ホンダF1総責任者の長谷川祐介氏は、将来的に複数チームにパワーユニットを提供できるよう、ミルトンキーンズに位置する活動拠点を拡張したことを明らかにした。
ホンダは、2016年向けにレッドブルが同社製PUの獲得を試みていたことを受け、今後供給先となるチームを増やす考えがあるという。供給先についてはホンダに交渉権があるものの、マクラーレンが利益にならないと判断した場合は、拒否権を行使できるとされている。
ホンダは現在、開発リソースをワークス契約を結ぶマクラーレンに注ぎ込んでいる。しかし、今年の夏に完了したイギリス拠点の拡張は、将来に目を向けるためのものだと推測される。
「(いまは)他のチームに提供できるほどリソースに余裕はないが、そういったマニュファクチャーになっていくべきです。リソースと組織を強化しなければならない。来年の終盤には、他のチームにもエンジンを供給する準備ができたと発表することになるかもしれないので、準備が必要なんです」
「ミルトンキーンズには、すでに大きなファクトリーを新設しました。巨大とまでは言いませんが、十分な広さはある。2チーム目にもエンジンを供給すると決めた場合、エンジニアなどの人材を新たに雇い入れることになるでしょう。十分な数の机を用意してありますよ!」
2015年に苦いF1カムバックを果たしたホンダは、今シーズン確実に前進を遂げ、メルセデス、フェラーリ、ルノーといったライバルたちとの差を縮めつつある。7月にはカルロス・サインツが、「トロロッソの1年落ちフェラーリ製エンジンに、ホンダはかなり近づいている」と話していた。
長谷川氏本人は「旧型のフェラーリ製エンジンより少し良い」と評価しているが、現行のルノーやフェラーリには大差があることを認めた。これまでのところ、ホンダエンジンの供給について他のF1チームから正式なリクエストはない。ただし、非公式な話し合いは行っているという。
マクラーレンのライバルとなるチームが、ホンダエンジンに興味を示したことがあるかと聞かれると、「長期的な話で言えば、あります」と答えた。
「実際、ホンダが(他チームに)エンジンを供給する可能性はあるかというのは、多くの人に聞かれますが、それはただの会話にすぎません。確固としたビジネスの話ということであれば、まだ何もありません」