ザウバーは、今後シーズン中のどの時点においても、フェラーリの最新仕様のエンジンを投入する予定はないことを明らかにした。
フェラーリは、モンツァで導入したエンジンのアップグレードに、残りの開発トークン3つをすべて使ったが、これによる新しいICE(内燃エンジン)、ターボ、MGU-Hを搭載したのは、ワークスチームとハースのドライバーだけだった。ザウバーのマーカス・エリクソンとフェリペ・ナッセが、これら3つのエレメントをすべて新しくした場合、彼らはいずれも20グリッド降格のペナルティを受けることになったからだ。
現在ザウバーは、残りの6レースで何とかポイントを獲得し、マノーを抜いてコンストラクターズ選手権10位に浮上することに全力を傾けている。
「あの(アップデートを投入しないという)判断は、エンジニアがフェラーリの関係者とも相談した上で決めたものです。それには正当な理由がありました」と、チームボスのモニシャ・カルテンボーンは語っている。
「アップデートによって得られるものと、科せられるペナルティを秤にかけて判断しなければなりません。私たちはペナルティを受けるのは避けたいと考えました。そうなると、一段と厳しい戦いを強いられるからです」
また、この週末は、ザウバーのリザーブドライバー不在という問題にも、人々の注目が集まることになった。先週土曜日、タイで自転車に乗っていたエリクソンが、走行中にニワトリと衝突するというめずらしいアクシデントに見舞われたからだ。彼は時速50㎞/h近い速度から転倒したが、幸いにも打撲と切り傷だけですみ、今週末のマレーシアでのレースにも問題なく出場できるという。
ザウバーは、過去にもリザーブの不在により、難しい状況に直面したことがある。2011年カナダGPで、当時のドライバー、セルジオ・ペレスが最初のプラクティス中に体調不良を訴えた。彼はその直前のモナコGPで、予選中にクラッシュして脳震盪を起こしていたため、その週末の出走を控えることになったのだが、契約下にあるリザーブドライバーがいなかったことから、急遽代役探しを強いられたのだ。
この時は、当時マクラーレンのリザーブを務め、前年にザウバーでレースにも出ていたペドロ・デ・ラ・ロサを起用することで、チームの1台が欠場という事態は回避された。
ザウバーは、2015年のリザーブ、ラファエル・マルチェッロの後任を置いていないため、レースドライバーのどちらかが負傷して、レースに出場できなくなった場合には「大きな問題を抱える」ことになると、カルテンボーンも認めている。
「数年前にも似たような状況があり、その時もチームにはリザーブドライバーがいませんでした。こうした(レースドライバーが欠場するような)状況は対応が難しいものですし、現在の私たちにとっては特に厄介な問題になります」
「以前なら、それが可能であれば、まずフェラーリのリザーブドライバーの起用を考えたでしょう。もし彼(エリクソン)がもっとひどいケガを負っていたら、私たちは大きな問題を抱えることになっていたはずです。現状では、何も『保険』がない状態ですから」
カルテンボーンによると、ザウバーも来季はリザーブドライバーを迎えたいと考えており、レースドライバーの契約交渉と並行して、いくつかの話し合いが進められているという。