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モラハラ義実家が我が子に「ブサイク」「鬼がわら」と暴言…損害賠償を請求できる?

2016年10月08日 09:31  弁護士ドットコム

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自分の子供を「ブサイク」「鬼がわら」と言われたーー。夫や姑らからとめどなく浴びせられる言葉の暴力が原因で、不眠症や過呼吸になった木原あゆみさん(30代=仮名)。心療内科へ通院している彼女から、弁護士ドットコムの体験談募集コーナーに投稿がありました。


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5年間の交際を経て、彼からのプロポーズで始まった幸せな結婚生活のはずでした。夫が「理想の夫」から「異常なモラハラ男」に豹変したのは、あゆみさんが第一子を出産した後からだったといいます。


忘れもしないのは、あゆみさんの子どもの顔について、姑が「ブサイク過ぎて私の友達に紹介できない!うちの家系の顔ではない、おたくの家系の顔だ」と言ったときのこと。義姉からも「ブサイク。鬼がわらみたいに泣く」とけなされ、あゆみさんが夫に助けを求めると、彼までもが「確かに俺にも似てない。俺の子?まぁ自分が言われたなら自分で言い返してきなよ」と発言。頼る相手を失ったあゆみさんは、1人孤独に泣くしかありませんでした。


大切な我が子への暴言を皮切りに、夫家族からのモラハラはエスカレート。あゆみさんによれば、「物件や家具、お茶碗にいたるまで、買うもの全て姑と義姉が介入、もしくは決定します。歯向かうものなら10倍返して怒られます。旦那も味方をしてくれず、それどころが私を奴隷のごとく扱うようになってきた」のだそう。


挙句に夫は、「俺の一言で10通りの会話返答を推測、思い出しておきな」と言い出す始末。抑圧され、萎縮し続けた結果、あゆみさんは体調を崩し、不眠、動悸、胃腸炎、逆流性食道炎、生理不順などの症状が出るようになってしまいました。


パート代だけでは、子どもを養えないため「自立できない」という不安や、体調面の心配もありますが、離婚に気持ちが傾いているようです。そこで、モラハラを理由に離婚できるのか。また、全額を出した結婚式や新婚旅行費用を返還してもらえるのか? と質問を寄せました。早川雅子弁護士に聞きました。


 ●「負担した結婚式や新婚旅行の代金の返還も認められません」


離婚は、当事者間の話し合いで成立しなければ、裁判所での調停、訴訟へと話し合いの場所を移すことになります。離婚が認められる理由は、法律で決まっていますので、離婚したい人は法律上の理由に該当するとして、主張します。


では、今回の相談のケースである「モラハラ」はどのように判断されるのでしょうか。


まず、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(DV防止法)では、身体に対する暴力だけではなく、これに準ずる身体に有害な影響を及ぼす言動も暴力と定義づけております。


モラハラも、精神的暴力としてみなされますが、裁判では、離婚が認められることは少ないですし、損害賠償請求も棄却されたり、認容されても極めて少額となったりします。夫と舅の嫁いびりで離婚を求めた古い裁判例(東京高等裁判所昭和35年8月23日)がありますが、認められたのは、15万円の損害賠償でした。


また、負担した結婚式や新婚旅行の代金の返還も認められません。


 ●離婚するためには?


しかし、離婚できないわけではありません。裁判では、離婚理由がモラハラだけでは認められなくても、別居しているなど、客観的に婚姻関係が破綻していると評価されれば、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)に該当しているとして、離婚が認められます。別居期間は、他の事由にもよりますが、4年を経過した頃、訴訟を提起し、裁判が終わる頃に5年経過していることが目安となります。


また、裁判所では、訴訟の前に調停を前置する(裁判の前に調停を行う)ことになっています。相談者には、お子さんがいらっしゃいますが、離婚成立までの期間、養育費より若干高い、婚姻費用を受けとることが出来ます。支払う側にとっては、負担感があることから、離婚を決意する流れになることもあります。


なお、別居したら「離婚調停」と「婚姻費用分担調停」を同時に申立てて下さい。「離婚調停期日」(調停が行われる日)が決まれば、期日証明書(調停が行われる期日の証明書)を市役所に提出し、児童手当を受取る事が出来ます。


別居後6ヶ月を経過すれば、保育料は自身の収入を基に算定され、下がります。離婚すれば、児童扶養手当を受取ること、安価な公営住宅への入居、様々な就労支援の制度も利用できます。奨学金で、看護学校などへ通学している方もいます。


相談を寄せた方は「自立できる自信がない」と考えているようです。しかし、離婚後も様々な制度を活用することで、自立していくことはできます。あきらめないで下さい。




【取材協力弁護士】
早川 雅子(はやかわ・まさこ)弁護士
平成21年1月、司法過疎地の法テラス鹿屋法律事務所(鹿児島県鹿屋市)に赴任しました。DV被害者支援団体「アミーチ」の会長として、市と協力して、DV問題の啓発、独自の被害者支援活動を行っております。児童養護施設「大隅学舎」の顧問として、子ども相談ルーム「つながり」を利用し、直接会いたくない元夫婦が、時差で子供の受渡しを行なう面会交流を実現しました。
事務所名:早川法律事務所
事務所URL:http://www.hayakawahouritsu.jp/index.html