10月16日に決勝レースが行われるFIA世界耐久選手権(WEC)第7戦富士6時間耐久レース。自動車メーカーの威信をかけた耐久レース世界選手権の日本ラウンドを前にWECをおさらいしておこう。今回はニッサンエンジンがしのぎを削るLMP2の見どころを紹介。
LMP2はレーシングカーコンストラクターが制作する市販シャシーに市販レーシングエンジンを組み合わせたマシンで争われるクラスで、将来LMP1へのステップアップを目指すプライベーターも戦っている。
LMP2の見どころは、使用できるエンジンとシャシーが制限されているため、全チームのマシンスペックがLMP1以上に接近しているところ。これにより、レース終盤でも順位争いが繰り広げられるのだ。
使用できるシャシーはオレカやリジェ、モーガン、童夢、HPDなどが販売しており、エンジンユニットはニッサンやHPD/ホンダ、ジャッドなどが製造しているものの、現在はニッサンユーザーが大半を占めている。合計11台のLMP2チームが名を連ねた9月28日発表のWEC富士暫定エントリーでも、エントリーした全車がニッサンの『VK45DE』エンジンを搭載したチームだ。
2011年からLMP2で使われているVK45DEは、2008年のスーパーGTで9戦中7勝という成績を残したニッサンGT-Rに搭載されていたV型8気筒自然吸気エンジンがベース。日本のモータースポーツがルーツのエンジンなのだ。
エアリストリクター径やマウント方式の違いなどに対応するべく、細かな設計変更は加えられているものの、主要部品はスーパーGTで使われたものと同一のものが採用されている。その信頼性、スペックの高さはル・マン24時間を12年大会から4連覇していることから明らかだろう。
しかし、このニッサンエンジンの活躍が見られるのも今季限り。17年からはLMP2の規定が変更され、エンジンはイギリスのギブソン・テクノロジー製ワンメイクとなるため、今回の富士戦はニッサンLMP2ラストランと言っても過言ではない。
ニッサンエンジンの争いというだけでなく、もちろん参加しているドライバーたちも注目だ。エントリーリストにはウィル・スティーブンス(26号車オレカ05・ニッサン)や、ブルーノ・セナ(43号車リジェJSP2・ニッサン)、ロベルト・メリ(44号車オレカ05・ニッサン)といった元F1ドライバーらが名を連ねている。
加えて、WEC富士には日本人として初めて世界三大レース(ル・マン24時間、インディ500、モナコGP)に参戦した中野信治が参戦する点も見逃せない。今年、ル・マン24時間でレース・パフォーマンスの34号車オレカ03R・ジャッドをドライブした中野だが、富士戦ではマノーの45号車オレカ05・ニッサンをドライブする。
今年のWEC富士では名だたるドライバーたちがニッサンエンジンを操り、終盤までバトルを繰り広げるLMP2の戦いもお見逃しなく。
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