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映画『君の名は。』ヒロイン役で注目 上白石萌音は女優兼シンガーの新たな成功例となるか?

2016年10月14日 16:01  リアルサウンド

リアルサウンド

上白石萌音『chouchou』

 今井美樹、松たか子、柴咲コウ…女優として活躍しながら、シンガーでも成功をおさめてきた女性は、これまでも少なくない。近年では、映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』(2013年)で女優、歌手デビューを同時に果たした大原櫻子や、雑誌『Seventeen』の専属モデルを務めながら、女優としても活動し、2014年には「LOVE EVOLUTION」で歌手デビューした西内まりやの活躍も記憶に新しい。


 そして、女優かつシンガーとしての新たな注目株が、上白石萌音だ。上白石は、現在公開中の映画『君の名は。』でヒロイン・宮永三葉の声を担当していることでも話題の女優で、先日10月5日にデビューアルバム『chouchou』をリリースし、歌手デビューを果たしたばかり。上白石は本日14日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に出演。『君の名は。』劇中歌であり、デビューアルバム収録の「なんでもないや (movie ver.)」カバーを映画の特別映像とともにテレビ初披露する。この特別映像は、新海誠監督自ら映像編集を手がけたスペシャル映像とのこと。新海監督は「Mステ用に特別編集した『君の名は。』の映像は、映画を支えてくれた萌音ちゃんへのプレゼントです。君の声が全国に響き渡る瞬間を楽しみにしています。がんばれ!」と上白石へコメントを寄せている。


 上白石は2012年にミュージカル『王様と私』に出演、2014年にはミュージカル映画『舞妓はレディ』で主演を務めるなど、彼女の経歴を語る上で音楽は切り離せないものといってもいい。特に『舞妓はレディ』では、全編に渡って歌唱力の高さを見せつけ、彼女の名を一気に世に広めた。同作を機に、上白石は2015年から歌手活動をスタート。YouTube上にアカペラの歌唱動画をアップし、ライブへ出演するようにもなった。


 ティーンエイジャーらしい、素朴であどけない印象や瑞々しい演技と、ミニアルバム『chouchou』で聴くことのできる彼女の歌声の印象は、少し異なっている。同アルバムの1曲目「366日」では、<戻れないと知ってても 繋がっていたくて 初めてこんな気持ちになった>と、ストレートに切ない恋への思いを歌っているかと思えば、2曲目の「Woman“Wの悲劇より”」では<もう愛せないと言うのなら 友だちでもかまわないわ>というフレーズで、ぐっと大人っぽい、憂いを帯びたような表情を見せる。また、「変わらないもの(Studio Live)」ではピアノの弾き語りに挑戦し、音楽的偏差値の高さを示している。


 アルバムに収録されている楽曲は全て映画の主題歌や挿入歌で、「お芝居をしているからこそ歌える歌を」という彼女の目標をはっきりと示した作品である。(参考:上白石萌音、リリースイベントで見せた凛とした佇まい 新海誠監督「『歌うべき人』と強く感じた」)上白石は、映画の台本のように歌詞を深く理解しているのではないかと思わせるほどに、各曲の世界観を声で表現している。そして、何より驚くのは、上白石が小柄な体型からは信じられないほどの声量の持ち主であるということだ。YouTubeで公開している、アカペラかつ1カットで撮影された動画からもその声量の凄さは伝わるが、特にライブでは彼女が歌い出した途端、周囲の空気までもが震えているように感じさせるほどだった。


 映画『ちはやふる』(2016年)『溺れるナイフ』(2016年)といった話題作に続々と出演し、女優として着実にステップアップしている上白石だが、今後はシンガーとしても確固とした地位を築いていくことだろう。今井美樹と布袋寅泰や、松たか子とレキシ、柴咲コウと福山雅治(KOH+)のように、男性アーティストとコラボして新たな一面を見せたり、大原櫻子や西内まりやのように、自身で作詞作曲をしてソングライターへの一歩を踏み出したり…上白石も現状にとどまることなく、活躍の場を広げながら、1人でも多くの人にその声を届けていくような展開を期待したい。(村上夏菜)