トップへ

ポルシェ、ウエーバーのWEC富士攻略「予選と決勝では最高速を20km/h変えている」

2016年10月11日 16:51  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

写真
昨年のWEC富士6時間では見事、優勝を飾ったポルシェ・チーム。今シーズンもランキングトップを守り、今年の富士戦でも優勝候補の筆頭に挙げられる。そのポルシェのエースドライバーのマーク・ウエーバーに、富士戦の意気込みを聞いた。

──去年のWEC富士スピードウェイのレースでは優勝しましたが、今年はどんなレースを期待していますか?

マーク・ウエーバー「富士はコンディションが入り混じっている感じの場所だよね。基本的に、これまでのラウンドと比べて路面温度が低くなる。あと特徴となるのは、間違いなくあの長い直線だ。データ上では、きっとトヨタとアウディが速いと思うよ。ル・マン仕様のパッケージに近いと直線スピードが伸びるからね。そういう部分で、富士はル・マン以降のニュルブルクリンク、メキシコ、COTAといったサーキットとはダウンフォースレベルが違っていて、性格も違っている。でも、僕らも富士に向けては、いいパッケージを持っていると思うんだよね。だから、いいレースが期待できると思っている。ただ、それはドライの場合だね。雨が降ったらアウディが速いと思うんだ。僕らにとっては、ドライの方が分があるんじゃないかと思う」


──昨年の後半戦は、ポルシェがシリーズを圧倒しました。今年はポルシェとライバルたちのパフォーマンスをどのように見ていますか?

「僕らは勝ち続けている。それはいいことだよね(笑)。アウディはとても手強いけど、どういうわけかレースを落とすことがあって、そのおかげで毎回のように優勝チームが変わっている。その中でここ3戦、僕らは勝てているし、ル・マンでは僚友の2号車が優勝できた。もちろん、ル・マンはツラいレースだったよ。実際、トヨタが優勝するにふさわしかった。24時間のレースで最終ラップにストップしてしまうなんて、参加していた全員にとって、とてもツラい出来事だったよ」

「だけど、全体的にシリーズを見渡した時、ポルシェはとてもいい役割を演じていると思う。今、WECのレースは、勝負を分けるすべてのことがとてもタイトで、緊張感も高まっている。ミスを容認できるだけの余地はまったくないんだ。各車のドライバーたちにも、同じだけのパフォーマンスがなければならない。誰かひとりだけが突出して“勝ちたい"と思っているのではダメなんだよ。全員が高いレベルでまとまっていなければならないんだ」


──富士は長い直線がありますが、いくつかのタイトコーナーもありますよね。そこで好リザルトを残すには、どのように走ればよいのですか?

「富士は何回か走った経験があるけど、あのタイプのコースでは、いいバランスを見つけることが重要だよね。決勝レースになったら、自分のポジションを守るために、ストレートスピードの速さが必要だ。もしストレートが遅かったら、ポジションを守るのは至難の業だから。もちろん、自分自身のラップタイムに関しては、適切なダウンフォースのレベルも必要だ。だけど、レースでライバルと戦おうと思ったら、彼らに対してどのようなラップを刻むのかが大切だね」

「あと、富士ではセクター3でどうトラフィックを処理するかっていうこともポイント。そうした要素が絡み合っている。富士は若干、ローダウンフォースで走る分、タイヤにもとても厳しいサーキットだしね。だけど、僕らはそれほど心配していないよ」
■ウエーバーの富士攻略「予選ではトリックを使っている」

──今、決勝の話がありましたが、予選に関してはどうですか? 富士の予選で好タイムを出すためには、どういう心持ちが必要でしょうか? 前半がハイスピード、後半がテクニカルセクターということで、走行中にも気持ちの切り替えが必要ですか?

「富士の予選では、ハイブリッドシステムの使い方をまったく変えているんだ。だから、予選と決勝では最高速が20㎞/hも違うんだよ。レースウィークに入ったら、決勝に焦点を当てているから、予選前に僕らがそういうスピードを見せることはない。とにかく、まったく違うハイブリッドの使い方に関する戦略だ。僕らは2014年からそういう使い方をしてきたけど、ライバルたちも素早く同じ使い方を学んできている。そこら辺が、予選でのトリックなんだけど、今年もみんなが同じ使い方をしてくるだろうね」


──今年は、ライバルたちも手強いということですが、その中でポルシェの持っているアドバンテージはどういう部分ですか?

「僕らのクルマは安定していて、信頼性の面でも高いものがあると思っている。チームのオペレーションやピット作業も優れていると思うし、ドライバーのレベルも高い。だから、どれかひとつが突出しているというよりも、すべてがまとまっているというのが強みだと思う。あとはコースに対してマシンが繊細過ぎないところ。僕らのクルマはどんなサーキットに行っても、それほど大きくパフォーマンスが変わるということがないんだ」


──昨年の富士では優勝こそしたものの、それはチームメイトから勝利を譲ってもらった形でした。そういう意味で、今年の富士での目標は?

「去年はまだ僕らのハイブリッドシステムが完全じゃなくて、僕らのクルマは少し苦しんだよね。それにFCY(フルコース・イエローシステム/コース上でのアクシデントに対して、各車、ピットロード走行時のリミッターを作動させて速度を制限すること)の問題もあって、チームメイトは50秒ほどロスしている。そうしたことを考えると、僕らは優勝にふさわしかったし、表彰台の真ん中に立った時も悪い気分ではなかったよ。それを今年も再現したいね」