優勝を飾った6号車トヨタTS050ハイブリッド 2016年10月16日(日)
トヨタ自動車株式会社
WEC第7戦 富士6時間 決勝
TOYOTA GAZOO Racing
#6号車が小林可夢偉の大健闘で今季初勝利!
#5号車も今季ベストリザルトの4位フィニッシュ
10月16日(日)、2016年FIA世界耐久選手権(WEC)第7戦富士6時間レースの決勝が行われ、TOYOTA GAZOO RacingのTS050 HYBRID #6号車がホームコースである富士スピードウェイで今季初勝利を飾った。#5号車も4位フィニッシュを果たした。
TS050 HYBRID #5号車:(中嶋一貴、アンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミ)
決勝: 4位、244周、ピットストップ6回、スターティンググリッド:3番手、ベストラップ(1分25秒377)
TS050 HYBRID #6号車:(小林可夢偉、ステファン・サラザン、マイク・コンウェイ)
決勝: 1位、244周、ピットストップ6回、スターティンググリッド:4番手、ベストラップ(1分25秒320)
大勢の熱心なファンの皆様が見守る中、LM P1-Hカテゴリーを戦うアウディ、ポルシェ、トヨタの3メーカーのハイブリッド・レーシングカーによる超接近戦が展開された。5時間を経てもトップ3台が10秒以内で首位を争う白熱したレースを展開。小林可夢偉が最後のスティントを担当した#6号車が逃げ切って今季初勝利を獲得した。
トヨタにとっては2014年11月のバーレーン大会以来となる、WECでの通算11勝目。富士で行われた5年間のWEC戦で4勝目を挙げた。また、この勝利で#6号車の3名のドライバーはランキングでも首位に23ポイント差の2位に浮上した。
#5号車も上位争いから大きく離されることなく6時間を戦い抜き、優勝したチームメイトの#6号車から約53秒遅れで4位フィニッシュ。今季の不運を断ち切り、ベストリザルトを記録した。
この日のレースはスタートから接近戦の様相を呈した。#6号車は小林可夢偉、#5号車は中嶋一貴がスタートを担当し、スタート直後はそれぞれ4位、6位となったが、最初のピットストップを終えた時点で#6号車は2位、#5号車も4位へとポジションを上げた。
その後、小林から#6号車のステアリングを引き継いだマイク・コンウェイはアウディ#8号車と僅差の首位争いを展開。アンソニー・デビッドソンへと交代した#5号車も4位から表彰台を争った。
首位争いにはポルシェの#1号車も加わり、レースが半分を過ぎても、LM P1-Hクラスを戦う3メーカーによって勝利を目指し三つ巴のバトルが続けられた。
4時間を過ぎても、首位を争う3メーカーの3台は10秒以内でのバトルを継続。そこから30秒ほど離れた#5号車は中嶋が再びステアリングを握り、トップ3との差を詰めていった。
多くの周回遅れ車両による激しいコース上の混雑をかわしながら、アウディ#8号車、ポルシェ#1号車とのバトルを繰りひろげた#6号車は、2位を守って残り1時間半ほどで、ステファン・サラザンから小林へとドライバーチェンジ。
トップ3台がほぼ同じペースで周回を重ねた終盤戦、小林は残り44分を切ったところで迎えた最後のピットストップでタイヤ無交換作戦をとり、タイヤ交換に費やす時間を省いて首位に躍進。ライバルが新品タイヤに交換し、猛烈なペースで追い上げて来たが、小林は摩耗したタイヤでもペースを堅守。ピットアウト直後は11秒あった2位との差を、最後は1.4秒まで詰められはしたが、見事に逃げ切ってトップでチェッカーを受けた。
TOYOTA GAZOO Racingはホームコースの富士スピードウェイで今季初勝利。#6号車の小林可夢偉にとればWEC初勝利。#5号車も追従してチェッカーを受け、今季ベストリザルトとなる4位フィニッシュを果たした。
次戦は2016年シーズンの最終戦のひとつ前となる、第8戦上海6時間レースが11月6日(日)に行われる。
佐藤俊男 TOYOTA GAZOO Racing代表:
