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I Don’t Like Mondays.が考える、“世界基準”と“日本らしさ”の両立「ビルボードチャートでも勝負できるものを」

2016年10月19日 19:11  リアルサウンド

リアルサウンド

I Don’t Like Mondays.(撮影=竹内洋平)

 まるでデビュー当時のフランツ・フェルディナンドにも通じる雰囲気で“お洒落な女の子を踊らせる”ことを最大のテーマに掲げ、ソウル/R&Bやファンク、ポップス、インディ・ロックまで多岐にわたる海外シーンの流行を溶かし込んだサウンドを鳴らす4人組バンド、I Don’t Like Mondays.。彼らの2ndアルバム『FASHION』が完成した。


 最初から最後までキラー・チューンを詰め込んだ雰囲気だった1stアルバム『TOKYO』に対して、今回の『FASHION』ではアルバム全体の構成を意識。『CDTV』(TBS系)の7月エンディング曲「Tonight」を筆頭にポップな曲はよりポップに振り切れつつも、アルバム曲ならではの実験性を加えることで、『TOKYO』と『FASHION』の2枚でようやくバンドの全体像が把握できるかのような、華やかで巧みなポップ・ワールドを手に入れることに成功している。10月より始まるリリース・ツアーのファイナルとして、11月19日にはキャリア最大規模となるZeep DiverCity(Tokyo)での単独公演も控える彼らに、新作『FASHION』の制作背景を訊いた。(杉山仁)


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■「『FASHION』という言葉には「流儀」という意味もある」


――今回の『FASHION』というタイトルには、I Don’t Like Mondays.の魅力がよく表われているように思えます。そこでまずは、このタイトルにした理由を教えてもらえますか?


悠(Vo.):ひとつは僕らが音を表現するだけではなくて、ヴィジュアル面でも表現をしていきたいという気持ちがあるバンドだからですね。バンドをやっていて「ファッション」という単語を出すと、「チャラいんじゃないの?」「うわべで音楽をやってるんじゃないの?」と思われがちですけど、僕らは全然そうは思っていないんですよ。むしろ、バンドという形の中で、自分たちができることはすべて表現していきたいと思っているんです。


――そもそも、バンドが掲げている「お洒落な女の子を踊らせる」というテーマも、「お洒落な女の子のジャッジが世の中で一番シビアだ」という考えに基づいたものですよね。


悠:そうですね。やっぱり僕らは、音楽に詳しくない人でも楽しむことができて、かつ玄人の人にも理解されるものが最強だと思っているというか。玄人にだけ向けたものを作るんだったらそこに焦点を当てればいいわけですけど、それよりお洒落な女の子や中高生の子に「すごい」「かっこいい」って思ってもらうことの方が実は難しいことだと思うんです。つまり、「お洒落な女の子を踊らせたい」というのは「ハードルを一番高く設定しよう」ということですね。実際に今の僕らがどれだけ上手く出来ているかは別にしても、この目標ならそう簡単には達成できないし、そこを目指してずっとやっていきたいと思っているんですよ。


――言い換えれば、「シリアスになりすぎない」ことを「シリアスにやっていく」と。前作リリース以降活動が広がっていく中で、その気持ちが強くなってきたりもしていますか?


悠:前は漠然と「お洒落な女の子を踊らせたい」と思っていたものが、もっと明確にどうすればいいか分かってきたり、考えるようになってきた部分はあるかもしれません。実際僕らは、お洒落な女の子のファンが多いバンドだとは感じるんですよ。それに、自分たちが出会う可愛い子たち、皆の心を掴みたいぐらいに考えていて。そういうことがかなり明確に、研ぎ澄まされてきている部分はあると思いますね。


