ブラック企業の見分け方のひとつに、退職時の「しつこい引き止め」があります。それも「お前のようなヤツには、どうせ転職先なんかない」とか「ヨソに行っても活躍できるわけがない」といった、脅しのような言葉を連発するのです。
辞めた部下がよりよい環境で活躍することは、会社として面白くないのでしょう。しかしQ&AサイトのYahoo!知恵袋によると、相談者のtamak11292929さんの周囲では、そんな脅しの逆を行くようなケースが多発しているようです。(ライター:Makiko.N)
上司は「どこ行ってもダメや」と言ってたけど
相談者さんは、とある中小企業で働く会社員。職場にはアルバイトや派遣社員はおらず、新入社員から管理職までが、通常業務のほかに電話対応やお茶くみ、コピーや資料整理、清掃など庶務・雑用もしなければいけません。
例年は無名大卒や高卒が多い新入社員ですが、就職氷河期やリーマンショックなどの不況時には有名大卒が入社することもありました。しかし有名大卒の多くは要領が悪く、仕事がパンクしがちで、半年から1年で退職するケースが多いそうです。
ところが、そんな有名大卒の新人でも、その後に大企業へ第2新卒で転職したり、公務員試験に受かって地方公務員になったりしているとか。会社の上司は、
「あんな使い物にならんやつ、どこ行ってもダメや。勉強だけの頭でっかち」
と嫌味を言っていますが、転職先では順調に働いているようです。中には最初の会社で半年も持たなかったのに、転職先では5年以上も働き、マイホームをゲットした人も出てきました。
相談者さんは「なぜ中小企業で使い物にならなかった部下が、転職先では仕事が長続きしているのか…」と疑問に思い、「大企業や役所はそんなに仕事がしやすいのでしょうか?」と見知らぬ職場に思いを馳せています。
「高学歴の新人を使いこなす人員がない」のが原因?
中小企業で使い物にならなかった人材が、転職先では順調に働いているのはなぜか。回答者からこんな意見が寄せられていました。
「大手となると人員も大勢なので、なんでもかんでもこなさなくていいから、勉強だけの頭でっかちが通用するんだと思います。一つの部署の一つの業務に専念できますから」(memotarou_127さん)
高学歴の人たちは、不況や就職氷河期で仕方なく中小企業に入社したので、やる気が出なかったのかもしれません。
「合う合わないってあるからね~(笑) まあ『年収300万円です』と『年収600万円です』とではやる気も変わるよね~(笑)」(raulerauleenglishさん)
さらにhigehigehigedesuさんからは「あなたの会社に高学歴の新人を使いこなす人員も体制もないってことでしょ」という厳しい意見も飛び出しました。確かにお茶くみや清掃ではなく、会社の収益に結びつく仕事の指導ができていたのかどうか。
回答者「マグロは大洋でしか生きられない」
そもそも中小企業に合う人と合わない人がいるという意見も。trick4228さんは息子さんがリーマンショック時に中小の住宅販売会社に就職し、2年半頑張ったけど営業成績が振るわなかったので、現在は地方公務員として働いていることを例にあげています。
「マグロは大洋でしか生きられませんし、鯉は海水の大洋では生きられません。マグロは泥水ばかりの池では生きられませんが、鯉はそうした池でも生きられます。…問題はその稚魚をきちんと育てる環境があるかどうかということでしょう」(trick4228さん)
天才物理学者アインシュタインは、読み書きと計算が苦手だったといいます。いくらスペシャリストとして優れた才能を持っていても、なんでも器用にこなすゼネラリストから「仕事ができない人」「要領が悪い人」と見えることもあるでしょう。
人材をうまく活用するためには、各々の得意分野を見極めて適切に育てることが必要です。「頭でっかち」と言われて辞めた有名大卒の新人たちも、上手に育てられていればいまごろ貴重な人材に成長しているかもしれませんね。
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