「めざましF1」。金曜FP1午前11時07分、生観戦中の方はマグヌッセン出火事件に目が覚めたのではないか。
ルノーはメキシコGP用の新燃料システムをテスト、その一部バルブの不具合だったとコメント。素早く消火作業を行ったメカニックたちはさすがエンストンのベテランだ。でも一瞬思ったのはもしマグヌッセンが“ハロ”を装備していたら、あのようにコクピットから前方に飛んで脱出できただろうか……。
赤旗中断から始まったマレーシアGP、今年早々に3か月閉鎖され大改修工事が実施された。レイアウトはそのまま、すべて再舗装されコーナー9か所がいろいろ変わった。
(1)以前からの4コーナー入口のバンプが消えた(この地下に通路がありその上の盛り土が沈下してそうなったのを改善)。
(2)大粒な砂利を含んだ舗装を一新、昔のマニクールみたいに黒いアスファルト路面は滑らかに。
(3)スコール対策に配慮、排水性を高めた。
(4)最終15コーナーを極端な逆バンク形状に変更、“アクセント”を加えた。ここまで変わると事実上の初コースに等しい。“未知の新セパン”を攻め込むのは誰か、まさに腕比べ。
FP1最初のフライングラップに着目。1位ロズベルグ1分35秒793、なんと4.331秒も昨年FP1より速かった(!)。2位ライコネン1分36秒315、3位フェルスタッペン1分38秒038、4位ベッテル1分38秒045。ちなみにハミルトンは1分50秒703、その次の周に1分35秒798だった。
乗れているぞロズベルグ、一気に攻める。このセッション最速タイム1分35秒227よりもインパクトを感じた。心・技・体とも完調、最後に11コーナーでコースアウトしたがクラッシュせず完璧コントロール、ドライビング集中力を感じた。
多くのドライバーが乱れに乱れたのは15コーナー。イン側が1m盛り土されてクリッピングポイントが昨年までとは全く違う。アウト~センター~アウトみたいな新ラインを皆がトライ。
でもそれでは大回りでコーナリング距離が長くなる。できるだけインサイドに切り込むラインを探らねばならない。こういう「研究学」を好むロズベルグ、さまざまなラインを試しているように映った。FP2でハミルトンに1位を譲ってもそれを優先したのかもしれない(同時にロングラン・ペ―ス安定の方向に気配りしたのかも)。
FP2セッションは路面温度が60度を超えた。昨年FP3にも61度まで上昇、セパンでは想定内のこと。このホット条件でレッドブル・TAGホイヤー(ルノー)のコンスタント・ペ―スは驚異的。
熱対策と燃料重量の相関関係からメルセデス勢のペースはやや下がり、タイヤ・マッチングも含めて彼らの“トータル・パフォーマンス”は高まった。それはフェラーリ勢にもあてはまる。ビッグパワー&ビッグトルクのメルセデス・ワークスに潜む“難題”かもしれない・・・・。
覚えていますか。予選は15&14&13年とも連続ウェット・セッション、中断や順延で大混乱。決勝レースも13年&12年が雨がらみ、ノーマル・ドライコンディションの予選/決勝は5年前の11年までさかのぼる。
マクラーレンはずいぶん前からマレーシア地域の天候を調べ、あらゆる情報をリサーチ、ここにホンダ・スペック4PUをアロンソに投入した。関係者は口を濁していたがかなり前からのプランだっただろう。30グリッド・ダウンのペナルティーを受けるのは必至、ならば外乱ファクターが大いにありえるここだ。
勝負師・発想からアロンソも進言したに違いない。来週の日本GP・鈴鹿を意識したここでのニューPUテストは上々の感触、私見だが“ドライバビリティ”の進化と、グラム単位の軽量化(シリンダーブロック)が切れ味良いハンドリングにつながっていた。
アロンソは最後尾グリッドからレースの雨待ち、予選はそこそこでニュータイヤをすべて温存し“ビンゴ!”に賭ける。そして300戦スタートのバトンもトップ10前後ポジションから、セパン特有の「カオス・レース」に切り込む。鈴鹿前哨戦、彼らの意気込みがひしひしと伝わるような10日前のセパンだった。