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A.B.C-Zの“A.B.C-Zらしさ”とは何か? 主演舞台『ABC座2016』に見る3つのポイント

2016年10月14日 06:11  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)タナカケンイチ

 もはや毎年の恒例となっている、A.B.C-Zの舞台・ABC座。今年も10月5日から『ABC座2016 株式会社 応援屋!!~OH&YEAH!!~』がスタートしている。この『ABC座2016 株式会社 応援屋!!~OH&YEAH!!~』、ネット上での評判がすこぶる良い。実際に観劇したが、笑いあり、涙あり、ワクワクありと、実にA.B.C-Zらしい内容になっていた。今回は、『ABC座2016 株式会社 応援屋!!~OH&YEAH!!~』の内容を振り返りながら、“A.B.C-Zらしさ”が感じられたポイントを考えてみたい。


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【1】切れ味鋭いダンスが見られる


 A.B.C-Zと言えば、ジャニーズの中でも身体能力の高いグループである。A.B.C時代を含めると15年間も一緒に踊り続けているだけあり、彼らの一糸乱れぬダンスは見ている人々を引き込む。もちろん、『ABC座2016 株式会社 応援屋!!~OH&YEAH!!~』にもダンスシーンがたっぷり盛り込まれているのだ。ショータイムをはじめとする5人のダンスはもちろんだが、一人ひとりのダンスにも気合い感じられたり、橋本良亮がロボットダンスを披露するなど見どころがつまっている。


 特筆したいのが、メンバーの五関晃一。途中、心の葛藤を表すようなソロダンスを踊るのだが、その表現力が実に見事。これまでは肩の力が抜けた飄々としたダンスが五関のイメージであったが、今回は体全体でその葛藤や苦しみを表しており、さらに表情まで含めて繊細に演じている。ダンス留学の成果を感じた瞬間だ。また、ジャニーズJr.の面子も良い。今回出演しているジャニーズJr.は、They武道、Travis Japan、MADEの三組。どのグループもダンスを得意としており、アクロバットができるメンバーも少なくない。彼らの盛り上げもあり、そのパフォーマンスをよりハイクオリティなものにしている。


【2】シンメを存分に味わえる


 A.B.C-Zでは基本的に、河合郁人と戸塚祥太、五関晃一と塚田僚一がシンメであるが、最近はJr.時代のように河合と五関、戸塚と塚田でパフォーマンスをすることが多かったように思う。しかし、『ABC座2016 株式会社 応援屋!!~OH&YEAH!!~』では、シンメでのパフォーマンスや芝居の絡みが目立った。株式会社応援屋に向かう雨のシーンでは河合と戸塚が、バーで将棋の話をするシーンでは五関と塚田が、演技、歌、ダンスを披露し、シンメとしての存在感を示してくれている。


 しかも、それぞれのシンメのイメージはより明瞭になっていて、河合と戸塚は少しクールでかっこよく、五関と塚田はシリアスさの中にファニーさも見て取れた。A.B.C-Zはグループ全員で苦楽を共にしてきたが、その中で河合・戸塚、五関・塚田というシンメがあったことで、グループとしての魅力に奥行きが生まれていた。その面白さが、ストーリーの中で存分に味わえる構成になっている。


【3】新しいチャレンジが盛り込まれている


 DVDでのデビュー、NGナシなど、ジャニーズにとって新しい試みを行なってきたA.B.C-Z。この舞台の中でも、やはり新しい試みがあった。まず、役どころだ。少年隊・錦織一清が演出する舞台では、戸塚が口上を述べたり、補足説明を行なったりしていたが、今回は河合が担当している。滑舌良く淡々と語る河合の声は非常に聞き取りやすく、ストーリーの理解もスムーズだ。そして、橋本の役柄も新しい。これまでは不器用ながらも一生懸命という役柄が多かったが、今回はかなり頭が切れる役である。台詞回しにも知性があり、とても新鮮だ。橋本の新しい一面を見ることができる。そして、何と言っても五関の役。これまであまりスポットが当たっていなかった五関だが、今回はキーパーソンを務める。ソロで歌ったり、20人以上を斬り倒す殺陣を披露したりと、かなり見せ場が多いのだ。こうして、新しいチャレンジをすることで彼らは成長し続けていくのだろう。


 他にも、少しオーバーで愛嬌のある戸塚の演技や、「一生懸命」を体現している塚田の演技など、恒例とも言える見どころがたくさん詰まっている。公演日程も折り返し地点。ここから千穐楽に向けて、さらにブラッシュアップされていくのだろう。10月後半にもう一度見たいーー『ABC座2016 株式会社 応援屋!!~OH&YEAH!!~』は、そう思わせてくれる舞台であった。(高橋梓)