充分なポイントを獲得しているため、クラッシュに巻き込まれての下位フィニッシュで無い限り次ラウンド進出の可能性が高い。
このため、この3台はスタート前のフォーメーションラップ中に自らグリッドを下げ、上位争いから離れた位置で“ビッグ・ワン”を避ける作戦となった。
一方、不運なトラブルなどで充分なポイントを稼げなかったマーティン・トゥルーエクス・Jr.とデニー・ハムリンは上位フィニッシュが必須。今季4度目のポールポジションを獲得したトゥルーエクス・Jr.と、8番手グリッドのハムリンが序盤から積極的に上位を争った。
序盤戦はイエローコーションが出ないまま、36周目あたりからグリーンフラッグ下でのピット開始。ほぼ全車がピットを終えた41周目、トゥルーエクス・Jr.がまさかのエンジンブロー。
“チェイス”第1ラウンドで2勝を挙げる強さを見せていたトゥルーエクス・Jr.だが、これで戦列を去ることとなり、“チェイス”次ラウンド進出は潰えてしまった。
その後も、カイル・ブッシュ、エドワーズ、ケンゼスの3台がやや集団からやや距離を置きながらも、大きく離されることはなく周回。ハムリンは上位争いの隊列でバトルを続けた。
この日は多くの台数が巻き込まれる“ビッグ・ワン”は発生しないままレースが進み、ハムリンは中盤には首位走行によるボーナスポイントも獲得。
レースは残り3周での再スタート直後にクラッシュでイエローコーションが出され、延長。最後の2周で決する“オーバータイム”に。2列目4番手から再スタートを切ったハムリンは、アウト側から前走車と共にトップ3集団を形成。
最後はタラデガならではの僅差で複数台がチェッカーへとなだれ込むフィニッシュとなったが、ハムリンは僅か0.006秒差で4位の車両を抑え3位フィニッシュ。
この結果、“チェイス”争いではライバルと同ポイントでの8位で並ぶこととなったが、今ラウンド中の最上位フィニッシュで上回ったため、次ラウンド進出を果たした。
ケンゼス、エドワーズ、カイル・ブッシュは作戦通り着実に走り抜き、28,29,30位でフィニッシュ。揃って次ラウンド進出を決めた。
トヨタ勢はトゥルーエクス・Jr.が痛恨のトラブルでの脱落となったが、4名が次ラウンドへ進出。昨年は4名から2名へと数を減らすことになった第3ラウンドへ、今年は8名のうち半分をトヨタ勢が占めて臨むこととなった。
次戦第33戦は10月30日(日)、米国東部バージニア州マーティンズビルのマーティンズビル・スピードウェイで行われる。
ドライバー デニー・ハムリン:
「クレイジーなレースだった。ドラフティングのパートナーとなるチームメイトがいない中で戦い続けるのは厳しかった。しかし、多くの車両が協力してくれた。彼らに感謝している。最後は41号車(カート・ブッシュ:シボレー)とのライン上でのぎりぎりのバトルだった。あの僅かな差で勝てたことで次ラウンド進出を果たせた。本当に嬉しい」
<チェイス・フォー・ザ・NASCARスプリント・カップ>
“チェイス”と略して称されることが多い。NASCARスプリント・カップ・シリーズの全36戦のうち、終盤の10戦でタイトルを競うプレーオフシステム。26戦が終わった時点で、シリーズ戦に勝利したドライバー(全レース出場、ランキング30位以内が条件)と、未勝利でランキング上位の計16名が“チェイス”に進出。
“チェイス”進出者のポイントはリセットされ、3戦ずつの3ラウンドを戦い、各ラウンドごとに未勝利のランキング下位4名が脱落しポイントはリセット。最終戦に残った4名のうち、最上位フィニッシュを果たしたドライバーがチャンピオンとなる。
NASCAR CAMPING WORLD TRUCK SERIES
第19戦 fred's 250
開催日:10月22日
“トヨタ・タンドラ”6台がトップ10フィニッシュ
トヨタ勢は4人全員が“ラウンド・オブ・6”へ
NASCARキャンピング・ワールド・トラック・シリーズ第19戦「fred's 250」が10月22日(土)にタラデガ・スーパースピードウェイで開催された。
