前戦のシンガポールに続き、F1グランプリとの併催となったTCRインターナショナル・シリーズの第19-20戦。9月29~10月1日に行われたマレーシア・セパンでのサポートレースで、初参戦となったイタリア人のロベルト・コルチアゴが予選ポールポジションから優勝。レース2では、アメリカ人ドライバーのケビン・グリーソンが今季初勝利を挙げ、シーズン10人目の勝者となった。
このセパン戦を前に、TCRイタリア選手権でタイトルを獲得したコルチアゴは、ターゲット・コンペティションからインターナショナル・シリーズに初参戦。地元選手権と同じ仕様のJASモータースポーツ製ホンダ・シビックTCRをドライブし、いきなりのポールポジションを獲得。そのままタイトル争いを展開するレギュラー勢を抑えて、レース1での勝利を獲得した。
「本当に素晴らしいマシンを与えてくれたチームとエンジニアに感謝したい。それと、フェアなバトルをしてくれた(ステファノ)コミニにもお礼を言いたい」と、コルチアゴ。
そのレース1スタートでは、2番手のミカエル・グラチョフのシビックが1コーナーで先行するも、ターン4ですぐさまポジションを奪還。タイトルコンテンダーのひとりであるレパード・レーシングのフォルクス・ワーゲン・ゴルフGTI TCR、ステファノ・コミニもヘアピンでグラチョフをパスしたが、ターン4の多重クラッシュでセーフティカーが導入される。
4周目にレースが再開されると、コルチアゴとコミニがバトルをしながら後続を引き離しにかかるが、後方ではステアリング系統に問題を抱えながらも奮闘を続けるジェームス・ナッシュのセアト・レオンTCRが、グラチョフとのバトルを制し3番手に浮上。この際の接触で、グラチョフはマシンにダメージを負い、そのままリタイアとなってしまう。
その翌周には、ナッシュのチームメイトであるぺぺ・オリオラも、レパード・レーシングのジャン-カール・ベルネイを1コーナーでパスして4番手へ。その後、チームメイト同士のバトルを展開するも、順位は変わらず。
ファイナルラップに先頭争いの2台、コルチアゴとコミニのバトルが激化。すべてのコーナー、すべての縁石をまたいで前を伺うゴルフGTIは、最終コーナーでアウトからクロスラインを仕掛けると、立ち上がりで接触。あわや両者コースオフの事態が勃発するも、なんとか体制を立て直した2台はそのままフィニッシュラインへ。コルチアゴ、コミニ、ナッシュ、オリオラのオーダーでレース1を終えた。
翌日の10月1日に行われたレース2では、前戦でデビューしたフォード・フォーカスTCRがグリッド上でのトラブルでオイル漏れを起こし、セーフティカー先導による10周レースに。
再開されたレースでは先頭を走る若きタイ人、ティン・スリトライのシビックとのバトルを制したグリーソンがそのまま首位を堅持してフィニッシュ。2位コミニの後方では名手ジャンニ・モルビデリを抑えきったナッシュがコミニに続く3位……かと思われたが、コミニは4周目にスリトライをオーバーテイクする際にターン14で接触。これにドライブスルーペナルティが課せられ、レース中の未消化により30秒のタイム加算となり、18位に転落。
これでナッシュは2位となり、週末を通じてポイントを重ね17点のリードを築くと同時に、クラフト-バンブー・ルクオイルにチームタイトルをもたらした。
次戦、11月20日に開催となる最終戦マカオでは、獲得可能な最大ポイントは55。36点差にひしめく4人のドライバー(ナッシュ、オリオラ、コミニ、ベルネイ)にタイトル獲得の権利が残されている。