結婚しない男女が増えていると言われているが、厚生労働省が先月発表した人口動態統計(確定値)によると、2015年の婚姻件数は、戦後最小の63万5156組であったという。昨年結婚していっしょになった男女は、全国あわせても130万人にも満たなかったということになる。
婚姻件数が落ち込めば、当然出生数も減る傾向にあるし、少子化も一層加速してしまう。だけど肝心の若い世代にとって、いまや子育て以前に恋愛にすらそのメリットを見出せなくなっている時代になりつつある。(文:松本ミゾレ)
「世話焼き」が恋愛慣れしていない男女の後押しをすればいい?
さらに厚労省が昨年実施した「第15回出生動向基本調査」によると、18~34歳の未婚者で、恋人のいない男性は69.8%で7割近く、女性の場合も59.1%と、こちらも6割近い数に上っている。
また、この調査では男女双方の独身者のうち、男性の30.2%、女性25.9%が「とくに交際を望んでいない」との意思を表示していたことも紹介されている。男女共に3割近い人々が、そもそも恋愛に興味がないと考えているということだ。
産経新聞は16日付けの記事でこうした状況に触れ、さらに2013年に内閣府が発表した「結婚・家族形成に関する意識調査」で、男性の34.2%。女性では47.6%が「交際相手との結婚を考える」と回答していた点を紹介している。付き合う相手さえいれば、結婚についての意識を抱く男女はこんなにも多いのだ。
その上で記事では、「お見合い」の復権を提唱している。出会いの機会を提供するだけでなく、「世話焼き」が一肌脱ぎ、恋愛に不慣れな男女をサポートするべき、というのだ。そのほか、「恋愛塾」の普及や、いろいろな場所に夫婦で出席するのが当たり前の文化を根付かせる、といったことを提唱している。
「お節介にお見合いすすめられるのはウザイだけ」という声相次ぐ
これについて、いくつかのネット掲示板では、色々と意見が書き込まれていた。たとえば筆者がよく取り上げる「ガールズちゃんねる」では、こうした声が出ていた。
「お見合いしてまで結婚したいと思わない」
「恋愛が面倒くさい、結婚する気ない人からしたらお節介にお見合いすすめられるのはウザイだけだよ」
「本人が望んでないのに、周りが無理矢理相手を斡旋して産めよ増やせよ? なんかおかしいよね。しかも夫婦者じゃないとおかしいみたいな文化を根付かせるとか。差別促進してどうするよ」
ざっとこんな感じで、結婚したくないから恋愛もしていないという声が目立つ。やはり受け入れられない人が多いようだ。
若者を取り巻く環境を変えて結婚を後押ししても、金がなきゃ物事は上手くいかないし、そもそもどこの誰が若者たちの恋愛をサポートしてくれるのだろうか。昔は会社やら地域社会やらでお見合い話を持ちかけてくるおせっかいな中高年も目にしたが、今の中高年がそれをしていないから婚姻件数も減っている側面だってないとも言えまい。
恋愛と結婚、今の時代にデメリットを考慮せず勧められても困る…
僕は今回の調査結果を目にして、「とくに交際を望んでいない」とする意見を持つ男女がそこそこ多かったことにある意味で納得している。たしかに、このまま超高齢化社会が加速するのは不味いとは思うけど、肝心の今の若い世代の人々にとっては、恋愛どころではないという状況だってあるはずだからだ。
この手の回答をする人々の中には、恋愛や結婚をメリットとデメリットで比較した上で、自分がすべきではないと考えたというケースもあっただろう。たとえば、現在の収入状況ではデートだってそう頻繁にできないし、結婚しようにも資金がなければ、将来的にマイホームも持てるか不透明ということだって考えられるはず。
結婚のメリットって、愛し合っているパートナーと2人で暮らしていけることだったり、将来的な介護の不安を幾分解消するとかだったり、色々とある。だけど、それよりも独身でいることの方が精神的にも経済的にも、よほど負担が軽いと考えている人は大勢いるはずだ。
当面の生活を続ける上でのメリットとデメリットを考えるだけでは味気ないが、考えなしに結婚して泥沼に陥るよりはよほどマシだろう。
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