秋気(Dr.):昔から僕らのことを観てくれて、ライブに来てくれている人たちも、ファッションが変わってきたりしているんですよ。メイクが変わった子もいたりして。


悠:そうそう、それは僕らにとって純粋に嬉しいことなんです。そういうところまで楽しめるバンドを目指しているし、ファンの子たちにもそれを感じてもらえたら嬉しい。あと、『FASHION』という言葉には「流儀」という意味もありますよね。デビューから2年経って、最初はがむしゃらだったところから、今はどんなことがやりたいか、どんなバンドを目指したいかということが僕ら自身明確になってきているんです。だからこのタイミングで、自分たちの流儀をヴィジュアルも合わせて表現しようと考えたんですよ。


――その結果、今回の『FASHION』は「Introduction」から始まって、途中にもインストの「Right before sunset」があったりと、全体の構成が練られた作品になっていますね。前作『TOKYO』にあったキラー・チューンをとにかく詰め込むような雰囲気とはまるで対照的です。


兆志(Gt.):前作は当時の集大成としてああいう形の作品になったんですけど、セカンドで一緒のことをしてもしょうがないというのがあって。今回は若い世代の人たちにも、CDを最初から最後まで聴いてもらえるようなものを作ろうと考えたんです。


悠:今の時代ってAppleMusicやLINE MUSICでプレイリストを作ったり、シャッフルして聴くことの方が主流で、アルバム全体を通して聴かない人が多いと思うんです。だからこそ、「そのままでもいいプレイリストになっている」アルバムを作ろうと思ったんです。


――流れを作るにも様々なパターンが考えられたと思うんですが、今回の構成は、具体的にはどんな風に考えていったんですか?


悠:せっかく2作目なんで、作る前から「『Introduction』は入れたい」と思っていたんです。あとはキーとなる曲を並べて聴いていったんですけど、その時に「ここにもっとこういう曲がほしい」というものを作曲していきました。テンポ感もそうだし、僕の場合は歌詞でも、「ここで甘いラブソングがほしいな」と感じたら変えていったりして。前作は全曲シングルとして聴けるものを目指した作品でしたけど、今回はその結果、いわゆる“アルバム曲”のようなものを初めて作ることになったんです。


兆志:これにはライブで感じたことも関係しているんですよ。『TOKYO』を作ってから初めてワンマンを2回やったんですけど、1曲1曲が強すぎて、セットの中で山を作ることが難しく感じた部分があって。だから、今回アルバム曲のようなものを作ることで、リリース以降のライブで「谷」の部分も作ることができると思ったんです。


悠:音数が少ない「Marry me」や「Stranger」はまさにそうやって出来た曲ですね。「Stranger」は2回目のAメロが変わったりしていて、こういうソウルっぽいものもずっとやりたいと思っていた曲です。一方の「Marry me」は、僕個人としては好きなんですけど、このバンドでやるとは思っていなかったようなタイプの曲ですね。


――何しろドラムが入っていないですよね。リズムは秋気さんのシェイカーだけで。


秋気:たぶん『TOKYO』の時の僕らだったら、もっとシングルとして出すことを考えて、こういうアレンジにはしてなかったと思います。でも、今回はアルバムの流れで考えた時に、ここで一回落とした方が全体の中で区切りがついていいと思ったんです。


■I Don’t Like Mondays.とThe 1975は精神性が似ている?


――曲単体のキャッチーさを追究していた前作に対して、今回はアルバムの全体像の中でどう聞こえるかを重視していった、ということですね。その結果、サウンドの振り幅も一気に広がっています。


悠:僕ら自身、自分たちが飽き症だということはよく分かってるんで(笑)。それに「僕らは『Crazy』のような曲ばっかり作るバンドです」ということになると、やっている自分自身が白けてしまう。当然、僕にはシリアスな面だってあるわけですから。アルバム全体の流れとしても、映画と同じように何か途中で事件があって、気持ちが落ちて、でも最後に向けて上がっていく――。そういう雰囲気を一番意識したかもしれないです。ただ上がっていくだけだと飽きちゃうし、奇をてらい過ぎても伝わらないし。


――I Don’t Like Mondays.はリスナーとしても様々な音楽を聴いているバンドですし、ミュージシャンとしての素顔は、実はこだわりが強い職人気質な人たちだと思います。たとえば最近好きな音楽や、今回特に影響を受けた音楽を挙げるなら?


