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海外有力小売バイヤーに聞く、日本ブランドの印象や求めていることは?

2016年09月28日 20:22  Fashionsnap.com

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左から「LN-CC」メンズウエア部門のバイイング&スタイリングを担当する飯泉太浩、セルフリッジズメンズ部門バイイングマネージャーのLUKE MOUNTAIN Image by: FASHIONSNAP
繊研新聞社が主催するファッションの合同展「JFW インターナショナル・ファッション・フェア(JFW-IFF)」が、9月26日から28日まで東京ビッグサイトで開催された。国内外のウィメンズとメンズのウエアや、アパレルビジネスを支えるサービスなど約250社・団体が出展し、英ECサイト・セレクトショップ「エルエヌシーシー(LN-CC)」や、英百貨店セルフリッジズ(Selfridges)、ハーヴェイ・ニコルズ(Harvey Nichols)といった海外有力小売店のバイヤーを招聘。来場していた2人のバイヤーに「海外から見る日本のブランド」の印象や求めていること、そして「売れる商品」などを聞いた。

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 「エルエヌシーシー」メンズウエア部門のバイイング&スタイリングを担当する飯泉太浩は20代後半でセレクトショップに就職し、その後「エストネーション(ESTNATION)」や「アクアガール(aquagirl)」でウィメンズのバイヤーを担当した後、「ディエチ・コルソ・コモ(10 Corso Como)」上海店の立ち上げ時にバイイングマネージャーとして携わるなどグローバルに活躍する敏腕バイヤー。日本のブランドについて「デザイン性・精神性・クオリティーは世界の中でもトップクラスだと常々感じる」と話す一方、「日本の中で求められている日本ブランドの在り方と、海外が求めている日本ブランドの在り方にギャップがある」と指摘する。海外から求められることの一例として「ウェブサイトの多言語対応、海外向けのサイズやシルエット、そして臨機応変さ」を挙げた。また、内外価格差によって海外では1.5~2倍で販売されるため、他のラグジュアリーブランドと勝負するには商品力だけではなくマーケティング能力が重要で、商品として語れるストーリーが不可欠だという。今シーズン売れているブランドは「グッチ(Gucci)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」「アクネ ストゥディオズ(ACNE STUDIOS)」「トム ブラウン ニューヨーク(THOM BROWNE. NEW YORK)」で、アイキャッチーなデザインや、別注・コラボレーション商品といった話題性のある商品も売れているようだ。
 初来日だというセルフリッジズのメンズ部門バイイングマネージャーLUKE MOUTAINは、日本のファッションについて「とても創造力に富んでいる。ただ新しいだけではなくて昔ながらのものを新しいものに変えていく動きが面白いと思う」と捉える。来日中に見たブランドでは「ローブス&コンフェクションズ(Robes & Confections)」や「エンハーモニック タヴァーン(Enharmonic TAVERN)」が気に入ったという。同店で現在売れているものは、クラシックなシャツやジャケット、ストリート系のファッションで、セレブリティが着用したアイテムがそのまま人気商品になることもあるという。
 今年で34回目を迎える同展は、従来は1月と7月に行われていたがバイヤーが買い付けしやすい展示会を目指し、今年から4月と9月に時期を変更。単独開催は今回が最後で、次回から米国最大のファッション展示会「マジック(MAGIC)」と業務提携し「JFW-IFF MAGIC JAPAN」としてスタートする。今回、入場受付近くのアトリウムスペースには靴下ブランド「アヤメ(ayame')」のデザイナー阿賀岡恵をディレクターに起用した「JFW-IFF・MAGICプレビュー/ホーム・オブ・ベター・テイスト」ゾーンが設けられた。同氏が「合同展は変わらないといけないタイミングにきている。集客のための関連イベントに力を入れるのではなく、原点に立ち返って『ぜひ見たい』と思ってもらえるようなブランドを集めた」と説明する通り、スカジャンで知られるテーラー東洋をはじめ「カーリー(CURLY)」「エンハーモニック タヴァーン」など計26ブランドが集結。そのほか会場には新たに、メイドインジャパン製品の支持が高まっていることを受けて国産品を集めた「セレクトJ」ゾーンが設けられた。