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スーパーGT最終決戦もてぎ。2レース制の見どころと難しさをドライバーに聞く

2016年10月24日 15:31  AUTOSPORT web

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スーパーGT第3戦/第8戦は11月12~13日開催
今年のスーパーGT最終戦はご存じのように、土日それぞれの1デイレース開催でスーパーGTとしては初めてのフォーマットとなる。土曜、日曜とそれぞれ予選、決勝が行われ、ポイントも2レース分が獲得可能。チャンピオンシップの面でも、大逆転のチャンスが到来する。その未知の最終戦はどのような部分がポイントとなるのか。第7戦タイを終えたばかりのドライバー、そしてチーム監督に聞いた。


 第3戦のオートポリス戦が熊本地震の影響で開催が困難になり、代替え戦として、第8戦のもてぎと合わせて行われることになった今年の最終ラウンド。金曜日から練習走行が行われ、土日のセッションは予選と決勝のみ。搭載するウエイトハンデも土曜日は獲得ポイント×1kg、日曜日は全車0kgとなる。

 3日間でかなり濃密なスケジュールとなるが、チャンピオンシップの視点で考えると、この2レース制の影響はかなり大きい。現在、ドライバーズランキング3位のZENT CERUMO RC F立川裕路が語る。

「最終戦と言っても、2レースある。いつもの最終戦と違って、この2戦でポールを含めると42点獲れる。同じ週末に2日続けて予選、決勝とあるので、その週末に調子が良ければ2戦とも(優勝を)獲ることができるし、そのままチャンピオンになれる可能性がある。大量得点が可能なので、チャンピオンはもう、もてぎの2戦次第になるのかなと思います。トップの1号車とは11ポイント差がありますけれども、全然、逆転できる差だと思うし、調子が良ければ行けると思うので、本当に最後の2戦次第ですね」


 現在のランキングトップは1号車MOTUL AUTECH GT-Rの56ポイント。最終戦もてぎでは最大42ポイント獲得可能なので、立川が話すように多くのドライバーが大逆転可能な状況になる。では、この2レース制のポイントはどのような部分になるのか。そこはやはり、走行時間の少なさだろう。立川が続ける。

■とにかく時間との勝負となる2レース制

「当然、金曜日の走り出しの持ち込み(セットアップ)が重要になる。土日は予選とレースだけなので、セットアップをいろいろと確かめている時間はない。金曜日のフリー走行で、週末の流れが決まるので、すごく大事ですよね」

 立川の言葉を補足するように、現在ラインキング9位につけるS Road CRAFTSPORTS GT-Rの本山哲も最終戦もてぎの難しさを語る。

「今のスーパーGTはタイヤのチョイスがその日のコンディションに合う、合わないというのがキーポイントになっていて、上手く合えば2日間ともいいレースができるだろうし、タイヤチョイスが外れると2レースとも外してしまうので、どういうタイヤをもてぎに持って行くか、そこが一番のポイントになると思う」


 ランキング上位のドライバーとしては、土曜日に40~50kgのウエイトハンデを搭載してレースをして、その翌日にウエイトハンデ0kgでいきなり予選セッションを行う難しさがあると思われるが、意外とそこは「ドライバーとしては軽くなる分の違和感は、ほとんどないと思う」(立川)、「ドライバーとしては何も大変な面はない」(本山)のだという。


■攻めと守りのバランスが問われる土曜日の戦い

 持ち込みセットアップの他にも、2レース制の難しさは土曜日のレースにも出てくる。RAYBRIG NSX CONCEPT-GTの山本尚貴が話す。

「2レース制のリスクがあるとすれば、1点でも多くポイントがほしい状況で、土曜日に無理をしてクルマにトラブルやアクシデントが起きてしまったら日曜日に影響がある可能性があること。前に行かないといけないけど、いつものレースとは違って抑えないといけないバランス、気持ちの持って行き方は変わると思います。やっぱり流れは大事ですからね。日曜日に影響のある接触とかレースのリザルトになってしまうと、日曜日に立て直すこともできるけど、失ってしまうこともある。それが2レースの面白さでもあるし、怖さでもあると思います。それはスーパーフォーミュラの最終戦で2レースを経験しているドライバーなら、有利な部分もあるのかもしれないですね」

