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ブラック企業の「サバイバル教本」から見るイマドキ労働者の処世術 「変えてもらうのを待つのではなく対抗しよう」

2016年10月04日 12:01  キャリコネニュース

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「ブラック企業に入ってしまったら、泣き寝入りか辞めるしかない」多くのサラリーマンたちは、そんな思い込みを持っていないだろうか。最近では労働相談を受けるNPOの助けを借りながら訴えを起こす人も出てきたが、体を壊し、うつ状態で休職・退職する人は年々増加している。

そんな中、「ブラック企業サバイバル教本」というスレッドが9月下旬、おーぷん2ちゃんねるに立っていた。スレ主は、アパレル、健康食品、IT関係等で働いた経験を持ち、全部ブラックだったと振り返る。「ニートのお前らに書いてもしょうがないかも知れないけど」と、上から目線だが、そのしたたかさは見習うべき点もあるように感じたので一部をご紹介したい。(文:okei)

「タイムカードはバレないようにコピー」「見積書には判子をもらう」

まず、会社に対抗するため、証拠はあらかじめ押さえておくことを指南。例えばタイムカードはコピー禁止であってもバレないようにコピーしておくと、「辞めた後使える」として、こんな経験談を明かしていた。

ある会社を退職後、残業代が払われていなかった。社長は「取引先の会計士がタイムカードなくしたから、どれだけ残業したか解らないから払えない」とごまかそうとしたが、「コピー持ってますので、その会計士に送っておきますね」と言い返すと、社長は絶句。残業代9万円は無事支払われたという。

また、ブラック企業の営業職でよくある話だというエピソードも。スレ主の同僚は、部長に言われた金額で客に提示し契約を取ったところ、商品出荷の段になって「は?安すぎるし。こんなの認めないから」「客に連絡して追加料金払って貰うか、お前払ってね」と部長に突き放された。完全にワナである。それを目撃して以来、スレ主は「見積書には必ず判子かサインをもらう」を鉄則にしているという。

ほかには、社長から「今期は売上が厳しいから社員の給料10%カットしたい」と同意を求められたが、「同意できません」と突っぱねた話も。後に社長室に呼び出され恫喝されるも、経理情報をつかんでいたのだろう、「従業員の給料を減らす前に、会社の経費で買ったベンツやホテルの会員権を売ってはいかがでしょうか」と応戦。社長の横領を指摘しつつ、即日辞表を提出したという。「給料下げる」と言われた時点で辞めると決めていたようだ。

「就業規則より労働基準法の方が有効」ということを念頭に置く

このように、スレ主の話で大事なのが「会社の仕組みを良く知り、自分がその中でどのような役割を果たしているかを熟知する事」ということだ。ポイントは「会社の弱みを知る」「自分の権利と法律を知る」こと。自分を守るためには、どんな権利や法律があるか知っておくことが大事だという。

法律は「法テラスやそこら辺の弁護士に相談すれば良い。初回の相談は無料で、メールで相談に答えてくれる弁護士もいる」という。「就業規則より労働基準法の方が法的に有効というか、力あるし」と強気だが、確かにその通りだ。

また、熟知することで「辞める時にいかに相手にダメージを与えられるかを考えるのが楽しみ」だともいう。「がんに効く」と違法な効能を謳ったサプリメント会社を辞めた際には薬事監視指導課に通報。回収騒ぎになった。もちろん、スレ主が語っていた内容がどこまで真実かは不明だが、ルール無視のブラック企業にはこんな告発も必要だろう。スレ主は最後に、こう呼びかけている。

「このおかしな世を、変えてもらうのを待ってるだけじゃくて、対抗しよう」

くよくよ悩みながらも何も知ろうとせず、ネットで愚痴を吐くだけではあまり建設的とはいえない。しまいに鬱病になってしまえば、自分が辛いだけで会社にはほとんどダメージがないのだ。スレ主のように、とまではいかなくても自分を守る術を知り、個人として対抗する姿勢を持っていることも、現代を生きる処世術として必要かもしれない。

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