マレーシアGP決勝でのエンジン故障にルイス・ハミルトンが怒りを見せたことについて、メルセデス・モータースポーツのボス、トト・ウォルフは「ハミルトンには好きな事を言う権利がある」と語り、彼を弁護した。
ハミルトンはセパンでトップを走行中、チェッカーまであと15周のところでリタイアを余儀なくされた。感情的になったハミルトンは、2016年にメルセデスのエンジンを搭載する車の8人のドライバーの中で、エンジントラブルが起きたのは自分一人だけだと主張した。
「誰か納得できる答えを僕に対して与えるべきだ。これは全く受け入れられない」と彼は決勝直後に語った。
「僕らはチャンピオンシップを獲得するために戦っているのに、僕のエンジンだけがトラブルに見舞われる。僕には納得できない」
ドライバーがチームに対して批判的な発言をしたわけだが、ウォルフはハミルトンのリアクションは理解できると語った。
「あれほど苛立たしいことが起こった直後だ。何を発言しても、どう答えても許される」とウォルフ。
「レースをリードしていて、そのままいけばチャンピオンシップ首位に返り咲けるという時に、エンジンがブロー。その直後に顔にマイクを突きつけられたとしたら……。彼はどんな事を言っても許される」
「これは当然の感情であり、完全に理解できる。彼のような目に遭ったら、誰もがフラストレーションをいろいろな形で表すだろう」
「(ハミルトンにトラブルが集中する)説明もつかないのだ。あの後、我々は集まって腰を下ろしてこう言った。『どうしてこんな事になるんだ?』とね」
「奇怪な状況で合理的な説明がつかない。ちょっと落ち着いたら彼も理解するだろう。だが事が起こった直後には(何を言っても)仕方ない」
サーキットのエンジニアリングルームで行われたミーティングでは感情的なスピーチをしたハミルトンだったが、その後、まだレースが続くなか、ガレージに現れ、そこにいたすべてのスタッフと握手を交わしたという。
「彼にとってもチームにとっても散々な出来事だった。私としては言葉がないし、(ハミルトンと)同じように落胆している」とウォルフは付け足した。
「しかし彼はすぐにガレージに戻ってきた。そして彼はブラッドリー(・ロード、コミュニケーション担当ディレクター)とニキ(・ラウダ)と私、そして全てのメカニックたちに、自分の気持ちを伝えた」
「その後、我々は小さなグループで議論をしたが、みんなこの事に参っていた」
「我々は全てのメカニック、エンジニア全員の気持ちを立て直し、みんなの気持ちが上向きになるよう話し合った」
「彼はチームについていろいろと素晴らしいことを言ってくれたし、それが日本で我々が挽回するのに役立つことを期待したい」
「ドライバーとして、状況にとてもイライラし感情的になっていたにもかかわらず、彼はチームを元気づけようとがんばった。これは一流の人間のみができることだ」
「あのような状況下で、メカニックやエンジニアたちの前に現れ、次のレースに向けて彼らを勇気づける言葉を探し、彼らを鼓舞する。本当に素晴らしい行為だった」