悠:好きな音楽で言うと、僕の場合、最近は特にヒップホップやクラシック、あとヒーリング・ミュージックですね。イルカの声とか(笑)。まぁ、中心はヒップホップです。カニエ・ウェストもエイサップ・ロッキーも、結構ゴリゴリのビッグ・ショーンとかも聴いていて。


秋気:たとえば、「Fashion」はポリスを意識しているし、(トロピカル・ハウス的な要素が入った)「Tonight」や(バンド・サウンドとエレクトロとが融合した)「Game over」は逆に最近の音楽に影響を受けていて。時代的にも色んな音楽の要素が入っていると思います。「Freaky boy」はハウスやテクノに影響を受けた曲ですね。


悠:「Stranger」はプリンスを意識した曲ですね。実験として成功したのは「Crazy」や「Freaky boy」。「Crazy」の元のアイディアは80sのファンク・ミュージックで、今までの僕らのシングルらしい曲ではありますけど、その中でもちょっと違うことをやろうとして作った曲なんですよ。


謙二(Ba.):80s感を出すためにベースも打ち込みでやりました。そこに最近のビルボード・チャートに入っているような新しい要素も入れて、結果としていいバランスに落ち着きましたね。


悠:80sっぽいという意味ではクローメオとかも好きだし、ロビン・シックとかも好きだし、バンドだとThe 1975も好きなんですよ。


――The 1975は、精神性も含めてI Don’t Like Mondays.に似ている気がしますね。


悠:バンドという形式にとらわれないところなんかも、そうかもしれないですね。


謙二:あとは、ジャスティン・ビーバーがエド・シーランとやっている「Love Yourself」(15年の『Purpose』に収録)みたいなアコースティックの曲がほしいと思い、「Marry me」を作ってみたりとか。


悠:結局、僕らは昔のものも最新のものも好きなんで、「それを掛け合わせたらどうなるんだろう?」とか、その結果「自分が聴いてみたいものを作りたい」と思って曲を作っているんです。「ジャスティン・ビーバーとあれを掛け合わせてみたらどうなるんだろう?」って。


兆志:僕だと「Freaky boy」のギター・ソロもそうですね。これはダフト・パンク(の新作でギター・ソロを弾いていたナイル・ロジャース)とジェフ・ベックがエレクトロっぽいことをやってる時期に影響を受けてる部分があるのかな、と今思いました。


――ちなみに、今回一番苦労した楽曲はどれだったんですか?


謙二:最後の「Life」は一番苦しかったですね。この曲は一歩間違えると普通のバラードになってしまうというか。


兆志:何かしらの違和感がないとダメだと思うんで、ミックスの時にも知恵を絞りました。


悠:歌詞も大変でしたね。今までの流れを考えた時に、ここでまた<Hey, baby>みたいなノリになるのは違うというか。もう一皮めくらないと通用しないと思ったんですよ。それで今までになかった、人生のような大きなテーマを落とし込むには「どうすればいいんだろう?」って色々考えて。


――この曲はいわゆる「一日のデート」ではない、もっと大きなテーマを扱った曲ですね。この曲が最後にあることは、全体の構成にとっても意味のあることのように思えます。


悠:そうですね。かといって、これまでと違い過ぎるのもどうかと思って、全体に溶け込むようにバランスを取るのが大変でした。あとは「Crazy」も苦労しましたね。完成版は曲の頭がいきなりサビですけど、最初はAメロからスタートする曲だったんです。でも、「何か足りない」と思って。それで頭をサビに変えて、AメロもBメロも録り直して、メロディを変えて歌詞を直して。最終的にはいい形になって本当によかったです。


――海外と日本との距離という意味では、どんな風に感じているんですか?


