マクラーレン・ホンダが鈴鹿で失速したのとは対照的に、今年の日本GPでは初参戦のハースの健闘が光った。予選ではロマン・グロージャンが8位、エステバン・グティエレスも10位につけた。ハースが2台そろってQ3へ進出したのは、チーム創設以来、初めて。それが鈴鹿という総合力が問われる鈴鹿で成し遂げたことに価値があり、今後の活躍が楽しみである。
ここ数戦低迷していたハースが日本GPで突然、復調してきたように見えるのには理由があった。まず、シンガポールGPとマレーシアGPではブレーキなど、車体側にさまざまなトラブルが発生したために、本来の実力が出せずに終わっていたからである。
そのため、シンガポールGPのフリー走行で試用した新しいフロントウイングはその後、予選とレースで投入されなかったばかりか、マレーシアGPでも実戦使用は見送られていた。
ただし、ようやく信頼性の問題が落ち着いた日本GPのフリー走行1回目に、従来のフロントウイングと新しいものを比較してみた。すると、明らかに新ウイングのほうが性能が高いことが判明したのである。
だが、この段階では新ウイングにある問題があったため、改良しなければならず、フリー走行2回目での使用は見送られ、このセッションでは従来型のフロントウイングを装着して、予選用アタックを行っていた。初日のベストタイムでハースが13位と17位に終わったのはそのためだった。
一夜明けた土曜日のフリー走行3回目は、前夜の雨が少し残っていたため、路面が乾くまでガレージで待機するマシンがいる中、ハースの2台はインターミディエイトタイヤを履いて開始早々コースイン。改良を加えた新しいフロントウイングに問題がないかどうかを確認していたのである。そして、問題がないことがわかるとミディアムタイヤを履いてセットアップの確認を入念に行っていた。
レースでは序盤10番手を走行していたグティエレスがスピンを喫し、9番手を走行していたグロージャンは「1回目のピットストップの後、パーマーに引っかかってしまったのが痛かった」ために、入賞は果たせなかった。しかし、グロージャンは「全体的なペースは良く、アップデートが機能していることがわかったので、今後に向けて大きな期待が持っている」と、終盤戦でも楽しみな存在となりそうだ。