トップへ

BMWの”X-raidミニALL4″へのサポート強化に込められた意図

2016年09月30日 13:51  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

年明けのダカールラリーに向け大幅な改良が予定されるミニALL4
BMWミニでのクロスカントリーラリー活動をオペレーションするX-raidのチームプリンシパルであり、元三菱自動車モータースポーツ統括会社(MMSP)の代表でもあったスヴェン・クワントは、BMWによるクロスカントリー分野へのコミットメント強化のアナウンスは「ダカールラリーでの勝利を取り戻すために必要な要素である」と語った。

 BMWによるモータースポーツ活動"再編"の一部として発表された「サポート強化」の決定に関して、BMWモータースポーツのディレクターを務めるイェンス・マルカルトは「ミニでのダカール・プロジェクトの将来に対して、我々は"ランプ・アップ"(強化する)必要があると感じていた。すべての面において、BMWグループのモータースポーツプログラムは、その範囲と多様性においてユニークなものになっていると思う」

 クワントは、この複数年のサポートについて「BMWからの協力強化は、我々にとって良いニュースだ」と歓迎の意を示した。

「我々がこの数ヶ月間、実際に取り組んできた仕事に対しても、シンプルにBMWとの協業が強化できることを意味する。BMWモータースポーツや、BMWのその他の部門との作業を一層緊密にできるわけだからね。しかも1年で終わり……という話ではない点も非常に重要だ。より長い時間が必要になることだからね。これで勝利を"取り戻す"ことに関しては疑いようがないよ」 

 X-raidミニがダカール4連覇を達成した後、今年のダカールラリーではステファン・ペテランセルの2WDプジョーが、ナッサー・アル-アティヤのミニALL4レーシングを2位に退ける速さを見せた。


 BMWからのニュースが届く前段階から、X-raidはミニAll4レーシングの大幅な改良を実施してきてはいるものの、クワントは来年年明けのイベントでも「プジョーが優位を保った状態が続くだろう」と見ている。

「ミニに施した技術的改良は多岐にわたり、決して小さな変化ではない。それにまだやるべき仕事は数多く残されている。それでも、我々は確実に"4WDマシン"として来年1月のダカールに姿を現わすと約束しよう。我々はハンターとしてダカールに行き、実際に(4WDマシンで)2WDのプジョーを仕留めてみせる。この状況には満足しているよ。」

 クワントは、ダカールでプジョーが示したペースには驚かないと語ったものの、このフランスの企業は「レギュレーションの一部にあった抜け道を上手く活用した」と感じている。

「現在のレギュレーションで2ホイールドライブ(2WD)の規定を策定したのは、プライベーターに対する支援の意味があった。プジョーはこの規定を見つけ、上手く2WDマシンの製作に利用したんだ」

「私がこのプロジェクトの話を聞いた時、すぐにFIAに対して警告した。何が起こるかが分かっていたし、そのパフォーマンスがどれほどのものかが予測できたからね」

「これはレギュレーション側のミスだ。次回に向けてはリストリクターを38mmまで絞ることでプジョーもわずかにパワーダウンするはずだが、それでも2WDのパワー優遇というバランスを是正するまでにはいかない」

「今年のイベントでのプジョーには本当に驚いたよ。2WDが速く走れる場所であるラリーステージで良いことは最初から理解していたが、そうではない場所、砂丘やマッドなどのオフロードステージでも、クレイジーなほど速くなっていたんだからね」