ブラックバイトに苦しむ学生に対し、「そんなに嫌なら辞めればいい」と指摘する人がいる。対策として有効かもしれないが、社会経験のない学生から搾取して不当に利益をあげようとする大人がいるという問題とは、また別の話だ。
特に個人経営の飲食店や小規模店舗、コンビニなどでは、遵法意識も知識もない経営者や管理者たちが、学生にひどい仕打ちをしている例は枚挙に暇がない。女性向け掲示板ガールズちゃんねるのスレッド「ブラックバイトで働いたことありますか?」には、ブラックバイト経験者の書き込みが数多く投稿されている。
大手コンビニ本部「レジの補填はNGと指導している」
書き込みによると、コンビニなどでレジを閉めるときに計算が合わない「違算金」が発生したときに、不足分をアルバイトが負担させられたというエピソードが散見される。
「レジ金足りなかったら自腹で払う、バイト代は自分から言わないとくれないなど、とんでもなくだらしないオーナーでした。…ちなみにその店潰れてた」
「初めてのコンビニ。レジに誤差が出たら自腹と言われた。その時は決まりなのかと思ったらネットで自腹は違法と知り、ブラックだった。オーナーの口癖は『人件費削って雇ってあげてるんだから文句言うな!!』」
ある人はレジで9000円の違算金が発生した際、店長に「一万円と千円間違ったんだよ!」などとネチネチ文句を言われたので、面倒になり「払いますか?」と答えたところ「あっほんと~?助かる~」と嬉しそうに言われて、ニコニコお金受け取られたという人も。
この職場では他にも、店長から言われて何千円もの違算金を払っている人が「結構いた」という。これではせっかく働いたバイト代が消えてしまう。
大手コンビニチェーン本部の広報担当者に取材したところ、アルバイトの雇用契約は加盟店との間で締結されているため、細かな管理までは難しいのが現状だという。ただしフランチャイジー(加盟店)に対し、「業務上のミスの責任をアルバイトに負わせないように」とし、従業員にレジの不足金の補填をさせないよう指導しているという。加盟店のオーナーは店長に対し、正しい知識を伝えるべきだ。
仕事ができない人に限って「ブラックだ!」と騒ぐのか
労働の対価がきちんと支払われないという基本的な不満も多い。ある人は、県の最低賃金が724円だった時期に「計算がめんどくさいという理由で720円にされた」と振り返る。ある葬儀社は、求人票に「時給1,000円」「子どもの都合で休みが取りやすい」「他の仕事をしながらでもOK」などと書きながら、実際は職種を含めてまったく違う条件だったそうだ。
「1日4時間働いて、1ヶ月給料たった2万。しかも会社からの振り込みではなく、上司の名前での振込。…あり得ない。研修という名の勉強会も1日5,000円出ると言われていたのに嘘ばかり。全て話が違うと思い、1ヶ月で辞めた。思い出しただけで腹が立つ」
もうここまで来ると、アルバイトから金を巻き上げて収益を上げているのではないかと疑いたくなるほど。あるエステ店の面接で「仕事内容や給与の説明より、罰金の説明が多かった」と明かす人もいた。
「客が予約時間に遅刻してきたら、10分毎に500円を私が払う。客が予約をすっぽかしたら、コースの半額を私が払う。おかしいと思って働かなかったけど、あんなバカバカしい面接は初めてだった」
この他にも、自分が働いていた会社の社長や店長を批判する声があるが、その一方でアルバイト側にも責任があるとして、こう反論する意見も見られる。
「仕事ができなく、知恵も無く、オドオドしてる人に限って、ブラックだ!ブラックだ!というやつが多過ぎる気もする」
「若いときは無知だから言いなりになって働いたけど」
しかし、これとはまったく逆の意見として「おかしい職場に会うと、これが一般常識なのかと感覚が狂ってくる」という声もある。社会通念から見るとおかしな状態であっても、その環境にいると職場に染まらない人が悪に見えてくる。そんな職場に適応できなかったことで、傷つく人も少なくない。
「ブラックバイトで苦労して働くことが怖くなり、引きこもっちゃう人もいるよね。人柄のいいスタッフがいるとこじゃないと、余計な苦労して職業人生台無しになるな」
「本当にそう。ブラックバイトで心を折られて、すっかり自分がダメ人間だという暗示にかかった。就職する時恐ろしくて仕方なかった」
真面目な性格の人ほどブラックバイトでも我慢し、損することがあるという意見も。「若いときは無知だから言いなりになって働いたけど、大人になった今はここヤバイ!って感じたらソッコーやめる」「そんなバイト連絡無しでもいいから行かなきゃ良いよ。バイトごときで精神病む必要ない」と、ブラックな環境からの「逃走のすすめ」をする人も目立った。
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