2009年に交渉がスタートし、技術規定統一に向けた動きがいまもなお続いているスーパーGT500クラスとDTMドイツツーリングカー選手権。この両者のコラボレーションに、新たな動きが見え隠れしている。GT500とDTMで採用された車両規定“クラス1”による世界選手権を生み出そうという動きがあるのだ。10月21日発売のオートスポーツNo.1442で詳しく触れられているので、その一部をご紹介しよう。
スプリントで、ツーリングカーレースを礎とするDTMと、GTカーレースでセミ耐久が礎のスーパーGT。もともとDTMとGT500は改造範囲に似た部分はあったが、両者の間で技術規定を統一し、両者のマニュファクチャラーがお互いのシリーズに参戦できたり、コストダウンを実現しようというアイデアがDTMから寄せられたのが2009年。
そこから両者は何度となく話し合いを続け、2012年には先行するかたちでDTMが2ドアクーペボディの新規定車を投入。メルセデスベンツ、アウディに加えBMWが参戦を開始した。一方、スーパーGTでは2014年に新規定車を導入した。
ただ、両者はDTMのエンジンが4リッター自然吸気V8、タイヤはワンメイク、レースはスプリントであるのに対し、スーパーGTでは2リッター直4ターボ、タイヤはマルチメイク、レースはドライバー交代ありのセミ耐久と、多くの部分で差異があった。
エンジン規定統一も進められていたが、ドイツの自動車メーカーを襲った排ガス規制問題等もあり、当初予定の統一スケジュールは実現していなかった。ただ、予定からはずれつつも、少しずつその距離は狭まってきているのが現状だ。
■クラス1規定が急展開!? 背後にはF1買収のメディアグループも
両者はその後も“クラス1”と名付けられた規定の統一に向けた動きを進めており、現在は19年にシャシー、エンジンの完全統一の予定で進められている。ただ、以前から完全統一に至るまでにも「交流戦を実現させたい(GTアソシエイション坂東正明代表)」という動きがあったが、そこからさらに一歩進んだ話が出てきた。それは、クラス1規定の世界選手権開催だ。
この情報はヨーロッパのジャーナリストからもたらされたものだが、FIAが主導して実現に動き始めており、F1を買収した世界的巨大メディアグループであるリバティメディアがともに動いていると言われている。そして、これらの動きがクラス1規定をツーリングカーレースの世界選手権として、現在人気が伸び悩んでいるWTCC世界ツーリングカー選手権にとって変えようというのだ。
日本のファンにとっては、スーパーGTが置き去りとなってしまうという危惧があるかもしれないが、GTA、そしてGT500クラスに参戦する3メーカーは日本のモータースポーツ界を支える意志が固く、「その可能性は皆無」とオートスポーツNo.1442では指摘する。スーパーGTは今までどおりGT500とGT300で争われ、「スーパーGTの勝者が世界に挑戦する図式を描くだろう」と。
もし仮にDTMが“ふたたび”世界選手権化したとすると、その動きはウエルカムとするメーカーもあるかもしれない。このクラス1規定が実現する際、最も関心を示したのがBMWで、クラス1が世界的な規模で規定が定められるからこそ参加を決めたと言われている。では、国内のメーカーは“世界戦”参戦の意志はどうだろうか……!?
詳報は、オートスポーツNo.1442をぜひご一読いただきたい。オートスポーツ編集部も「まだ断片的情報を得たに過ぎない」としているが、スーパーGTファン、DTMファンにとっては非常に気になるトピックスと言えるだろう。
オートスポーツNo.1442 電子書籍版
http://www.as-books.jp/books/info.php?no=AST20161021