トップへ

w-inds.、“2016年の姿”をパフォーマンスで表現 次の一歩踏み出したツアー国内ファイナル公演

2016年09月26日 13:11  リアルサウンド

リアルサウンド

w-inds.

 15周年を迎えたw-inds.。そのデビュー曲のタイトルを冠した『w-inds. LIVE TOUR 2016“Forever Memories”』の国内公演ファイナルが、東京国際フォーラムで行われた。


(関連:w-inds.が体現する“世界標準のJ-POP”ーー8月31日発売の注目新譜5選


 階段状になったステージの上段に3人のシルエットが浮かび上がり、デビュー2年目に放った「try your emotion」で幕開け。サビで階段を下り、2コーラス目でダンサー(KOUKI、show-hey、MASATO、Fumiya)が登場、ラストサビ前で「TOKYO!」とコールし、1曲の中で一段階ずつボルテージを上げていくのがわかる。続く「Endless moment」では、会場も声を合わせて歌い、「will be there~恋心~」の曲途中、「完全燃焼しましょう!」(龍一)、「みんなで最高の時間を作っていきましょう!」(涼平)と思いを共有し、「NEW PARADISE」へ。ラフな雰囲気でダンサーと絡みながら、慶太の軽やかな歌声と、涼平、龍一のリリース当時とは違った大人なラップが心地よく展開する。続く「変わりゆく空」は、爽やかなメロディと当時を感じさせる歌声を活かしながら、懐かしい振り付けも見せる。ブルーを基調にしたバックから、後半は赤い照明に染められ、まさに変わりゆく空の中で歌い上げ、最初のブロックを終えた。


 「楽しんでますか?」と慶太が声を掛け、「ここからは後期のナンバーを」と龍一が紹介し、「Make you mine」。慶太のファルセットが響き、「カッコいい」を「心地よさ」に溶かし込んでいく彼らの魅力があふれる1曲だ。


 さらに、8月31日にリリースされたニューシングル『Backsatage』の収録曲「No matter where you are」では、刻んでいく正確さと滑らかさ、観る側の目の動きを十分に意識したフォーメーションの入れ替わりがサラリと表現され、それぞれの個人技も披露、1曲の中に贅沢に詰め込んでくる。また、中盤の「FUNTIME」では、「w-inds.のプライベートパーティーに招待」という感じの構成で、客席のファンをステージ上のソファーに呼び、曲を披露する。この日は観覧していた、競泳の高橋美帆、松本弥生、新体操の坪井保菜美といったオリンピックで活躍した3選手をステージ上に呼び込み、エスコートし、手を取って甘く歌い上げた。世界と戦ったアスリートがちょっと緊張しつつも、最高の瞬間を演出してくれた。


 このブロックは、より3人のボーカルの色をじっくり感じられた。中低音の歌声がセクシーな龍一、柔らかに甘く響く涼平、そして、厚みのある表現でしびれさせる慶太。ここ数年のw-inds.が、新しい魅力としてカードを切った感じがある「3人の歌声の融合」を存分に届けてくれた。


 そして、「In Love With The Music」では、ギター1本と慶太の歌声にクラップで盛り上げ、「Smile Smile Smile」では3人の自由な動きと溢れる笑顔で、楽しくキュートなテイストに空間を埋める。


 この後、衣装チェンジをして迎えた後半戦は、ここ数年のライブには欠かせない楽曲「NEW WORLD」から「Let’s get it on」へ。この畳みかけは、余計なことを考えずにグッとステージ上に没入させる。「Boom Word Up」は、オーディエンスに「どう? 楽しい?」と投げかけてくるようで、曲そのものが、コール&レスポンスのよう。「2016年のw-inds.」を、言葉を要することなくパフォーマンスで表現してくれているような感じがした。


 彼らのパフォーマンスが、アジアのトップランナーであることも、その表現力が正確さと自由さの絶妙な融合であることもとっくに知っていて、でも、その「知っているw-inds.」から、さらに上を行く何かを毎回提示してくれるのが彼らの凄味だ。停滞を許さず進化を続ける存在でありながら、人を遠ざけることのない人間味あふれるパーソナリティで、愛される。そしてその「愛されるパーソナリティ」が最も表れるのがMC部分だ。


 この日も2020年の東京オリンピックの話になり、「龍一がサーフィンで出場する!?」という緩めの話から、15周年の話題へ。


慶太「様々な楽曲をデビュー当時から15年。時代の流れとともに毎回変化して」
龍一「みなさんがその都度困惑しながら応援してくれて」
涼平「困惑しますか(笑)」
慶太「だからもうw-inds.がどんなジャンルをやっても驚かないんじゃない?」


 と投げかけると、「演歌!」という声が客席から。これに応えて、「やっぱりそれはないか」という展開に。


 「(MCが)グダグダだ、って言うんでしょ。でも、グダグダ、って言うわりには欲しがるよね(笑)。あまのじゃく?」と慶太が会場に投げかけ、そろそろ曲に戻るかな、と思いきや、龍一が「俺がTwitterで観た面白かった歌、歌っていい?」と動画サイトで人気のネタ曲を披露。涼平のマイクの音が割れるほどの大きな声でのツッコミがさく裂して、このくだりが終わりに。まさに“欲しがり”な客の要望に応えずにはいられない、(いい意味での!)グダグダ精神がほっこりとさせる。


 ラストスパートは、「Feel the Fate」から。こうした初期の曲を聴くと、改めて、15年の時を経て積み重ねたスキルと、なお失わない瑞々しさ。強い自信を持ちつつも、そこに溺れない精神を感じさせる。


 アンコールの声に応え、Tシャツ姿で再登場した3人は、新曲の「Backstage」を披露。この夏のツアーを彩った最新曲。季節をもう一度夏に引き戻し、トロピカルハウスというサウンドが気持ちを開放的にさせる。


 そして、いよいよラスト1曲「Forever Memories」へ。慶太が「今日はスペシャルバージョンでお届けします」と紹介し、この曲の作詞・作曲者である葉山拓亮が登場。葉山のピアノ演奏とともに、同曲が披露された。


 曲の前から、「リハーサルから泣きそうで。なかなかこんな空気にならないですよ」と感情の高ぶりを話す慶太。何度も何度も歌ってきたこの曲が、優しさあふれるピアノの響きとともにまた新たな思いを乗せて、この瞬間の「Forever Memories」として届けられる。2コーラス目に入ると、こらえていた涙があふれ出した慶太。タオルで顔を覆い、涙を拭きながら最後まで必死に歌いきる。


 「全然歌えなくて、すみません。スタッフさんや葉山さんがいてw-inds.が今この場に立ってると思っているから、感謝の気持ちがこみあげてきて…。今度はしっかり歌えるバージョンでリベンジます」と慶太。大きな拍手が沸き上がり、国内ツアーのエンディングとなった。


 ツアーを経て、w-inds.が次への一歩を踏み出したという実感は、ここに集まったすべての人が確信として持ったはずだ。そしてきっとまた、その予想を一歩上回る何かを見せてくれるに違いない、とも確信している。(田部井徹)