ルノーF1のチーム代表、フレデリック・バスールは、ニコ・ヒュルケンベルグの持つ統率力とモチベーションを高めさせる能力を称賛、それこそが彼と契約した主な理由だと語った。
フォース・インディアとの契約を1年残し、ヒュルケンベルグはルノーに引き抜かれる形で複数年契約に同意した。
現在29歳のヒュルケンベルグは、過去にバスールと仕事をした経験を持つ。バスールのARTグランプリチームで、2008年のF3ユーロシリーズおよび2009年のGP2タイトル獲得を成し遂げたのだ。
バス―ルはヒュルケンベルグがチーム向上の推進役になると確信している。
「ニコは、特に彼がGP2シリーズに参戦した最初の年にタイトルを取るなど、確実に実績を残してきた」と彼は語った。
「今までこれを成し遂げたのは、ニコと、ニコ・ロズベルグ、それにルイス・ハミルトンの3人だけだ」
「彼は、ル・マンを含む自身のキャリアすべてで成功を収めてきたんだ」
「彼はまた真のリーダーであり、チームをやる気にさせて動かす力を持っている」
「経験豊富で、しかも非常に速い。それこそが発展途上にある我々にとって重要な要素なのだ」
「技術的観点からいえば、経験豊富で注意深いドライバーは我々に有益なフィードバックをくれるし、車に求めるものも正確に理解している」
「それによってチームが素早く、効率的に作業することができるのだ。彼がチームに来てくれるのは本当にうれしい」
マネージングディレクターのシリル・アビテブールは、ヒュルケンベルグがチームのプランにおいて良い時期に加入してくると信じている。コンストラクターとしてF1に戻った初年度は厳しい戦いを強いられているルノーだが、今シーズンの経験をベースに向上を積み重ねていこうとしている。
「彼には経験があり、かつ今でも成功を収めることに貪欲だ。彼がチームのプランを完璧なものに仕上げてくれるはずだ」とアビテブールは語った。
「2017年以降、彼と仕事ができることを本当に楽しみにしている。チーム全体がワクワクしているんだ」
■ヒュルケンベルグがバス―ルのもとで成し遂げた輝かしい成功の記録
2000年代後半、F1に昇格する前のヒュルケンベルグは、その成功の大部分をバスールが率いるASM/ARTグランプリ・チームにおいて達成した。
ヒュルケンベルグは2005年ドイツ・フォーミュラBMWのタイトルを獲得、A1グランプリ2年目の2006-07シーズンにチーム・ドイツをチャンピオンへと導いた。2006年にドイツF3に参戦した後、2007年、彼はARTの前身ASM F3チームに加入し、ロマン・グロージャン、小林可夢偉、トム・ディルマンと組み、F3ユーロシリーズを戦った。
F3での2年目のシーズンとなる2007年には、チームメイトのグロージャンやミュッケのセバスチャン・ブエミとのタイトル争いには加われなかったものの、4勝を挙げてランキング3位を獲得、マスターズF3も制した。
2008年にはもはやヒュルケンベルグを止める者はいなかった。エドアルド・モルタラや、その年チームメイトだったルーキーのジュール・ビアンキらを抑えてヒュルケンベルグは圧倒的な強さでタイトルをもぎ取った。
2009年にはARTのGP2チームに昇格、シリーズの主導権を徐々に握っていった。ヒュルケンベルグは、チャンピオン候補と目されていたグロージャンがシーズン途中にネルソン・ピケJr.の後釜としてルノーF1チームに移籍するよりも前から、タイトル争いの先頭に立っていた。
ヒュルケンベルグはビタリー・ペトロフやルーカス・ディ・グラッシを抑え、2009年GP2タイトルを獲得した。ルーキーでGP2チャンピオンの座に就いたのは、これまでルイス・ハミルトンとヒュルケンベルグのふたりだけだ(ロズベルグがタイトルを獲得した2005年はGP2初シーズンであり、厳密には全ドライバーがルーキーとみなされるため、対象外とする)。