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嵐 松本潤が『Japonism』ツアーで見せた“かっこよさ”集大成 緻密な演出で繰り広げたソロの凄み

2016年10月22日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)タナカケンイチ

 8月に発売された嵐のコンサートDVD&Blu-ray『ARASHI LIVE TOUR 2015 Japonism』を鑑賞した筆者が、コンサートでしか見ることのできない各メンバーの魅力を、ここまで二宮和也、大野智、相葉雅紀、櫻井翔と紹介してきた。ラストは、嵐のコンサート演出を手がけている松本潤の魅力について考えていきたい。


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 『日経エンタテインメント!』(2016年8月号)「ジャニーズグループのライブ早分かり」にて、嵐のコンサートの特徴は「手を抜かない歌とダンス、A型属性炸裂の緻密で繊細な演出、団結力、先進性は、他の追随を許さない」と紹介されていた。松本はもちろんA型である。『Japonism』ツアーにおいてもその特徴が全体を通して発揮されていたが、「緻密な演出」がもっとも色濃く表れていたのは、松本のソロパートではないだろうか。


 松本といえば、自らのキザなキャラクターを逆手にとった『嵐にしやがれ』(日本テレビ系)の人気コーナー「THIS IS MJ」で見せるMJとしての姿が定着しつつある。MJでは、毎回ゲストとともに“かっこいい”ふるまいに挑戦しており、松本ソロ曲「Don't you love me」(アルバム『Japonism』収録)の披露では、MJで磨きをかけた“かっこよさ”の集大成を見ることができた。松本のソロパートでは、イメージカラーである紫のソファに横たわって登場した松本が、ジャニーズJr.扮する謎の追手から必死に逃れるというストーリー仕立ての演出が採用された。フランス発祥のエクストリームスポーツ・パルクールを取り入れたパフォーマンスである。パルクールとは、走る・跳ぶ・登るといった移動の動作を華麗に行う、世界的に注目を集めるパフォーマンスのひとつ。高い壁をひらりとよじ登り、進む道がなければ高所でも臆することなく飛び降りる。途中、左右から追手に挟み撃ちされそうになるが、一瞬の隙をついて逃げる松本。その計算され尽くされた動作は、まさに緻密そのもの。エンターテインメントの流行をいち早くキャッチし、演出に取り入れていく。松本のアンテナの高さがうかがえるステージングであった。


 コンサートというテーマで松本について考えると、演出の話題に終始しがちであるが、本公演では、松本の微笑ましい表情も多く目についた。とくに櫻井翔との“翔潤コンビ”で少年のようにはしゃぐ姿や相葉雅紀との“モデルズ”で仲睦まじく寄り添う姿は、見ているとつい笑みがこぼれてしまう。また、嵐の歌声の要である大野智とのユニゾン・ハモリパートが多く、「Love so sweet」で肩を組みながら歌う2人の姿に会場のファンも大きな声援を送っていた。


 コンサートを開催するたび、越えなければならないハードルが格段に上がっていく。演出を手がける松本は、他メンバーよりも大きなプレッシャーに苛まれることもあるだろう。しかし、松本にはそれをタフに乗り越える圧倒的な強さがあるのだ。松本がメンバーからの信頼と自信を持ち続ける限り、嵐が生み出す最高のエンターテインメントは更新され続けていく。


 いよいよ来週10月26日、ニューアルバム『Are You Happy?』がリリースされ、11月からは同作を携えた新たなツアーがスタート。はたして、次回はどのような世界観で私たちを楽しませてくれるのか。まずはアルバムの全貌を楽しみながら、ツアーへの思いを馳せたいと思う。(竹上尋子)