9日に、香港で開催されたフォーミュラEサードシーズンの開幕戦。決勝レースは、昨年の王者セバスチャン・ブエミ(ルノー・e.ダムス)が5番手スタートから逆転で勝利を飾った。
フォーミュラE初開催となった香港ePrix。フリー走行からクラッシュが相次ぎ、予選も赤旗が2回出る荒れた展開となる。中断時間が長くなったため、上位5台で争われるスーパーポールは中止となり、ネクストEV・ニオのネルソン・ピケJr.がポールポジションを獲得。2番手にチームメイトのオリバー・ターベイが続き、注目のルーキー、WTCC3連覇中のホセ・マリア・ロペス(DSヴァージン)が3番手に入った。
3万人の観客が見守る中、決勝レースがスタートした。ネクストEVのふたりがポジションをキープしたが、3番手のロペスは後退。サム・バードとブエミに先行される。後方ではターン1、ターン2でいくつかの接触があり、マ・キン・ハ(テチータ)がコース上にストップし大きく出遅れる。
オープニングラップを制したピケJr.は順調に飛ばしリードを築いていく。スタートのアクシデントでリアウイングを破損したダニエル・アプト(アプト・シェフラー)にオレンジボールのフラッグが降られピットインへ。さらに12番手を走行していたルーカス・ディ・グラッシもマシン修復のためピットインを強いられる。
3番手スタートだったロペスはレースペースが上がらず7周目には18番手に後退。上位争いでは、7周目にバードがターベイをオーバーテイクし2番手へ浮上する。ターベイはさらにブエミにも抜かれトップ争いから脱落してしまう。
レース1/3を終えファンブーストが発表。ロペス、ブエミ、ディ・グラッシが獲得する。
6番手を走行していたフェリックス・ロゼンクビスト(マヒンドラ)が14周目にクラッシュ。そのままピットへ向かい、早々にマシンを交換してレースへ復帰する。
17周目、トップのピケJr.に不運が。ペースの上がらなかったロペスを周回遅れにしようとしていたピケJr.だったが、ターン4前のシケインでロペスがクラッシュ。ピケJr.は、行き場をなくしコース上にストップしてしまう。ここでセーフティカーも導入され、トップはバード、2番手にブエミ、ピケJr.は3番手に。
20周目終わりでブエミ、ターベイらがピットインしマシンを交換する。これが絶妙なタイミングとなる。21周目でセーフティカーが入り、レース再開がアナウンス。バードはステイアウトし、ピケJr.はピットへと向かう。
バードはエネルギーぎりぎりとなる25周目終わりでピットイン。しかし、マシンが動かず大きくタイムロス。
全車がマシン交換を終え、トップに立ったのはブエミ。2番手には序盤にマシン交換をしていたディ・グラッシがジャンプアップ。ニック・ハイドフェルド(マヒンドラ)が3番手、ニコラ・プロスト(ルノー・e.ダムス)、ターベイと続く。
周回遅れとなったバードは、怒りの走りを見せハイドフェルドを攻略。さらにディ・グラッシ、ブエミを交わし同一周回に復帰する意地を見せた。
昨年の王者ブエミは、ライバルのディ・グラッシに隙を見せずトップをキープ。2.5秒差でチェッカーフラッグを受け開幕戦を勝利。2連覇に向けて順調なスタートを切った。
「僕たちに追い風があるとピットインで知ったんだ。なんでサム(バード)が入ってこないのか驚いた。作戦に満足してるよ。とてもタフなレースだった。最初のマシンは速いペースを持つことができなかったが、マシンを交換してからはずっとコンペティティブだったよ」とブエミ。
序盤のアクシデントから見事な追い上げを見せたディ・グラッシが2位。今年もブエミとの激しいチャンピオン争いが展開されそうだ。3位にはハイドフェルド、4位にプロストが入った。
不運に見舞われたピケJr.は11位に。メジャーモータースポーツへ12年ぶりに復帰したジャガーの初戦はアダム・キャロルが12位完走。ミッチ・エバンスはリタイアとなった。