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シンティアム・アップル・ロータス スーパーGT第7戦タイ レースレポート

2016年10月10日 13:11  AUTOSPORT web

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2016スーパーGT第7戦タイ Cars Tokai Dream28 シンティアム・アップル・ロータス
スーパーGT第7戦 タイ レースレポート
 10月8日(土)ー 9日(日)の2日間で、スーパーGT第7戦 BURIRAM SUPER GT RACE(タイランド)が開催されました。第6戦 鈴鹿ラウンドで無念のクラッシュを喫したSGT LOTUS EVORAでしたが、Cars Tokai Dream28 のメカニックによる1ヶ月に渡る必死のリペアによってこれを修復。さらにハンドキャリーで持ち込んだパーツを現地で組み込むことによって、レースに間に合わせることができました。

 午前中の公式練習走行では、まずEVORAの状態を確かめるべく加藤寛規選手がコースイン。想定よりも気温が低い状況の中でも、序盤から1分34秒台をマークしてクラストップに立つという、上々の滑り出しを見せました。そしてEVORAはいったんピットに戻り、各部を調整。その感触を確かめながら、コースのクリアな状況を狙った加藤選手は、1分33秒428 をマーク。これが公式練習全体を通しても2番手のタイムになりました。

 そしてパートナーである高橋一穂選手に交代するべく、加藤選手はピットイン。しかしピットロードに入ってきたところでEVORAは突然電源が落ち、ピットロードでストップしてしまいます。チームはこれを一過性の充電系トラブルと判断。しかし大事を取って、オルタネーターを交換することにしました。そしてこの作業に約30分の時間を費やしたことから、残り20分の状況で高橋選手がコースへと復帰しました。

 アクシデントが起きたのはそのアウトラップでした。5コーナーでオーバーランした高橋選手は、広いエスケープゾーンからコースへと戻ります。しかしこのとき、イン側を走って来たGT300のマシンが突如ラインを外してアウト側へ。これとEVORAは接触し、スピンを喫してしまったのです。これはとても不運なアクシデントでした。GT300のマシンは、そのさらに内側を通って来たGT500マシンを避けるためにアウトへと寄ったのですが、EVORAの姿は見えていなかったのです。ステアリングに違和感を感じた高橋選手は、いったんピットへ。左フロントフェンダーとホイールに接触痕があったものの、外傷には大きなダメージが見られず、チームはホイール(とタイヤ)を交換してEVORAを再びコースへと送り出しました。

 しかしステアリングフィールは戻らず、EVORAは再びピットイン。さらに詳しくチェックすると、サスペンション周りの重要パーツに大きなダメージを負っていることがわかりました。マザーシャシーはその主要コンポーネンツを共用化できることが大きなメリットですが、サスペンションアームやブレーキを取り付ける「アップライト」の取り付け部分は、EVORA専用のパーツ。鈴鹿のクラッシュを修復する際にストックはなくなっており、部品調達もできない状況でした。

 これでEVORAは予選への出走はおろか、決勝レースの出走も断念せざるを得ない状況に。非常に残念な結果ですが、レースそのものをリタイアすることをチームは決定しました。

 次回のスーパーGT は、オートポリス・ラウンドがなくなったことから第3戦の代替えレースと最終戦が同日開催されます。開催日は11月11日(土)からの2日間で、見た目ではほぼ1ヶ月の猶予はありますが、マシンを日本へ搬送してからの期日を考えると時間に余裕はありません。しかし応援して下さっているファンのみなさまのためにも、Cars Tokai Dream28 はEVORAの復活に全力を注ぎます。変わらぬ応援のほど、宜しくお願い致します。


Cars Tokai Dream28 シンティアム・アップル・ロータス
ドライバー:加藤寛規選手
「今回のマシンは鈴鹿の影響から、昨年のバージョンになってしまいましたが、チームにはデータが豊富に揃っていたため、持ち込みセットはとてもよい状態になってました。ですからそれを微調整するだけでEVORAはきちんと走ってくれましたね。タイムが出たのは走行時間の半分も行かない場面でした(14周目)。雨が降ったあとでしたが、走行ラインはドライでしたね。次はもてぎで2レース。しっかりと準備してこれに臨みたいと思います。」

チーフエンジニア:渡邊信太郎
「今回のアクシデントは、本当に不運だったと言っていいと思います。EVORAがターンインした状態でポルシェが来てしまったので、タイロッドからラック、そしてアップライトにまでダメージが及んでしまいました。これが少しでもずれて、ハンドルを切らない状態で当たっていたら、軽傷で済んだはずです。この件に関しては、相手のドライバーも謝りに来てくれました。第8戦に向けては、時間があるようでいて実際は全く余裕がありません。今年完成を見たバージョン2.0に戻すのは難しそうですし、専用パーツが間に合うかも現状では楽観視できません。しかし応援して下さっている方々のためにも、全力でがんばります!」