悠:僕らはJ-POPという枠組みの中で音楽をやらせてもらっていますが、同時に「ここはJ-POP過ぎるぞ」というところは、改良したりすることもあるんです。ワールドワイドの人に聴いてもらいたいという気持ちもあるので。でも、かといってアルバム全部を英詞にして、日本の人たちに受け入れられないものを作りたいわけではないというか。僕らの世代ってYouTubeもあるし、普通の小学生がワン・ダイレクションやジャスティン・ビーバーを聴いているように、垣根がなくなってきている部分は確実にあるはずで。ただ、それを変に「海外に憧れる」という感じにするんじゃなくて、ただ「ビルボード・チャートでも勝負できるもの」を追究したいと思うんです。ワールドワイドでいいとされているものが好きなので、それをたまたま自分たちがいるこの地域で消化して、それを越えたものを作りたいという気持ちなんです。僕は宇多田ヒカルさんの新作もRADWIMPSも好きですし。それをバンドにエッセンスとして落とし込むかというと別ですけど、みんなそれぞれに好きな人は沢山いて。みんながいいと思うものは、やっぱり何かいい部分があるじゃないですか。だから、Mr.Childrenも聴くし、エイサップ・ロッキーも、イルカの鳴き声も聴く、みたいな(笑)。


■「ずっと英語で歌っているところに日本語が少し出てくると、そのワードが一番抜ける」


――海外の音楽に影響を受けて音楽を作っていても、同時に日本のリアリティも入っているところが素晴らしいと思うんですよ。それが海外の人には個性に見えると思いますし、日本の人にも他にない音楽に聞こえる部分があるように思います。


謙二:それは嬉しいです。どこかでそういう「血」のようなものが入ってくるんだと思うんですよ。あと、「メロディがいいものを作れば大丈夫だ」ということを前作の『TOKYO』で確信出来たことで、今回の『FASHION』がより自由に出来たのかな、とも思いますね。


――『TOKYO』があったからこそ、『FASHION』が出来た、と。


悠:そうですね。「『ここを外すとキャッチーさがなくなる』というギリギリのラインは超えないでおこう」「でも、音楽に超詳しい人が聴いても『すげえな』と思ってもらえるようなものを作りたい」という意味では、前作を作ったことで、今回はよりギリギリまで行けたと思います。今回はセルフ・プロデュース曲も増えたんで、音色も自分たちでかなりこだわっていて。歌も曲ごとにマイクを変えて録ったんですよ。


――中でも、それぞれが一番こだわった曲を挙げるなら?


謙二:個人的には「Fashion」ですね。最初にギター、ドラム、ベースでベーシックを録った時に、全然俺らっぽくない、土臭い感じになっちゃって。最初、ベースはもっと動くフレーズを弾いていたんですけど、最終的にはフレーズではなくて音価(音にあてられた時間の長さ)や音数を調整して、どうするかを録りながら頭を回転させて考えていきました。改めてシンプルに弾くことの大切さに気付けた曲ですね。他の曲もそうですけど、周りの音をより聞けたという意味でも、自分の中では成長があったと思います。


秋気:僕は「Marry me」ですね。この曲はシンプルだからこそ難しくて。パッと見で一秒でも早く聴き手を楽しませるのが「キャッチーな曲」だと思うんですけど、メロディの性質として、10年後20年後でも聴ける「長く聴けるメロディ」というのもありますよね。今回の『FASHION』は、全体的に長く聴けることに気を付けながら作っていったんですけど、そういう曲って僕らはこれまで作ってこなかったんで、メロディをとことん追究することで新しい構成が見えてきたんですよ。メロディラインはどのぐらいの歌の高さがいいか、どういう歌い方がいいか、そこに加わるハモリやラインがどんな風に聞こえるのがいいかということを、これまでで一番追究した曲です。


