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欅坂46『徳山大五郎』いよいよ今夜最終回へ “欅ロス”必至のフィナーレに向けて

2016年10月01日 09:31  リアルサウンド

リアルサウンド

(c)「徳山大五郎を誰が殺したか?」製作委員会

 いよいよ今夜最終回を迎える欅坂46のドラマ『徳山大五郎を誰が殺したか?』。26日の深夜に日本テレビ系『KEYABINGO!』が放送終了しただけに、明日以降、ファンの間では“欅ロス”が起こることだろう。かく言う筆者もAmazonプライムで最終回をいち早く鑑賞してしまったために、すでにその状態に陥ってしまっている。


 先週放送された第11話では、徳山殺しの犯人につながると思えた、大きな謎のひとつ「誰が徳山になりすましてメールを送っていたのか?」が解決した。第10話のラストで、米谷奈々未に疑いの目を向けた渡邉理佐と長濱ねるだったが、その場はさらりとかわされてしまう。ところが、用務員であり副理事長だった橋部から渡されたDVD(徳山が長濱に託し、第5話でフランス人美術教師に没収されたもの)に記録されていた映像によって、偶然にも上村莉菜と土生瑞穂の二人が米谷と共犯で、交代にLINEを送っていたことが発覚するのである。


 土生は第1話でじゃんけんに負けて、徳山の遺体に人工呼吸をさせられそうになったり、第3話ではパクチーをもぐもぐ食べて、徳山の妻(ふせえり)に迫られたりと見せ場はあったものの、あまり目立つことがなかった。上村はそれ以上に、亀の餌やりをしている印象以外、ストーリーラインにもあまり関わってきていないのである。一番目立たなかった人物がキーパーソンなるあたり、やはりメンバー全員にフォーカスが当たるように練り込まれた脚本である。


 設定上では本人と同様オタク趣味の土生に、オカルトキャラを与えられた上村。他のメンバーより特徴的な個性を持っているが、きちんとそれがストーリーに活かされていない分、あえて没個性的に中庸なキャラ立ちになるのは納得である。他のメンバーの潜在的個性に押されることで、必然的にヒエラルキーの下層として扱われる。もっとも、上村のオカルト趣味は第4話で刑事がロッカーを開けた時に、きつねのお面にぎょっとする場面では、なかなかユーモラスに使われていたが。


 悪事がバレて追い詰められた土生が、クラス全員へ日頃の鬱憤をぶつける場面がなかなか面白い。クラスの二大勢力であるグループのリーダー、守屋茜と菅井友香にそれぞれ掴みかかりながら罵声を浴びせる土生。人工呼吸をさせられそうになったときに誰も止めてくれなかったことを責める彼女だが、それに反論するのが鈴本美愉だ。そういえば、第3話で徳山の不倫相手のふりをさせられた鈴本。クラス全員に押さえ込まれながら、徳山からキスされている写真を撮らされたのだが、その時シャッターを押していたのは土生だったのである。


 こうして前回のコラム(欅坂46・渡邉理佐グループが高める、物語の緊張感ーー『徳山大五郎』佳境に向けて)でも言及した通り、中立派グループが終盤の鍵となったわけだ。しかし、これまでこのコラムでは彼女たちを“中立派”と表現してきたが、平手友梨奈や渡辺梨加のようにどのグループとも適度な距離感を保って渡り歩ける独立派というより、守屋・菅井・渡邉がそれぞれ形成する3つのグループからあぶれて距離を置いたメンバーが、ひとまとめになっているような印象だ。


 しかし、それをまとめるのもまた、中立派自らの役割だ。長沢菜々香が感情をむき出しにして米谷に詰め寄る場面は、第8話での菅井グループの結束を超える、このドラマで一番の名場面ではないだろうか。これまで長沢の喋る山形弁を通訳してきた米谷。第11話では何故か字幕が出るようになったが、それでも詰め寄った長沢のセリフを、ぼそっと翻訳する米谷の姿。そして、「うまくねえ…(よくない)」と繰り返し呟きながら、悲しげな表情を見せる長沢の演技は、いかにも演技らしくて好感が持てる。


 さて、肝心の最終回へ向かう第11話の終盤で、カメの水槽から徳山と副担任・神崎の写真を見つけた平手。橋部に「今日中に犯人をしょっぴく」と宣言したわけだが、返ってきた言葉は「それってさ、どっち?」であった。つまり犯人は二人いる。一人が神崎なのはほぼ確定として、もう一人は誰なのか。予想通りといえば予想通りかもしれないが、なかなか魅力的な最終回が待っているのである。(久保田和馬)