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関口雄飛 スーパーGT第7戦タイ レースレポート

2016年10月18日 11:01  AUTOSPORT web

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表彰台の最上段に立つ関口雄飛と国本雄資
2016年10月17日

SUPER GT第7戦、灼熱のタイ。圧倒的な速さと強さで完全制覇!
関口雄飛、初のポール・トゥ・ウィンで待望のGT初優勝を飾る!

 2016年国内モータースポーツの頂点となるスーパーGTは、シーズン唯一の海外戦として、第7戦「2016 AUTOBACS SUPER GT Round7 BRIRAM SUPER GT RACE」が、10月8~9日に、タイ王国ブリラム地方のチャン・インターナショナル・サーキットに於いて開催されました。

 LEXUS TEAM WedsSport BANDOHは、この気温が高く、路面がフラットなサーキットとヨコハマタイヤのマッチングに自信を持っており、スーパーGT、GT500クラスへの参戦を開始して6年めの初勝利に対して、大きな期待を胸に抱きつつタイに向かいました。

 いつものように、チームより1日早くタイ入りしてコンディションを整えた関口雄飛は、肌を射るような強い陽射しの太陽をものともせず、元気一杯でサーキットに現れました。

 ふたりのドライバーは金曜日に現地サーキット入りし、エンジニアたちといつも以上に入念なミーティングを続けました、

 土曜日のフリー走行、天候は晴れ。走り出しから好調で、あっさりとトップタイムをマークして走行を終えた関口雄飛、そして国本雄資選手のふたりには、いつも以上の笑顔が見えました。

 ロングラン・テストでのペースも悪くなく、予選用セットアップにもいい手応えを感じていたからです。

 午後3時から実施された予選Q1、気温28℃、路面温度34℃というコンディションのなか、まずは国本雄資選手がステアリングを握ります。いつものように全車がウェイティングする中、開始4分で先陣を切ってコースインした国本雄資選手は、数周、ゆっくりとタイヤを温め、まず1分24秒789のタイムをマークしトップに浮上。

 最終的に4番手でQ2へ進出することとなり、関口雄飛にステアリングを委ねます。セッションの合間に、やや陽射しが陰り、気温、路面温度ともに微妙に下がりつつある状況を見て、国本雄資選手がタイヤチョイスの変更をアドバイス。

 チームのエンジニアも、関口雄飛もそれに同意し、セットアップを微調整してQ1とは異なるコンパウンドのタイヤでQ2に臨みました。

 開始早々にコースインした関口雄飛は、まず1分24秒490で2番手を奪うと、それに満足することなく、更に渾身の連続アタックに突入し、最後の最後にコースレコードを更新する1分24秒304をマークし、自身初のGT500クラスポールポジションを獲得しました。
(注:関口雄飛は、2013年7月の第4戦菅生で、予選Q1でトップタイムをマークし、チームメイトがQ2でポールポジションを決めた実績がありますが、公式記録ではQ2でトップタイムをマークしたドライバーがポールポジションと記録されるので、実質的には2度目ですが、今回が初めてのポールポジションという表記となります)

 決勝当日、朝のフリー走行でマシンのフィーリングに細かな違和を感じた関口雄飛と国本雄資選手は、予定されていたフリー走行での確認メニューをこなしたものの、決勝直前までエンジニアとセットアップに関するミーティングを続けます。決勝スタート前の8分間のフリー走行で、そのセッティング変更を試し、トップタイムをマークした関口雄飛は、自信をもって決勝レースに臨みました。

 決勝レースがスタートする頃には、気温33℃、路面温度は44℃にも達し、灼熱の戦いが予想されました。レースはスタートドライバーを命じられた関口雄飛が無難にトップを奪い、そのまま順調にレースをリードし、後続とのギャップを広げていきました。3周目に後続との差を1秒5と開いた関口は、7周目には4秒、そして30周目には8秒と着実にリードを広げていきます。

 ピットからは残り5周と無線で指示が飛び、当初の予定では36周目まで引っ張ってドライバー交代とタイヤ交換をする予定でした。しかし32周目、無線で関口雄飛のほうからピットに「左タイヤがバースト、ピットに戻ります」と冷静な声が届き、ピットも急きょその準備に追われました。