――秋気さんがドラムを叩いてない曲を上げるというのは面白いですね。


悠:結果、僕が言おうと思っていたことを言われちゃいました(笑)。他にも沢山あったと思うのに。でも、「Marry me」は歌詞の面でもこだわりがあって、日本の人が聴いても外国の人が英語だけを読んでも、どっちから攻めても成り立つように出来たと思っているんです。その変化のきっかけになったのは「Tonight」ですね。今までは英詞の量が曲の雰囲気を決めると思っていたけど、この曲から一番聴こえてくるところに英語と日本語のどっちのワードを乗せるかによって捉え方が変わることに気付いたというか。たとえば、ずっと英語で歌っているところに、日本語が少し出てくると、実はそのワードが一番抜けてきますよね。これは英語も日本語も両方使っているからこその歌詞の作り方だと思っていて。「Tonight」は、シングルなんで最初はもっと日本語を立たせようと思っていたんですけど、あえて入れずに、<あなたとならきっと迷わない>という一行だけを入れたら、その部分がドン! と抜けてくるようになったというか。その時に、「こういう歌詞の作り方もあるんだ」って気づいた部分があって、それ以降に作った曲では、今までなら日本語にしていたところもあえて英語にして歌詞を作っていった部分がありますね。


兆志:僕の場合は、「Stranger」のギター・ソロ。セルフ・プロデュースの曲を最後にどんどんレコーディングしていって、ギター・ダビングが別の日にあったんです。そこで「今日は終わりでもいいかな。明日でもいいんじゃない?」という話になったのに、「いや、今日やろう」と思ってあのギター・ソロを弾いて。次の日にもう一度弾いたんですけど、気持ちが乗っていたのか、前日の最初の方のテイクが一番よかったんですよね。この渋いギター・ソロを入れられたのは嬉しかったです。手元でヴォリュームを絞ってリアルタイムで上げたりしてるんで、よく聴いてもらうとそれも聞こえてくると思いますよ。


――様々なこわだりを詰め込みつつ、同時に正面切って「ポップ」と言い切れるアルバムが完成した今、ツアーに際してはどんなことを考えていますか。


悠:今回はライブのアップダウンの中で「こういう曲があったらいいよね」という曲を作れたので、セットリストを組みながらリハをやっていても、細かい演出を組まなくても楽しめるようなものになるのを感じていますね。その上に面白いことを乗せていきたいというか。


兆志:あとは、地方にワンマンで行くのは初めてなんで、地方で待ってくれている人たちにとってはまだ聴けていない曲がいっぱいあると思うんですよ。『TOKYO』にもいい曲が沢山あるし、新作の『FASHION』にも聴かせたい曲が沢山あるし。その辺りのバランスはうまく考えたいですね。


――それぞれタイプの違う『TOKYO』と『FASHION』が2つ揃ったことで、ようやくI Don’t Like Mondays.の全体像が分かるようになったという雰囲気もありますしね。


悠:まさにそうですね。この間秋気も全く同じことを言っていたんですけど、僕らにとって『FASHION』は『TOKYO』の延長線上にある作品ではないんです。むしろ、『TOKYO』では出せなかった僕らの別の部分を出したアルバムで。だから、今回『FASHION』を作ったことで、僕ら自身はようやくフラットになった感覚があるんです。つまり、僕らの中で『TOKYO』の曲は古くなっていないということですね。『FASHION』の初回限定盤に『TOKYO』の頃の曲のMVも入っているのは、それを象徴することかもしれないです。


――これからバンドはどうなっていくんでしょうね?


謙二:まぁ、自分たちでも分からないですよね。


秋気:(笑)。『TOKYO』を作り終わった頃には既に、次は『FASHION』のようなアルバムを作ろうということが見えていたんですよ。全曲シングルカットができるようなアルバムの次は対極のものにすることで次の可能性が広がると思っていたし、『TOKYO』の方向性でもうひとつアルバムを作ってしまったら、ずっとそれを続けないといけなくなると思って。


――なるほど。『FASHION』が完成したことで、次はどうなるか分からない展開がやっと始まる、ということですか。


悠:そうです。だから……次はどうなるんでしょうね? イルカかなぁ(笑)。聴いてくれた人の心を癒す周波数を持ったイントロを作るとか。これ新しくないですか?


秋気:(『TOKYO』収録の)「Sing」でも動物の鳴き声を入れてたりするんで、完全にないとは言いきれない……。


謙二:まぁ、バンドとして採用するかどうかは分からないですよ、それは(笑)。