ホーム富士でのレースはLMP1-Hの参戦3メーカーによる緊張感に満ちたエキサイティングなレースとなり、それは、まるで6時間のスプリントレースとも呼べるものでした。チームスタッフは、今日のこの“超接戦”でこれ以上はないと言うほど全力を尽くしました。フルコースイエローの無いクリーンなレースで、コース上での速さ、ピットワーク、そしてタイヤ戦略が結果に繋がりました。
共に戦ったライバル、アウディとポルシェも素晴らしい戦いをされました。ホームコースでのレースで素晴らしい仕事をこなしてくれたチームスタッフや、これまで厳しい仕事を続けてくれたトヨタ自動車東富士研究所の仲間やケルンの従業員にも感謝を述べたいと思います。また、本日、富士スピードウェイで熱い応援を頂いたファンの皆様に心から御礼を申し上げます。
中嶋一貴:
今季TOYOTA GAZOO Racingが初勝利を挙げることが出来たのは、チーム全員にとって最高の結果です。我々の#5号車は、特に序盤苦戦し、主にコース上の混雑でタイムをロスしてしまいました。その後は首位グループと同等のペースで走ることが出来ましたが、ギャップを縮めるまでには到りませんでした。しかし、チームがこのレベルまで進歩を遂げたことにとても嬉しく思います。また、応援してくれた日本のファンの皆様やトヨタの社員の方々に素晴らしいレースを見て頂けたのは幸せでした。
アンソニー・デビッドソン:
ホームコースで勝つことが出来たことは、チームにとって最高の栄誉です。また、富士スピードウェイでの勝利記録を伸ばすことも出来ました。残念ながら我々の#5号車は首位争いに加わることが出来ず、表彰台に上ることは叶いませんでした。しかし、チームメイトの表彰台を共に祝え、集まってくれたファンの皆様の前で素晴らしい戦いをお見せできたことを、この上なく嬉しく思っています。
セバスチャン・ブエミ:
ホームコースで勝利を挙げたチームメイトに祝福を送ります。#6号車は勝利に値する素晴らしいレースをしました。我々も今季ベストリザルトを記録できましたが、望んでいた結果には届きませんでした。ベストは尽くしましたが、僅かに足りませんでした。とはいえ、チームが再び勝利を勝ち取れたことは、今季の残り2戦へ向け、とても勇気づけられる結果です。
小林可夢偉:
チームの全員が素晴らしい仕事をしてくれたことが、この好結果に繋がりました。予選の後、感触は良かったので、ホームレースで勝利を勝ち取るために全力で臨みました。それだけに、地元のファンの皆様やトヨタの社員の方々の前で優勝という最高の結果を成し遂げられて嬉しく思っています。皆様の大きなサポートに感謝します。
本当に大変なレースでつかんだ勝利でしたが、まだ優勝の実感はありません。最後、タイヤ無交換でのダブルスティント走行はリスクはありましたが、勝つことだけを考えての選択だったので、それがこの結果となって最高の気分です。
ステファン・サラザン:
ホームレースで勝つことが出来て、最高の気分です。ル・マンの後、今大会はTOYOTA GAZOO Racingにとっては最も重要なレースでしたので、全力を尽くして戦い、信じられないような素晴らしい結果になりました。マイクは見事な仕事をしてくれましたし、可夢偉も最高の走りを見せてくれました。
2回連続した私自身のスティントでは、コース上の混雑に苦しめられましたが、全般的に見れば我々は良いペースでレースを戦うことが出来ました。ここ富士で高い競争力を望んでいたので、チームに取っても、ファンの皆様に向けても良い結果を出すことが出来て幸せです。
マイク・コンウェイ:
最高の気分です。レースウィークの最初から感触は良く、チャンスはあると思っていました。決勝レースは最初から最後まで接近戦で、ラップタイムもコンマ1秒を争うような戦いでした。緊張の張り詰めたレースで、最後の1時間はとても長く感じられました。
最後のダブルスティントを担当した可夢偉が最高の仕事をしてくれました。タイヤ無交換作戦はどうなるか分かりませんでしたが、彼は見事にやり遂げてくれました。チームも素晴らしい仕事でピット作業も早く、戦略も完璧で今日の大きな勝利の一因でした。