 それでも山本は、2レース制をネガティブに捉えるドライバーはいないのでは、と推察する。

「GTでは初めての2レースのフォーマットになりますが、結局、速いクルマはどんなフォーマットでも前に来ると思っています。それは土曜日と日曜日でウエイトハンデが変わっても同じ。調子がいいクルマは2レースとも前に行けるチャンスがあるし、土曜日に調子が悪くても日曜日に立て直すことができる。だから、ドライバーとしてあまりネガティブに捉える人はいないんじゃないかなと思います。みんなポジティブに考えると思います」


 現在ランキングトップのMOTUL GT-Rの松田次生も、2レースを戦うドライバーの心境を以下のように語る。

「1日に予選と決勝、両方を2日間やる難しさはあります。セットアップで新しいものを試すことができないし、土曜日のセッションでは日曜日を考えてあまり無理はできない。でも、無理ができないとはいえ、行くときは行かないといけないので、そこは普段のレースとあまり変わらないのかもしれません。とりあえず、軽い状態で走るのはウチは開幕戦以来なので、そこでちょっとビックリすることはあるかもしれませんね」

 次生は第7戦タイでGT300のマシンと絡んでしまい、大クラッシュを引き起こしてしまった。ランキングリーダーでありながら、ここ数戦はアクシデントが多い。

■彗星のように登場したGT500の大型ルーキー

「ここに来てレクサスが速くて勢いがいいので、残り2戦のもてぎではまず、これまで100kgを積んでレースでの流れが悪いままなので、とにかく悪い流れを断ち切って戦いたいですね。一昨年のタイ戦でも辛い状況でしたが、今年のタイ戦ほど辛いことはないと思うので、気持ちを切り替えていきたいです」


 RAYBRIG NSXの山本も最終戦に向けた意気込みを語る。

「タイでいいセットアップが見つかって、最後のもてぎ2戦でも期待したいのですが、やはりサーキットの特性が違うのと、あとはコンディションがまったく違って急に寒くなるところに行くので、タイヤの選択、コンディションに合ったクルマ、いろいろな要素が組み合わさって機能しないと前には行けない。ですので、もてぎは本当に走ってみないと分からない状況になると思います。ただ、このタイで得たものは、もてぎにも活かせるのかなと思うし、タイで調子が良かったので、それを信じていくしかない。最終戦はもう失うものは何もないし、ホンダのホームコースですし、気持ちよく勝って終わることだけを見据えて、レースに臨みたいと思います」

 ホンダ陣営としては第7戦タイでドラゴ モデューロNSX CONCEPT-GTが2位に入り、復調の気配を見せる。牧野任祐という、大型ルーキーを迎えて勢いづくドラゴ NSXの道上龍監督も最終戦への意気込みを語る。

「この3戦、NSXのベースのセットアップとしてはすごくいい状態にあると思うので、もてぎでも今回(タイ戦)くらいのポテンシャルはあると思います。最後のもてぎは土日にクルマを変える時間がないので、ベースのセットアップが大事になりますが、タイでもウチはほとんどベースからクルマを変えていない。持ち込みのセットアップがいいところにあるので、スタビと車高のアジャストくらいしかしていなんです。そういう部分をもてぎでも上手く活かしたいですね。今までGTでこのような開催はないと思いますが、やりづらさはほとんどないと思いますね」


 スーパーGT最終ラウンドはツインリンクもてぎで11月12日、13日にそれぞれ予選と決勝が行われる。各陣営、各チーム、そして各ドライバー、この最終2戦はそれぞれ万感交到る週末となることは間違いない。