よく行く店に「顔見知りの店員さん」がいるのは気兼ねなくて良いというのはもう過去のことなのだろうか? どうやら最近は、店員とむやみに仲良くなりたくないという人が増えているようだ。(文:みゆくらけん)
10月5日の「マツコ&有吉の怒り新党」(テレビ朝日系)で紹介されたのは、よく行くレンタルビデオ店で店員に顔を覚えられた25歳男性のこんな不満だった。
「自分のこれまでのレンタル歴を知っている店員が最近になって『このシリーズお好きですよね~』と声をかけてくるようになった。しかし、私としてはあまり深入りされたくないのだが」
「コイツいつも来てるな」と思われたくない、という人も
コレはわかる。自分の趣味嗜好がバレてる店員というのは、たまに気まずい。店員のほうは挨拶感覚で声掛けをしているだけなのかもしれないが、そこは何も語らずサラッと業務をこなしてくれたほうが有り難い。
レンタルビデオ店に限らず「よく行く店の店員に顔を覚えられるのはイヤか?」と番組が500人に聞いたところ、39.2%が「イヤ」と答えている。その理由は以下のようなものが上がった。
・「コイツいつも来てるな」と思われたくない
・クールに買い物できなくなる
・生活感が伝わってしまう
・ウラで変なあだ名を付けられていそう
若干自意識過剰な気もするが、それら理由には現代人の「必要以上に人と関わりたくない」という思いが感じられる。根底にあるのは人付き合いの煩わしさか、自信のなさか。
飲食店では馴染みの店員がいたほうが良いというマツコと有吉だが、苦痛なこともあるという。それは常連によくある、頼んでないのに「これよかったら食べて」のサービスだ。
なぜか毎度、好きでもないタコのブツ刺しをサービスしてくる店があるという有吉は、食べなきゃ申し訳ないという気持ちで完食し、「やっぱり好きなんだねぇ」と次に行ってもまたタコブツ出される、の無限ループを繰り返しているのだとか。
マツコも「それね、ホントにね、こんな(体)だから断りづらい、というのもあるのよ。はっきり言わなきゃダメなのかな……」と困っていた。
スーパーで「今日はすき焼きですか?」と言われるのもイヤ
正直、ご好意ほどプレッシャーを感じるものはない。嬉しいけど、気持ちだけで充分。つい最近まで大好きだった食べ物でも、急に苦手になることもあるし、何より食いしん坊の筆者としては、申し訳ないけど、限りある胃の容量を強制的に埋められたくないというのがある。
その他、番組が紹介した常連扱いされてイヤなパターンとしては、キャバクラで「いつもの子ですよね?」、スーパーのレジで「今日はすき焼きですか?」などなど。業種では「美容師と顔見知りになるのがイヤ」な人が36.6%も。「差し障りのない会話が面倒」だと感じている人が多いという。
また、薬局では50.6%、コンビニでは48.0%の人が「顔を覚えられたくない」と答えている。これは購入する商品によっては若干の恥ずかしさを感じてしまうからだろうか。
昔よりも「人嫌い」が増えているのは気のせい?
しかし、レンタルビデオや薬局はともかく、コミュニケーション必須的な美容院まで「できれば話しかけないでほしい」と多くの人が感じていることには驚いた。筆者の従妹も「意味のない会話がイヤ過ぎて美容院は行かない」と言っていた。なぜ、なぜにそこまでイヤなのだ?
現代人はネットでのやりとりは得意でも、実際に他人と「対面」するとなると、とたんにコミュ症気味になる人が多いのかもしれない。
昔より「人嫌い」な人が増えている感じがするのは気のせいだろうか? それとも、ネットがない時代には見えづらかった人間の「陰」や「負」の部分が明るみになり過ぎた結果か?「生」の会話でしか得られない出会いや喜びや温かみもあるのになァ。