昨年マイナーチェンジに相当する改良が施され、先進の駆動制御技術やインフォテイメントの強化が図られたフェラーリのGTツアラー『GTC4Lusso』に、伝統のV12に代わって新たに最新のV8直噴ツインターボを搭載し、リヤ駆動となった『GTC4Lusso T』が登場した。
4シーターのグランドツーリングカーモデルであり、跳ね馬の独創的な四輪駆動システムを搭載した『フェラーリFF』をルーツとする同モデルは、シューティングブレークとも、クーペとも異なる独自のスタイリングと世界観を構築。そのパワーユニットを、最高出力610PS/7500rpm、最大トルク760Nmを3000-5250rpmで発生する3.9リッターのV8ターボに換装。同時にFRとされた駆動系と相まって大幅な軽量化も実現。速度域を問わないシームレスかつパワフルな加速、痛快なサウンド、コンパクトなサイズ、そしてシャシーに低く搭載されたエンジンが、よりシャープな運動性能をもたらすことになった。
エンジンの制御系にも最新のフェラーリに相応しい緻密なコントロールを採用。特別な形状加工を施したハイタンブル・インテーク・マニホールドによって燃焼室への空気の流入を改善し、可変イグニッションとマルチスパーク機能を備えるイオンセンシングシステムが、高負荷状態でもパーシャル状態でもエンジン回転域を問わず燃焼を最適化。
『可変ブーストマネージメント』と呼ばれる制御は、選択されているギアごとに最適なトルクを発生させる制御ソフトウェアで、エンジンの回転上昇とともにパワフルになるピックアップと、最適な燃料消費をもたらし、シフトアップと歩調を合わせて(3速~7速)エンジントルクは上昇し、7速で最大のトルク760Nmとなるようセッティングされた。
凝った駆動系を廃して、シンプルなリヤ駆動となったシャシーにも新たなスパイスが用意される。前後重量配分を46:54とリヤ寄りに設定し、新たに4WSと、磁性流体式ダンパーであるSCM-Eコントロールシステムに専用のセッティングを採用。積極的なドライビング時には、4WSシステムの後輪ステアリングによって、フロントホイールと同じ方向に後輪をステアさせることで、コーナーの進入時も脱出時も、シャープなレスポンスを実現した。
その他、最新の跳ね馬ではお馴染みとなったF1-Tracや、E-Diff、ドライブモードセレクターのマネッティーノなども装備。前述のデバイスとの組み合わせで、FRフェラーリとしては異例のスポーティさを兼ね備えることとなった。
インテリアは、GTC4Lussoから引き継がれるデュアルコクピットを継続し、助手席前面にもサブ液晶モニターが備わり、最新バージョンとなったインフォテインメントシステムには、10.25インチのHDタッチスクリーンが搭載されている。また、エクステリアではオプションとして、V8モデル専用に開発したダイナミックなデザインのテールパイプと20インチ鍛造ホイールが用意されている。