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SMAPへの楽曲提供はなぜ特別なことなのか 槇原敬之、山崎まさよしらコメントから考える

2016年09月28日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)タナカケンイチ

 SMAPはこれまで数々のアーティストや作家たちが手がける楽曲を歌ってきた。彼らへの楽曲提供をきっかけに、有名になったアーティストも数多く存在する。SMAPの解散が決定し、ヒット曲を提供してきたアーティストたちが、SMAPへ向けたそれぞれの思いを発信している。


(参考:『スマスマ』はなぜ20年も愛され続ける? 太田省一がSMAP流エンタメの特性を読み解く


 槇原敬之が楽曲提供した35枚目のシングル曲「世界に一つだけの花」は、今年1月の解散報道から継続的に行われてきたファンの購買運動により、9月9日に累計出荷枚数が300万枚に達した(日本レコード協会調べ:http://www.j-cast.com/2016/09/10277705.html)。槇原は、9月19日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)でこのことを喜び、「あれ(「世界に一つだけの花」)は特別でしたんで。自分が一生懸命書くものとは違って、パッ!パッ!と見えたものを書けたんで、神様からこれはもらったんだなという感じでしたね」と制作秘話を明かした。また、8月20日に大阪市内で開催されたFM COCOLO主催の野外ライブ『風のハミング』にゲスト出演した槇原は、観客と共に同曲を歌唱。スポーツ報知(参考:http://www.hochi.co.jp/entertainment/20160820-OHT1T50226.html)によると、槇原が出演者のKANや観客たちと楽曲を受け継いでいこうというトークが繰り広げられていたという。


 25枚目のシングル曲「セロリ」は、山﨑まさよしの同名曲をSMAPがカバーしてリリースしたもの。山崎は2月17日に東京・NHKホールで行われた公演中のMCで、当時解散報道が撤回されたばかりのSMAPについて触れ、「とりあえず、ありがとう。解散したら、この歌の陰が薄れちゃう。私が(曲を)出した時は箸にも棒にもかかりませんでしたが、SMAPさんで有名になった曲だから」(参考:http://www.hochi.co.jp/entertainment/20160217-OHT1T50211.html)と存続を喜び、同曲を披露。また、8月の解散発表後のライブでは「提供した曲ではなく、これは、かのアイドルグループ(SMAP)がカバーした曲」と紹介した上で、自らの意志を持って楽曲を歌い継いでいくという決意表明を行っていた。(参考:http://www.daily.co.jp/gossip/2016/09/18/0009500044.shtml)


 SMAPに提供した楽曲を、彼らに代わり歌い繋いでいく意志表示をした歌手がいる一方で、27枚目のシングル曲「夜空ノムコウ」の楽曲提供者であるスガシカオは、8月20日に都内で開催された音楽イベント『J-WAVE LIVE SUMMER JAM 2016』にて「夜空ノムコウ」を封印することを宣言。デイリースポーツ online(参考:http://www.daily.co.jp/gossip/2016/08/20/0009409125.shtml)によると、スガも山崎同様に「デビューして間もないころ、知名度のなかったオレを起用してくれて、大ヒットしまして、初めて全国区になるきっかけになった曲」と、SMAPへの感謝の思いを語っていたそうだ。同サイトによると、スガは、SMAPが同曲を発売した当時も、数年間は公の場でカバーしなかった過去がある。彼らに提供した同楽曲を大切に思うがゆえ、今回のように楽曲を封印するという思いに至ったのではないだろうか。


 さらに19枚目のアルバム『We are SMAP!』収録曲「SWING」を手がけた西寺豪太は、自身のSNS(参考:https://twitter.com/Gota_NonaReeves/status/764533608002363397)で同曲について触れ、「彼らに歌ってもらえた時本当に嬉しかったな」とコメントし、SMAPのために作った楽曲が採用されなかったこともあったと当時のエピソード明かした。小室哲哉(参考:https://twitter.com/Tetsuya_Komuro/status/767374533661593601)も45枚目のシングル『This is love』収録曲「グラマラス」でSMAPに楽曲提供を行ったひとり。小室は自身のTwitterで当時を振り返り、「BSB(バックストリートボーイズ)に(楽曲が)採用された時と似た気分だったな」と、SMAPへの楽曲提供がいかに特別なことであるかを表現していた。


 SMAPの解散という悲しいきっかけを通して、それぞれのミュージシャンにとって、SMAPへの提供楽曲は特別なものであり、かけがえのない思いが詰まったものであることが明らかになっている。SMAP以外のジャニーズグループも昨今、有名アーティストから楽曲提供を受ける機会が増えている。しかし、SMAP同様に、楽曲提供者たちがこのような思いを抱きながら作品を提供できるようなグループは今後、現れるのだろうか。


(梅中麻衣)