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WEC富士プレビュー:日本に馴染みのドライバーに聞く富士ラウンドへの想い

2016年10月11日 15:31  AUTOSPORT web

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WEC母国ラウンドに挑むトヨタTS050ハイブリッド
いよいよ今週末に開幕が迫ったFIA世界耐久選手権(WEC)第7戦富士。日本ラウンドを前に、中嶋一貴や小林可夢偉のほか、日本に馴染み深いドライバーたちに意気込みを聞いた。

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■中嶋一貴(TOYOTA GAZOO Racing/5号車トヨタTS050ハイブリッド)


 富士はホームレースですし、たくさんの方が応援に来てくださると思っています。パワートレインを作っている東富士研究所もすぐ近くですし、普段なかなかレースの現場に来られないスタッフも見ている前でのレースになるので、いい結果を出したいですね。

 クルマとしても、後半戦のなかで、富士はパフォーマンスを出せるサーキットだと思っていますし、いいレースができるんじゃないかと思っています。僕らがやることは、いつもと同じ。気合いを入れても空回りするだけですから(苦笑)。

 ただ、富士はよく知っているサーキットですし、トラフィックを含めて、ある程度やりやすい。場所も知っていますし、リラックスして戦えます。過去、富士でレースをした時には、自分たちの期待以上の結果が出たことが何度かありますけど、それはたくさんの方が応援に来てくださるから。地の利みたいなものもあるでしょう。

 天気ばかりは分からないですけど、できれば雨でも応援に来ていただけると嬉しいですね。今年は、近年にないぐらい面白いレースになると思いますし、見る価値がある1戦だと思います。

■小林可夢偉(TOYOTA GAZOO Racing/6号車トヨタTS050ハイブリッド)


 富士は、もちろん母国なので頑張りたいと思っています。ただ、僕はそんなに富士を知っている訳じゃないんですよね。フォーミュラ・トヨタの時は改修前でしたし、今のコースでは2回、スーパーフォーミュラでレースをしただけ。AFコルセの時は天候不順で、走らずに終わってしまいましたし、まだコースを掴み切れていないんです。

 ただ、大勢の方が応援に来てくださいますし、ホームコースなので頑張りたい。ル・マン以降、少しパフォーマンス的に苦しいコースもありましたが、富士はそんなに悪くないと思うので、期待しています。

「どこまで行けるか」というところで戦いたい。WECは6時間レースなので、多少何かがあっても、最後に表彰台に上がることも可能ですよね。最後まで諦めず、スムースに6時間やり切ることで、何かしらチャンスがあるというのが、このレースの楽しい所。

 3人でクルマをシェアしている分、乗る時間が少ないなかでやらないといけないのが難しい所でもありますが……。ぜひ、皆さんにはWECのこのハイブリッドのクルマを見に来て欲しいと思っていますし、僕らが初優勝できたらと思っています。

■アンドレ・ロッテラー(アウディスポーツ・チーム・ヨースト/7号車アウディR18)


 今年は、アウディスポーツがまったく新しいクルマを開発して、去年からはものすごく大きく前進した。(エネルギー貯蔵装置が)フライホイールからバッテリーになったし、モノコックや空力回り、電気系や油圧系、ブレーキのシステムなど、すべてが新しくなったんだ。だから、シーズンの最初はすべてを理解するのが難しかったし、信頼性を確保するのも大変だった。とにかくすべてが“超ハイテク”だから。

 でも、チームはとてもいい仕事をしてくれて、後半戦に入ってからはたびたびPP(ポールポジション)を獲り、レースでも速さをみせている。決勝では、ちょっとしたアンラッキーがあったけど、勝てるだけのポテンシャルはあると思うよ。

 もちろん富士でも、同じだけの強さを発揮できればと思っている。僕は、まだ富士では勝っていないからね。個人的にものすごく勝ちたいし、チームもそれを分かってくれている。

 ライバルたちとのパフォーマンスの差がどういう風になるかは分からない。富士は長い直線があって、空力効率の良さが求められる。でも、僕らのクルマはダウンフォースがあって、ドラッグも小さいから、かなり楽観視している。

 アウディのファクトリードライバーとしてWECに参加できていることは、僕にとって素晴らしいことだし、そのなかに日本のレースがあるというのは、やる気をかき立てられる。富士は、僕だけでなく、日本でのレース経験があるベン(ブノワ・トレルイエ)やロイック(・デュバル)、オリバー(・ジャービス)にとってもホームレースだし、その気持ちが伝わって、チームもみんなやる気満々だ。

