日本GPでは、スタートを失敗したルイス・ハミルトン。その出遅れが響いて3位に終わり、ライバルであるニコ・ロズベルグとの差が33点にまで広がってしまった。レース後、メルセデスAMGのトト・ウォルフ(エグゼクティブディレクター/ビジネス)は、「われわれのマシンのクラッチは完璧ではない。狭いマシンの中でこのクラッチを完璧に操作するために、いまでは両ドライバーともグローブの縫い目にまでこだわっているくらいだ」と語っていた。
しかし、オースティンでメルセデスAMGの、あるエンジニアは「鈴鹿でのスタートの失敗はルイスが語っているように、ドライバーのエラー」だという。そのエンジニアによれば、ハミルトンの失敗の原因はメカニカル的なものではなく、精神的な問題だったという。
「それはフォーメーションラップを終えてスターティンググリッドに着いたときから始まったんだ。ルイスは自分がいたイン側が少しダンプ(半乾き)状態だったように見えたために、より完璧にスタートしなければならないと自分にプレッシャーをかけすぎてしまったんだ。実際にはイン側はルイスが考えていたほど濡れていたわけではなかった。しかし、アウト側のドライバーたちにやられてしまうと勘違いしたルイスはブラックアウトの瞬間、ホイールをスピンさせすぎてしまったんだ」
メルセデスAMG側のセッティングミスでなかったことは、チームメートのロズベルグのスタートが完璧だったことからもわかる。したがって、メルセデスAMGは今回のオースティンでも「鈴鹿と同じで何も変えてはいない」という。
つまり、鈴鹿でのハミルトンは、そこまで追い込まれていたわけである。その鈴鹿よりも状況が悪化したオースティンのレースで、ハミルトンがどんなスタートを見せるのか、注目したい。