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嵐 大野智はパフォーマンスでリーダーシップを発揮 『Japonism』ツアーソロでの圧倒的存在感

2016年10月01日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)タナカケンイチ

 8月に発売された嵐のコンサートDVD&Blu-ray『ARASHI LIVE TOUR 2015 Japonism』。前回は同作のなかで感じた二宮和也の魅力について紹介した(参考:嵐 二宮和也はコンサートで輝きを増す 『Japonism』ツアーで見せた“アイドル”の姿)。今回は大野智にフォーカスしたい。


 この映像を見ていちばん印象的だったのは「二宮和也はコンサートで輝きを増す」ということ。続いて、ふだん見る姿とのギャップを感じたのが、大野のステージでの姿だった。大野といえば、嵐のなかではリーダーを務める存在だ。しかし、大野はメンバーの先頭に立ってグループを引っ張っていくのではなく、常にメンバーを見守るポジションにいることで、一人一人の個性が際立つ嵐のグループ性が生まれたと評価する声は多い。MCでマイクを取るのはほとんどが櫻井翔であり、松本潤である。スポークスマンとしての役割を彼らに任せ、大野はおだやかに振舞い、前に出ることは少ないのだ。嵐のことを詳しく知らない人からすれば、リーダーは櫻井や松本だと漠然と思う人もいるかもしれない。しかし、コンサートでの姿を見れば、はっきりと大野が嵐のリーダーなのだということが伝わってくる。


 今回のコンサートでは、ラテン調のリズムに合わせた華やかな演出による「Bolero!」(『Japonism』収録曲)が大野以外の4人で披露された後、大野のソロコーナーが披露された。和装に身を包んだ大野がスクリーンに大きく映し出された瞬間、真っ直ぐ前を見つめる表情の美しさに惹きつけられた観客は一斉に息を飲んだ。大野はそのまま、少年隊の東山紀之から受け継いだという“マスク”と呼ばれるマジックへ。次から次へと面や衣装を変化させながら、瞬間移動するように大きなステージを華麗に移動していく。その一つ一つの所作からはリーダーにふさわしい気品を感じ、いつになく堂々とした大野の姿を見ることができた。その後披露されたソロ曲「暁」は、複雑なメロディで構成されている難易度の高い楽曲だ。しかし大野は、踊りながらにもかかわらず、音程の狂い一つなくその曲を歌い上げた。このパフォーマンス力の高さがあるからこそ、ほかのメンバーから尊敬され、信頼されているのだということを強く感じた。


 大野はそのほかの歌唱でもリーダーシップを発揮していた。誰もが認めるグループいちの歌唱力を持つ大野だが、コンサートではその歌声の素晴らしさを存分に体感することができる。メロディラインのピッチの良さはもちろん、間奏中にアドリブで披露される伸びやかな美声が会場全体に響き渡るのが心地いい。さらに、コンサート終盤に披露された「Believe」や「僕らがつないでいく」では、大野のソロがメンバー4人のコーラスを引っ張っていく歌い分けがある。その歌声を聴いていると、「やはり嵐のリーダーは大野だ」と再認識させられるのだ。また、「A・RA・SHI」「感謝カンゲキ雨嵐」という初期の楽曲は、いずれも大野のソロの歌い出しからはじまる。今回のコンサートのテーマが「原点回帰」であるように、演技や芸術などさまざまな分野で活躍する大野の真髄は“歌”であり、パフォーマンスにおける大野の偉大さを改めて実感する機会となった。


 大野のパフォーマンスの素晴らしさにふれることができるのは、コンサートならでは。もちろん、曲間のMCではふだん目にするおだやかな大野の魅力にもふれることができる。そのギャップを最大限に楽しむことができるのが、嵐のコンサートの醍醐味のひとつなのかもしれない。(竹上尋子)