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嵐 櫻井翔はコンサートで“攻め”の姿勢を発揮 『Japonism』ツアーで見せた本来の姿

2016年10月15日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)タナカケンイチ

 8月に発売された嵐のコンサートDVD&Blu-ray『ARASHI LIVE TOUR 2015 Japonism』を鑑賞した筆者が、コンサートでしか見ることのできない各メンバーの魅力を、ここまで二宮和也、大野智、相葉雅紀と紹介してきた。今週は櫻井翔のパフォーマンスから感じた魅力について考えていきたい。


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 櫻井といえば、『NEWS ZERO』(日本テレビ系)や『櫻井・有吉THE夜会』(TBS系)で見せるスーツ姿がお茶の間のイメージになりつつある、元祖優等生ジャニーズのひとりだ。しかし、それは長い期間をかけて少しずつ植えつけられたものであり、コンサートでは私たちが日々忘れかけている櫻井の本来の姿に出会うことができる。


 櫻井はジャニーズに本格的なラップを導入した人物として知られており、櫻井のラップは“サクラップ”と称され、ファンの間でも親しまれている。デビュー当時の楽曲を振り返ってみると、「A・RA・SHI」「SUNRISE日本」「感謝カンゲキ雨嵐」「君のために僕がいる」などと続き、25枚目のシングル曲「Believe」あたりまではコンスタントにシングル曲に櫻井のラップパートが登場していた。櫻井以外のメンバーたちがラップパートを歌う曲もあるが、ほかメンバーと櫻井のラップを比較すると、明らかに重みが違う。低めのトーンで放たれるフローには一言一言に重みがあり、言葉にこめられた思いがストレートに伝わってくるのだ。さわやかなアイドルポップスとして構成された嵐の楽曲に櫻井のラップパートがエッセンスとして加わることで、嵐の楽曲のオリジナリティが生まれていたのだと、今回の映像を見て改めて感じることができた。


 また、どんなにふだん真面目な一面をのぞかせても、櫻井の根底にあるのはHIPHOP精神で培われた攻めの姿勢だ。曲間には、いつになく攻めた口調で観客を煽りまくる。櫻井のソロ曲「Rolling days」では赤いベロア調のスーツに身を包み、堂々としたドラムソロを披露。ステージの高所から悠然と階段を降りるその姿はまるで帝王のようだった。松本のソロパートの後に披露された「イン・ザ・ルーム」でも、櫻井は攻めのモードを発揮。よく海外のR&B/HIPHOPアーティストのMVで王様のように椅子にどっしり腰をかけて歌うシーンが出てくるが、一人がけのソファに腰をかけて登場した櫻井にもそのような風格が漂っていた。


 櫻井がコンサートで見せる姿には、スーツや制服で働く男性が休日にまったく違った服装で現れたときに感じる新鮮さと同じような感情を抱く。ネクタイを緩めた櫻井に出会えるのが、コンサートのステージなのかもしれない。(竹上尋子)