今季よりトラック・シリーズでも採用されることとなった終盤のプレーオフ“チェイス”。トラック・シリーズは全7戦、3戦毎に下位の2名ずつが脱落していく。今大会はその第3戦で、次ラウンドへ向け8名から6名へと“チェイス”対象ドライバーが絞られることとなる。
今季のチェイス“は、最初の8名中、トヨタ勢が4名進出。その中でも、18歳のルーキー、ウィリアム・バイロンは“チェイス”初戦で勝利を挙げ、いち早く次ラウンド進出を決定。残る3名も上位フィニッシュを続け、全員揃っての次ラウンド進出を目指した。
同シリーズのタラデガ戦は、2006年から行われているが、トヨタはこの10戦中8勝と強さを見せており、特にここ2年は“チェイス”入りを果たしたティモシー・ピーターズが連勝を飾っている。
22日(土)午前9時半からの予選に続き、午後0時23分に2.66マイルスーパースピードウェイを94周(250.04マイル:約400km)して競われる決勝レースがスタート。
序盤から、“チェイス”を争うライバルがトラブルに見舞われたり、“ビッグ・ワン”に巻き込まれるなど波乱の展開となった。
トヨタ勢最上位の予選6番手からスタートしたピーターズは上位争いを展開。中盤、ピット作業時の給油ミスでポジションダウン。
60周目には14台が巻き込まれる“ビッグ・ワン”が発生し、ピーターズ、バイロンらも巻き込まれたが、ダメージはそれほど大きくなく、無事首位と同一周回で上位争いに復帰した。
クラフトンは序盤後方に下がってアクシデントを避ける作戦を採り、中盤に入るとポジションアップ。一時は3位を走行したが、終盤、エンジン系のトラブルに見舞われ、レースを終えることとなった。
このクラフトンのアクシデントによりイエローコーションが出され、レースは残り2周で再スタート。3位で再スタートを切ったピーターズはドラフティングパートナーに恵まれず、ポジションアップはならず。3位でフィニッシュ。ルーキーのリコ・アブリューが4位で今季2度目となるトップ5フィニッシュ。
5位にベル、8位にカップ・シリーズを戦うマーティン・トゥルーエクス・Jr.の実弟、ライアン・トゥルーエクス。9位にマット・ティフト、10位にバイロンが入り、トヨタ勢は6台がトップ10フィニッシュを果たした。
今大会の結果、ピーターズはランキング3位に浮上しランキング1位、2位のバイロン、ベルと共に“チェイス”次ラウンド進出。今大会リタイアに終わったクラフトンだったが、ライバルの2台が序盤戦でレースを去ったことと、前戦までのマージンにも助けられ、6位で次ラウンド進出。
6名によって争われる次ラウンド“ラウンド・オブ・6”を、トヨタ勢4名が占め、最終戦への進出権を賭けた3戦が開始される。
次戦第20戦は10月29日(土)にマーティンズビル・スピードウェイで開催される。
ドライバー ティモシー・ピーターズ:
「我々のチームは本当に素晴らしく、スーパースピードウェイでは特にいつも良いレースが戦えている。チームの皆の努力のおかげで最高の“トヨタ・タンドラ”を用意してくれているので、あとは私が最高のパフォーマンスを引き出すだけだった。クルーチーフとピットクルーも良くやってくれた。次の3戦へ向けて準備は出来ている」
<キャンピング・ワールド・トラック・シリーズの“チェイス”>
今季よりエクスフィニティ・シリーズと、キャンピングワールド・トラック・シリーズでもプレーオフ“チェイス”システムが採用されることとなった。キャンピング・ワールド・トラック・シリーズでは、全23戦のシーズンのうち、終盤の7戦でタイトルを争う。開幕からの16戦全ての決勝に出場し、ランキング30位以内に入った上で、シリーズ戦勝利を挙げたドライバーと、ランキング上位のドライバーから8人が選抜。
“チェイス”進出者のポイントはリセットされ、3戦ずつの2ラウンドを戦い、各ラウンドごとに未勝利のランキング下位2名が脱落しポイントをリセットして次ラウンドに進む。最終戦に残った4名のうち、最上位フィニッシュを果たしたドライバーがチャンピオンとなる。