第9戦オーストリアGP以降、ポイントから遠ざかっているハースが、シンガポールGPに新しいフロントウイングを投入した。
新しくなったのは、メインフラップのスリットがこれまで1本だったのが2本となったこと(赤色矢印)。また翼端板の内側から伸びるカスケードウイングのさらに内側にフィン(紫色矢印)が追加され、その内側にこれまであったカナードが設置されたことだ。さらに翼端板の外側にもカナードが追加されている(青色矢印)。
シンガポールGPが行われるマリーナベイ・ストリート・サーキットは、市街地コース特有の90度ターンが連続するレイアウトとなっており、予選ではフロントの回頭性がラップタイム向上の大きなカギとなる。
しかし、シンガポールGPでハースはロマン・グロージャンのマシンに、信頼性に関する問題を発生させてしまう。フリー走行1回目、インスタレーションラップを終えたグロージャンのマシンは、エンジンインレットの空気漏れが発覚。これにより、フリー走行2回目からレース用エンジンを搭載することになった。
フリー走行2回目ではマシントラブルは起きなかったものの、フリー走行1回目の出遅れを取り戻そうしたグロージャンが最終コーナーでスピン。ウォールに接触してリヤウイングを激しく損傷してしまった。さらにグロージャンのマシンは、フロアとリヤサスペンションにもダメージを負ってしまう。
悪い流れは土曜日になっても断ち切れず、予選Q2のアタック中、ブレーキングゾーンで突然コントロールを失ったグロージャンは、バリアにクラッシュ。さらに日曜日のレースは、レコノサンスラップに向かう直前になって、ブレーキ・バイ・ワイヤに問題が発覚。スタートすることなく、シンガポールGPを終えることになった。
シンガポールGP後、チームはファクトリーで問題を調査。新しいフロントウイングの真価が試されるのは、グロージャンがマレーシアGPをトラブルフリーで走ってからになりそうだ。