マレーシアGPの木曜ドライバー会見は、前列中央に今週300戦目の記念レースを迎えたジェンソン・バトン、その両脇に今季限りで引退を表明しているフェリペ・マッサと、選手権リーダーのニコ・ロズベルグが並びました。
バトンは300戦目を迎えたことを聞かれて「すごく長くなるから昔話をするつもりはないよ」と言いながらも、ついつい思い出話に花が咲きます。
「ルーベンス(・バリチェロ)が300戦目を迎えたとき、300戦もやるなんて信じられなかった。僕は絶対300戦もやらないと思った」
「2000年にF1デビューした時、父と『何年くらいやれると思う?』『30歳までには辞めるよ』なんて話していたのに、今じゃ36歳なんだから、本当にビックリだね」
そのバトンとしきりに話し込んでいたのがロズベルグ。話し合うというより、ロズベルグがあれこれ聞いてバトンがそれに答えるといった様子。衆人環視の中で一体何の指南を受けていたのかは謎ですが、会見ではいつも通り「選手権のことは意識せず目の前のレースで勝つことしか考えていない」とお決まりの答えでそつなくこなしたロズベルグだったのでした。
それでも司会者から「ワールドチャンピオンシップリーダーのニコ・ロズベルグです」と呼びかけられた際には、チラッと上目遣いでニヤリとしたのを私は見逃しませんでしたよ。はい、意識していないわけないですよね。
来季の休養を決めたバトンと同じく、今季限りでの引退を決めたフェリペ・マッサは、途中でヘッドセットマイクが機能しなくなるトラブルに見舞われ、一旦他のドライバーへの質問を先にする場面も。
ハンドマイクを持って再登場したマッサは、「ジェンソンはまだ36歳だし僕は35歳。だったらここにいるみんなはもう引退するような歳だ」と客席いじりならぬ記者席いじり。
加えて、「僕らはまだまだ人生でやることがたくさんあるよ。そのことにワクワクしているしとてもハッピーだ。今はプレッシャーも減ってレースを楽しんでいる」と、引退発表後の心境を語りました。
バトンも、新舗装路面について聞かれた際に後列のダニール・クビアトが「ジェンソンの回答を参考にするよ。だって、パーフェクトな答えだったからね」と言うと、振り返って微笑み、握手。こちらも300戦という記念レースに気負うことなく、良い意味でリラックスしてレースを楽しんでいることを表わしていました。
そんな雰囲気だからか、和気あいあいとしてマジメな話題にもならず、21分ほどで早々に終わったマレーシアGP木曜会見だったのでした。