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UQ&テルル・KoharaRT MotoGP第15戦日本GPレースレポート

2016年10月19日 01:21  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

岡崎静夏
2016 FIM MotoGP 世界選手権シリーズ第15戦 MOTUL 日本グランプリ
栃木県・ツインリンクもてぎ(1周=4.801379km)

岡崎静夏
Moto3予選:34番手(タイム:2分02秒753)
決勝:26位

天候:
2016年10月15日(土) 天候:晴れ コース:ドライ
10月16日(日) 天候:晴れ コース:ドライ

観客動員数:8万8472人(3日間合計)

■世界を垣間見た経験を糧に成長を誓う
 UQ&テルル・Kohara RTの岡崎静夏が、ツインリンクもてぎで行われたMotoGP世界選手権シリーズ第15戦MOTUL日本グランプリにワイルドカードで参戦した。日本人女性ライダーとして21年振りのエントリーとなり、メディアを始め、多くの注目を集めた。

 レースウイークは、3日間とも快晴となり天気に恵まれた。マシンは、全日本で使っているTSR3だが、共通ECUとデータロがーが木曜日に供給されメカニックは搭載作業に追われる。その特性も違うため、マシンを理解するところから始まった。

 フリープラクティス1では、それでも2分03秒064と自己ベストに近いタイムを出すが、トップとの差は5秒541の最下位といきなり世界の壁を実感する。それでも世界のライダーと一緒に走ることで、岡崎自身に何が足りないかを実感。マシン特性を理解し、少しでも世界に近づくために、もがく戦いが始まった。

 監督の小原も、岡崎が少しでも乗りやすいマシンに仕上がるようにマシンセットを進めて行く。その甲斐もあり、フリープラクティス3では、2分02秒480までタイムを縮めることに成功する。

 しかし、セッション終了間際に他車に抜かれる際、ラインを外したところ、コース上に出ていた砂に乗ってしまい転倒を喫してしまう。幸い軽い転倒だったためライダー、マシンは軽傷で済み、公式予選に臨むことができていた。

 さらにタイムを削ろうとした予選では、うまくタイムを伸ばすことはできずに終わったが、バイクのフィーリングはよくなってきており、自分自身の課題を明確にしてレースを走ることを決めていた。

 決勝日も雲一つない快晴となり、いよいよレースを迎える。シグナルがブラックアウトし、一斉に34台のマシンが1コーナーを目指す。世界のライダーは、スタートもうまく、あっと言う間に置いて行かれてしまう。

 何とか少しでも付いていき、走りを見たいところだったが、気持ちが先に行ってしまいブレーキングを遅らせすぎてしまい逆に離されてしまう。単独走行となった岡崎は、気持ちを入れ替え、ブレーキングからの一次旋回、アクセルの開け方など自分自身の走りを見つめながら世界選手権という舞台で周回を重ねて行く。

 そんな岡崎に、コースのいたるところにいるお客さんが声援を送ってくれていた。それを励みにライディングに集中した岡崎は、残り2周で、このレースでの自己ベストをマーク。26位でチェッカーフラッグを受けたのだった。

岡崎静夏コメント
「まずは、今回の参戦にご協力くださった皆さんに感謝申し上げます。世界との差は、大きなものがありましたし、自分に何が足りないかが明白になったと思います。自分のレース人生の中で大きな経験になりましたし、この経験を生かすも殺すも自分次第なので、まずは、全日本最終戦鈴鹿で、その成果を出せるように、しっかり考えて臨みたいと思っています。支えてくださった小原監督、チームの皆さん、家族、応援してくださった、すべての皆さん、本当にありがとうございました」

小原斉監督コメント
「最初から世界と戦えるレベルでないことは分かっていましたが、本人の強い希望もありましたし、参戦できるチャンスは、そうありませんから世界のトップライダーと一緒にコースを走って何かをつかんでくれればいいと思っていました。岡崎がレーシングライダーとして成長していくことが、応援してくださった皆さんへの恩返しになるはずです。数年後に今回の日本GPに出たことが“転機”になったと語ることができれば、この参戦は十分意味があったと言えることになるでしょう」