 幸い、最終セクターでの出来事だったため、19号車は大きなロスをすることなくピットに戻り、素早いピット作業で国本雄資選手が再びコースインしていきました。

 いったん6番手まで順位を落とした19号車でしたが、全車がピット作業を済ませた38周目には再びトップに浮上し、2番手を11秒リード。ライバルたちを寄せ付けない速さを見せる19号車にとって、さらに2番手を走るマシンにドライブスルーペナルティーが科せられたことによって、その時点で3番手を走るマシンとのギャップは25秒と大きく開いており、タイヤを労わるべくペースをコントロールする余裕も生まれました。

 ファイナルラップ、チーム全員が勝利を確信するものの、最後の最後まで何が起こるかわからないスーパーGTレースだけに、全員が祈るような気持ちで、固唾をのんでモニターを見つめます。

 そしてトップで国本雄資選手が最終コーナーを立ち上がり、歓喜のチェッカーを受けた瞬間、LEXUS TEAM WedsSport BANDOHのピットでは喜びが爆発しました。

 チームとしてGT500クラスにステップアップして6年目、待望の初優勝をポール・トゥ・ウィンという完璧な形で飾ったのです。この勝利でチームランキングも5位に浮上。最終戦に向け、逆転シリーズチャンピオンの可能性も見えてきた価値ある勝利でした。

■関口雄飛のコメント
「やりました!!本当に嬉しいです。坂東監督とずっと勝利に向かって頑張ってきて、その瞬間を分かち合え、その勝利の一端を担えたのが嬉しいです」

「今回の週末を振り返ってみると、まず持ち込んだセットが非常によく、微調整程度で土曜日の朝のフリー走行から満足のいくセットアップを見いだせました。ですから予選には自信を持って臨めました」

「Q1で国本雄資選手がいい結果でバトンを渡してくれて、変わりゆく路面コンディションや状況をアドバイスしてくれました」

「確かに路面温度が下がってきていたので、そのアドバイスに基づいてタイヤ選択を変更し、セットアップを微調整してアタックしました。ポールポジションを獲得できて嬉しかったですし、国本選手のアドバイスに感謝しています」

「決勝は、天候が不安定な要素ではありましたが、土曜日のフリー走行でロングランのタイムも安定して速かったですし、ペースも落ちなかったので、自分たちの走りが確実にできれば、絶対に勝てると思っていました」

「しかし、日曜の朝のフリー走行で昨日と違ったフィーリングの部分があって、決勝前の8分間のフリー走行までにそれをアジャストしたんです。その結果、8分間のフリー走行ではトップタイムを出せたので、再び自信を持ってスタートに臨めました」

「スタートからリードを築くつもりでしたが、序盤は思ったより後続車が僕のペースについてくるのでちょっと意外でしたが、5周目からは予定どおり離れ始めて、自分のイメージどおりの展開になりました」

「そうなれば、あとはリードをできる限り広げて国本雄資選手に渡すことだけを考えて飛ばしました。大きなリードがあればあるだけ、メカニックさんも落ち着いてミスなく作業ができますし、チーム全体にとって楽な展開になるからです」

「でも無線で『あと5周ね』と言われた周のターン7でいきなり左リヤがバーストし、焦りはしましたが、なんとかピットまではいけそうな感触だったのでペースダウンはできる限りしないように(笑)、無線でピットに連絡し、ギリギリまで攻めながらピットインしました」

「ピットも落ち着いて作業をしてくれましたし、国本雄資選手も同じタイヤを履いて出て行っただけにペースが心配でしたが、2番手を走っていたチームにペナルティが出て、3番手には20秒以上の差がありましたから、実際にはそこから楽になりましたね」

「国本選手もタイヤを労わりながら、できるだけスライドさせずにペースをコントロールしてくれたので、こうしてGT500クラス初優勝を飾ることができました」

「本当に、今日の勝利はLEXUS TEAM WedsSport BANDOHの全員で勝ち取った勝利ですし、それを支えてくださったヨコハマタイヤ、TRD、トヨタ自動車、そして応援してくださっているスポンサーの皆さん、たくさんのファンの皆さんに心から感謝しています」

「初表彰台が初優勝という嬉しい結果でしたが、次のレースも勝利を目指して頑張りますので、皆さん、これからも応援宜しくお願いします」