GP3のマレーシアラウンドのレース2で、福住仁嶺が2位表彰台を獲得した。
セパン初開催となるGP3はほぼ全ドライバーが走行経験のないイコールコンディションで木曜にフリー走行を開始し、福住は順調な滑り出しで8番手タイム。金曜の予選では最終コーナーのブレーキングをミスして予選6位。前戦モンツァの接触で受けたペナルティにより8番グリッドからスタートした土曜日のレース1では1周目に7位に上がり、3台による5位争いに加わるものの7位でフィニッシュ。
「僕の方が明らかにペースが良かったんですが、前のクルマはなかなか抜かせてくれませんでした。何度か行けるかなと思ったんですが……、ここ数戦は思ったような結果を出せてないこともあって、そこからはとにかくしっかり完走することに走りを切り替えました」
暑さと進路面のグリップの高さに疲労困憊しながらも、福住はレース2の2番グリッドを獲得した。
スタートでは、発進加速が得意なポールポジションのアントニオ・フォッコの背後についてチャンスを伺うが、フォッコはターン2のブレーキングが遅れてロックしイン側をカットしながら体勢を崩す。福住はそれを避ける隙に背後にいたジェイク・デニスに抜かれ首位を奪われてしまった。
「スタートはフォッコと同じくらいで、彼の後ろについてスリップストリームを使って横に並んで抜いたんですけど、そのまま待っていると後ろから来ると思ったんでフォッコよりブレーキングを遅らせてターン1に飛び込んでいったら、向こうも結構遅らせてきたんでお互い止まりきれなくてアウト側にいってしまったような感じでした。フォッコを上手く避けられたのが良かったと思います」
その後は3位のジャック・エイトケンが福住に迫り、首位デニスが徐々に離れていく展開になった。セットアップが思ったよりもハマっていなかったこともあり、テクニカルなセクター2でも思うように走れなかったと福住は言う。
「思った以上にペースが伸びなくて厳しかったですね。多分セットアップのせいだと思いますけど、僕のドライビングも多少はあったと思います。『セクター2が遅い』って無線でずっと言われていました。最後は相手がターン7で失敗してくれたんで助かりました」
最後は差が1秒を切るテールトゥノーズ状態が続いたが、13周目にエイトケンがミスを犯して勝負は決まった。
表彰台の下にはART関係者のみならずマクラーレン・ホンダの今井弘エンジニアや同じ日本人の白幡勝広メカニックも駆けつけ祝福したが、チェッカードフラッグを受けマシンを降りた汗だくの福住の表情はそれほど晴れやかではなかった。
「表彰台を獲得できたことは素直に嬉しいです。できれば勝ちたかったです。でも(ジェイク・デニスの)ペースが本当に速かったし、とにかく僕自身はあんまり速くなかったですね……。(2位とはいえ)レース2ですし、今回はスタートでポジションを保てたのが良かったですけど課題はまだまだあるし、予選1発の強さもまだまだないし」
セパンの週末全体を振り返ると、「予選やレース1など、あまり納得がいかない」という。しかしここ数戦はクラッシュやミスが続いていて思うように結果が出せず、自分の走りに自信を失いかけていた。この表彰台でその悪い流れが払拭できるのではないかという期待が掛かる。
「レース2で表彰台に立てたことで流れを掴めると思うんで、次のアブダビは今年最後のレースですしこの流れを生かせるように頑張りたいです。やっぱりレース1で勝つか少なくとも表彰台には立たないといけないと思います」
これでGP3で二度目の表彰台獲得。最終ラウンドのアブダビでは『君が代』が聴けることを願いたい。