 それに、日本では熱心なファンの皆が僕らの応援に来てくれる。彼らに素晴らしいレース、諦めることのない激しいバトルを楽しんでもらいたいと思っているよ。表彰台の1番高いところに立って、手を振ってみんなの声援に応えたいよね。

■ブノワ・トレルイエ(アウディスポーツ・チーム・ヨースト/7号車アウディR18)


 今年はまったく新しいクルマになって、まず重要視したのはクルマ自体を理解することだった。

 序盤は、純粋なパフォーマンスやセットアップ、ドライバビリティーに専念するという感じではなかったんだ。その後、レースごとにパフォーマンスが上がってきて、セットアップの詳細まで詰めることができ始めている。

 今年の富士は、ライバルたちと接近戦になるだろうね。トヨタは富士に向けていいパッケージを持っていると思う。彼らのダウンフォースレベルとメカニカルグリップは富士に向いていると思うし、レースでももっとも手強いだろう。でも、ポルシェや僕らアウディの力も、それと拮抗している。だから、3メーカー間での激しい戦いになるだろうね。

 過去、この選手権で、僕とアンドレ(・ロッテラー)、マルセル(・ファスラー)のトリオは、富士で勝てていないけど、本当に勝ちたい1戦。だから、ベストを尽くすし、日本に戻れることを楽しみにしている。今年はいい結果を出すチャンスがあると思っているよ。

 自分たちのパフォーマンスが100パーセント出し切れるような、正しいセットアップを見つけて、ライバルたちと好レースを戦いたい。アメリカ戦から復帰して、僕自身、富士に向けた準備はできているし、過去に日本で自分がしてきたようなプッシュする走り、攻撃的な走りを見せたいよ。

 それを日本のファンの皆も好きでいてくれたと思うし、僕もそういう走りをするのが好きだからね。

■ロイック・デュバル(アウディスポーツ・チーム・ヨースト/8号車アウディR18)
 ここまでのパフォーマンスを見ると、今年の僕らの新車は、とてもよくできたクルマだと思う。シーズン序盤は、幾つか信頼性の問題からトラブルもあったけど、これほど複雑な機構を持つ新車ということを考えれば、それも理解できる。

 だけど、去年と比べれば巨大な進歩を遂げているし、パフォーマンスは素晴らしい。進化のスピードも速くて、レースを重ねるごとに大きなステップを踏んでいるよ。

 ル・マン後のニュルブルクリンク、メキシコ、COTA(サーキット・オブ・ジ・アメリカズ)で、僕らのクルマのパフォーマンスは高かったし、とても前向きだ。6MJのハイブリッドとディーゼルエンジン、優れた空力パッケージから、運転していて格段にパワーを感じるし、高速コーナーでは高いグリップを感じる。どんどんクルマに対する理解が深まってきて、パフォーマンスも良くなっているし、システムの安定性も出てきた。

 富士では、僕らとポルシェの力が拮抗しているだろうけど、トヨタも強さをみせるだろうね。トヨタはスパやル・マンで速かったけど、富士ではそれと同じような速さをみせると思う。後半戦で戦ってきたほかのサーキットと比べて、富士はローダウンフォースのコースだし、彼らが持っているメカニカルグリップは最終セクターで効果を発揮する。それに富士はトヨタのサーキットだから、彼らはル・マンの次に力を入れてくるはずだ。

 日本にいた頃、僕はスーパーGTでもフォーミュラ・ニッポン(現スーパーフォーミュラ)でも富士で優勝経験があるし、その場所にアウディとともに戻れるというのは、毎年とても素晴らしく感じている。

 多くのファンが出迎えてくれるし、WECの参加者たちのなかで、僕らはある意味もっとも“日本人ドライバー”が揃ったチーム。だから、心底勝ちたいし、そのためにすべてを捧げる。

 シーズンの残りのレースでは、全部勝ちたいと思っているよ。だけど、そのなかでどれか1戦だけ選べと言われたら、それは富士だ。僕は9年間も日本でレースをしてきたし、今の自分があるのはすべて日本のおかげ。だから、富士は今でも僕のホームレースだし、どうしても勝ちたいんだ。

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