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パリ発「ケンタ マツシゲ」が歌舞伎の演目に着想 和を感じるクリーンなスタイルが持ち味に

2016年10月23日 21:52  Fashionsnap.com

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パリ在住のデザイナー松重健太が手掛ける「ケンタ マツシゲ(Kenta Matsushige)」が、2017年春夏コレクションを発表した。秋冬シーズンのテーマに引き続き、歌川国貞の作品を起点にしながらも、新たに歌舞伎の演目「暫(しばらく)」から得たインスピレーションを加え、日本ながらの佇まいと品を感じさせるコレクションに仕上げている。


ケンタ マツシゲの和を融合したコレクションの画像を拡大

 「暫」は荒事の代表的な演目として知られているが、松重は単に演劇の名前ではなく、言葉が持つ「すぐでもなく、長すぎもせず」という意味を捉え、着る人が自分なりのペースと空間を作って過ごせるようにデザイン。和を意識したドレーピングを構築的に表現した四角い大きな袖が特徴的で、ペールトーンを使用することで伝統的なインスピレーションに穏やかさや軽快さを加えた。また、立体裁断で作られるブランドのアイコニックなシャツにはジャージー素材を組み合わせるなど、堅実さと柔軟さ、西洋と東洋のバランスを模索したという。
 仏ファッション賞「アンダム」2016年ファイナリストに選出されるも惜しくも賞を逃した松重は「デザイナーかつブランドディレクターとしては、自分をファッションデザインの立場から離し、自分の服の良さやこだわりを理解してもらうということといった"伝え方"についてももっとしっかり取り組まなければならないと学んだ」と話す。国内では現在、伊勢丹と熊本のブレイズナディ(BLAZE NADI)での展開され、パリでは取り扱い店舗はまだないが着物に着想した立体コートなどが好評で、和のエッセンスを潜めながらもクリーンでミニマルなブランドとして認知拡大を目指す。
Kenta Matsushige 2017年春夏コレクション