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F1アメリカGP会見:スマホ問題で注目のハミルトン、一方「質問されない皆さん、今の退屈度は?」

2016年10月21日 14:21  AUTOSPORT web

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F1第18戦アメリカGP スマホ問題でお騒がせ中のルイス・ハミルトン
鈴鹿の木曜会見で“Snapchatゲート”を起こし、その後さらにチーム会見を途中退席するなどメディアとの緊張が高まっていたルイス・ハミルトンが再び招集されたとあって、USGPの木曜ドライバー会見は当然のごとくハミルトンに注目が集まりました。会見場の前では歩いてくる彼の姿を捕えようと大勢のカメラマンが待ち構えていましたが、それを察した王者は裏口からやってきて、早くも対決姿勢を露わに?  

 司会者からは当たり障りのない質問だけが向けられ、フロアからの質疑応答に移ってもまずは地元記者やフェラーリに関する質問であろうイタリア人記者が指名され、なかなかスマホの話にはなりません。このあたりはFIA会見を批判されたFIA広報マテオ・ボンチアーニの意向も? その間もカメラマンたちのレンズはハミルトンを捕え、彼が動くたびに大量のシャッター音が鳴り響きます。

 しかし会見スタートから15分が過ぎたところで、ついに誰もが聞きたかった話題に。政治ネタでお馴染みディーター・レンケン記者が指名されると、「あなたが(鈴鹿の会見で)ファンの質問を受けるべきだと言った通り、あなたのSNSに投稿された質問をします」と斬新なスタイルで斬り込みます。

「今年ニコがタイトルを獲ったらどうしますか?」と「引退や休養を考えたことは?」という2つの質問に対し、ハミルトンは次のように答えました。


「(ニコにタイトルを奪われたら)男らしく振る舞うよ。勝ち負けがあるのも勝負の一部だ。もし現実にそうなったら、僕は来年に目を向けてもっと強くなって帰ってくることを考えるよ」

「サバティカル(一時休養)は考えたことはない。レースを辞めるときは引退するときだ」


 冷静に真摯に答えたハミルトンでしたが、しかしここから記者陣の攻勢が始まります。ブラジルの名物記者リビオ・オリキオが「今さっきも写真を撮っていましたが、あなたの振る舞いを見直す機会では?」とチクリと指摘しつつ「ドライバーズパレードでヘッドフォンを付けてファンの声を聞かないのはいかがなものか?」と批判的な質問をしました。しかしこれに対してハミルトンは蕩々と持論を展開します。

「他のドライバーと話をしていたのでは、スタンドの応援フラッグやファンの人たち一人一人の声を見逃してしまう。僕はいつもパレードトラックの先頭に立って、ヘッドフォンだってよく片側を外してファンのみんなの声を聞いているんだ」


 さらにこの日の記者会見では、後列中央のロマン・グロージャンに自分のiPhoneを渡して写真を撮ってもらう場面が。それについてのオリキオ記者の指摘には、「(司会者から)ドライバー全員への質問が終わるのを待って撮ったんだ。僕にだって敬意を持って欲しい。みんなが映っていて良い写真だよ」と説明。むしろ、写真を撮れば指摘されるのを分かっていて、あのタイミングで撮った気もしますが……。

 ちなみに、グロージャンはマイクロソフトのアンバサダーなので本当はそのライバル製品であるiPhoneを公衆の面前で持ってはいけないのですが(苦笑)、「問題になるかもしれないけど、時差ボケってことで許してもらおう!」とグロージャン。


 一方、ハミルトンにはTwitterなどで一部のジャーナリストをブロックしたという話もありましたが、これについては「僕が全部操作しているわけじゃないし、チームでやっている。何か問題あるユーザーはブロックするというのが僕らの取り決めで、その一部だと思う。僕は誰がブロックされたのかも知らないよ」と意図的なものではなかったと説明。


 木曜会見は40分にも及び、やはりその大半はハミルトンへの質問に終始したのですが、その終盤に「鈴鹿でルイスがFIA会見にも変化が必要だとしてきましたが、質問の出なかった他の皆さん、今の退屈度は?」との質問が飛び出て会場は爆笑に。

「ルイスに集中しているから僕にとってはイージーな仕事だよ」と答えたニコ・ヒュルケンベルグを始め、各ドライバーとも「楽ちんだけど何らかの変化は必要かもね」と回答。

 鈴鹿での騒動についてはハミルトン自身も完全に納得していない様子ではありましたが、これ以上に事を荒立てるのは得策ではないと判断したのか、ひとまずは比較的大人しく終了したオースティンの木曜会見だったのでした。